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《小林徹也 個展》渋谷パルコで開催!
釉薬の変化を愉しむうつわ

2022.12.5
《小林徹也 個展》渋谷パルコで開催!<br><small>釉薬の変化を愉しむうつわ</small>

つくりの工程一つひとつをレイヤーの重なりととらえ、それらを組み合わせて表現した小林徹也さんのうつわには、個性が宿ります。
渋谷PARCOのDiscover Japan Lab.では、2022年12月3日(土)~25日(日)にかけて「小林徹也 個展」を開催。公式オンラインショップでは12月5日(月)20:00より順次販売開始します。
冬の食卓に馴染みながらも存在感を放つ、小林さんの制作背景や本展のラインアップをご紹介。

小林徹也(こばやし てつや)
関西大学法学部を卒業。愛知県立窯業高等技術専門校にて窯業を学ぶ。2012年より愛知県瀬戸市を拠点に作陶。独自の解釈から生まれたうつわが注目を集めている。

質感の追求で生まれた
ノイズを含む美しさ

ベースとなる赤土の上に白化粧を施し、釉薬をかけて焼成した粉引。レイヤー構造を意識してすべての素材を反応させ、それぞれのよさを引き立たせるため、ひと口に粉引といっても多様な表情に

粉引や錆釉、焼締など、色調や質感を突き詰めた豊かな表情をもつうつわ。愛知県瀬戸市で作陶を行う小林徹也さんが生み出すうつわは、単純に仕上げ方法ごとに分類することのできない、複雑性をもち合わせた神秘的な魅力に満ちている。

小林さんの前職は、写真のレタッチャー。画像編集ソフトで幾重にもレイヤーを重ねることで、深みのあるトーンを表現していた当時の仕事とうつわづくりの間には、共通点があるという。すなわち、粘土、白化粧、釉薬といった焼物の各工程を“レイヤー”とみなし、どの素材をどんな割合で反応させるかを調整しながら作業を進めていく。イメージ通りの色調を最上部に浮かび上がらせるための調整は、仕上げ工程だけではなく、土選びや焼成の温度などにも及ぶのである。
「ベースには基本的に赤土を使用しています。土がもつ特徴を生かしながら、それに合った化粧土や釉薬を施し、最終的なイメージを焼成方法によってかたちにしています」

釉薬には天然の木灰を使い、粘土との相性により石灰釉を使うこともある。
「木灰釉も石灰釉もそれぞれのよさがあり、表現したい色調や質感によって使い分けをしています。天然の木灰にはさまざまな鉱物が含まれているので、焼成により深みのある表情が生まれ、また溶け方が柔らかいので、温かみのある風合いを出したいときによく使っています」

そんな小林さんのうつわは、暮らしに溶け込み、日常のうつわとして使ってこそ輝くものばかり。日々のうつわとして使いやすいかたちやサイズであることを第一としながら、それに加えて、うつわ単体の魅力をもたせることも大事にしているという。
「日々の生活において、うつわは目にしたり、手に取る機会が多いと思いますので、機能面だけでなく、うつわ自体を視覚や触覚的にも楽しんでもらえることで、より愛着をもって使い続けていただけるとうれしいです」

和洋問わずどんな料理にも合う使い勝手のよさと、ノイズを含んだ唯一無二の美しさをまとう小林さんのうつわの魅力は、こんな優れたバランス感覚にあるのかもしれない。
暮らしに寄り添い、長く愛着をもてるうつわを、ぜひあなたの食卓にも迎えてほしい。

小林さんが工房を構えるのは、実に1000年以上の歴史をもち、2017年に日本遺産に認定された瀬戸焼が生まれた愛知県瀬戸市。 焼物の世界に惹かれるきっかけとなった釉調を日々研究している
釉薬を使わず、土のみを焼き固めた焼締。土に含まれる金属成分の反応を計算してうつわの表情をつくる。天然の石を切り出したようなプリミティブな印象のうつわは、抜群の存在感を放つ
金属成分を含む錆釉を用いた、クールな印象のうつわ。ぎらついた金属感ではなく、落ち着いたシックな表情に仕上げている。ダークカラーのうつわは単体でも食卓を引き締め、料理も映える

Discover Japan Lab.で出合える
作品ラインアップ

シンプルで使いやすいかたちと、同じものがふたつとない多彩な表情が融合する小林さんのうつわ。どれも毎日の食卓に馴染みつつ、料理を彩ってくれそう。

左)切立皿L(錆)
縁が垂直に立ち上がったソリッドな印象の切立皿は、錆釉ならではの深みのある黒で、Lサイズなら食卓の主役にぴったりの存在感を放つ。映える料理を考えるのが楽しみになる逸品
右)平皿S(粉引)
白化粧を施したフラットなプレート。和洋問わずどんな料理にも合い、盛りつけ皿としても取り皿としても使い勝手がよい。毎日使っても飽きがこない、一点一点異なる色調や質感も魅力
左)浅鉢(刷毛目)
素焼き前に白化粧土で刷毛目の模様をつけ、仕上げの釉薬でグラデーションをかけた芸術的なうつわ。うつわ全体に軽さがあり、盛りつけた料理を上品に引き立てる
中央)ワイドリム皿L(焼締)
広めにリム(縁)をとった平皿。リムの存在感があることで、焼締による土そのままのテクスチャーの魅力が引き立つ一品。リムの余白が、盛りつけた料理も美しく見せてくれる
右)石皿M(黒)
瀬戸市ではよく見られる、丈夫でどっしりしたかたちの石皿。伝統的なものは縁が丸いが、小林さんの石皿はエッジを効かせてモダンな印象に。主菜やカレーなどがよく映える
左)丸鉢M(粉引)
かたちも色合いも柔らかい印象をもつ丸鉢。どんな料理も盛りつけやすく、麺料理にも使いやすい。ベースの赤土に含まれる鉄分がつくり出す模様と、木灰釉の柔らかな風合いを融合させた
右)リム鉢M(焼締)
赤土が本来もつ、素地自体の質感を生かせるように、上に施した白化粧とのバランスを見ながらそれぞれの表情が出るように焼成。高さがあるうつわは、食卓にバランスをもたらす
上段)飯碗(粉引)
赤土に含まれる鉄分が焼成によって浮き出し、斑点模様となった飯碗。小ぶりながら深さがあり、手にすっぽりと収まる。一点一点表情が違うのでお気に入りを選んで揃えたい
下段左)そば猪口(粉引鉄線文)
素焼きをした粉引に、鉄分を含んだ顔料で模様をつけたそば猪口。平皿と異なり、側面が立ち上がったうつわは天然の木灰釉のにじみや流れ方に個性が出るため、ほどよいアクセントに
下段右)片口(粉引)
シンプルな中にゆるい丸みをもたせた、かわいらしいかたちの片口はファンも多い一品。口はあるものの注器としてだけでなく、一般的な鉢としてさまざまな料理に使うのがおもしろい

 

小林徹也 個展 特設ページ
 

小林徹也 個展
会期|2022年12月3日(土)~12月25日(日)※公式オンラインショップでは12月5日(月)20:00より順次販売開始
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel |03-6455-2380
営業時間|11:00 〜 21:00
定休日|不定休
※最新情報は、公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください
※掲載商品は一部であり、店頭にはさまざまなうつわが並びます

text: Miki Yagi photo: Shimpei Fukazawa
2023年1月号「酒と肴のほろ酔い旅へ」

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