「麦酒倶楽部 ポパイ」ビアバーがビールまでつくってしまいました。
《クラフトビール専門店「麦酒倶楽部 ポパイ」で最高の1杯を!》後編は、ポパイが2014年に立ち上げた直営のブルワリー「ストレンジブルーイング」を紹介する。酵母に着目してつくられた新しい日本のクラフトビールとは。
とにかくビールの種類が豊富なポパイ。何を頼めばいいかわからないときは、「おすすめは……」とスタッフにたずねれば、気さくに答えてくれる温かさがうれしい。
飲み進めていくと、ビールごとにグラスの形状、泡のあり・なし、炭酸の強弱の違いに気づくはず。
たとえば小麦のビール、ヴァイツェン。これはセッティングの段階でガスの量を調整しておくことで、しっかりとした泡になる。そうすることで、強めの炭酸の個性が感じられつつ、飲みやすくなる。逆に、苦みの強いエールビールは、ガスの量を少なく調整し、泡が立たないようにしている。不思議なことに、泡が立ってしまったエールビールは、渋み・苦みが際立ち、泡に乗じて香りも飛んでしまう。
こうしたビアスタイルごとの調整は、ポパイが最も大切にするところ。長年ビールに向き合い、特性を熟知する青木さんが、本当に美味しいビールを飲んでもらいたいという思いで、工夫を重ねてきた結果だ。
2014年、ポパイ直営のブルワリー、ストレンジブルーイングが立ち上がった。「輸入ビールを飲むたびに、美味しくて腹が立つんです。その違いは何かを考えていくと〝酵母〞にたどり着きました」。日本では酵母の培養や販売には免許が必要なため、多くのブルワリーは外国から高額な酵母を輸入し、節約しながら使う。そこでストレンジブルーイングは酵母の免許を取得し、培養からビール醸造までの一貫製造を実現。新鮮な酵母を用いたビールは、青木さんの仮説を的中させた。
酵母に着目した日本の新しいクラフトビール。数年後にビールの歴史を振り返ったとき、ポパイを起点にした取り組みが、スタンダードになっているのかも? 四六時中ビールのことばかり考えているという青木さんと、マスターの城戸さん。そんな二人がいるクラフトビール界を支える名店で、ぜひ人生初の一杯をお試しあれ。
文=林 貴代子 写真=岩堀和彦
2019年7月号 特集「うまいビールはどこにある?」
住所:東京都墨田区両国2-18-7
Tel:03-3633-2120
営業時間:ランチ11:30 ~ 17:00 金・土曜は~ 14:00(定食のみ)
PUB17:00 ~ 23:30(L.O.23:00)金曜15:30 ~、土曜、祝日15:00 ~
定休日:日曜
www.70beersontap.com