節分に豆をまく理由とは?――ハレの日と“まめ”の深い関係【和菓子がある風景 vol.3】
豆を投げて鬼を追い払う行事、節分。けれど、そもそもどうして“豆”なのか……? その由来を紐解けば、かつての日本人が込めた暮らしへの願いが見えてきた。
「まめ」という音に、願いを託して
「まめやか」「まめまめしい」――。豆を使った日本語には、労力を惜しまず、陰日向なく働く、美しい日本人の気質を思わせる、言葉の音の力がある。
豆には、古来より「魔を滅する」、邪気払いの力があると言われている。中国で除夜に行われていた「追儺(ついな)」の行事が宮中に伝わり、室町時代には民間行事として広がった“節分の豆まき”がわかりやすい例だ。ほかにも、豆占いや正月の黒豆などハレの日の食材として、時代を超えて豆は日本の食卓で大切に食べられてきた。
豆菓子に受け継がれる、いわれと願い
「千千豆(ちぢまめ)」は落花生に、梅の花が咲く頃につくることから“寒梅粉(かんばいこ)”と名付けられた米粉をまぶしたお菓子。五穀屋では、さらに五穀のひとつである「ひえ粉」を加えて、歯触りよく仕上げている。
縁起物として親しまれてきた「五色豆」にちなんだ五色の味覚は、酒粕小豆、塩糀きな粉、梅酢、白醤油、青のり味噌と、五穀屋ならではの発酵素材とのコラボレーション。やわらかで、ほんのりした甘みのあるものから、塩糀、白醤油などを使った奥ゆかしい塩みのあるものまで、シンプルだけれど滋味豊かで旨みのある味わいだ。衣はサクサク、中の落花生はポリポリと軽快な歯ざわりで、ついつい手が伸びる。
「千千(ちぢ)」という音が表すように、さまざまなものが行き交う現代。「豆」という音には、「まめに働けるほど健康であるように」という願いも。心乱さず、まめやかに、毎日の暮らしを紡いでいけますように……と、祈りを込めて。≫次の記事を読む
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