堀田真由と平子雄一が語る
まちを変えるアートの可能性
|地域の景色を変えるアートに出合う
公園や道路、商業施設を舞台にアートが街を彩る「ARTE TOKYO」。パートナープログラムで展示を行う平子雄一さんと、俳優・堀田真由さんが東京ミッドタウン日比谷で初対面。作品を介して語り合った、街×アートが生む新たな魅力とは?
俳優・堀田真由(ほった まゆ)
1998年生まれ。2015年にデビューし、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(2017)で注目を集める。その後『鎌倉殿の13人』、『アンチヒーロー』など話題作に数多く出演。近年は、映画『私はあなたを知らない、』、『八つ墓村』に出演しており、2027年には声優を務めたオリジナル劇場長編アニメーション『ghost/夜の果て』が公開予定。今後も多数の作品への出演を控えている。
現代美術作家・平子雄一(ひらこ ゆういち)
1982年、岡山県出身。2006年にイギリスのウィンブルドン・カレッジ・オブ・アート絵画専攻を卒業。以降、多彩な表現方法の作品を通し、現代社会における自然と人間の境界線を追究している。
平子さんの作品づくり、その原点
―今日お持ちいただいたのは、作品にも登場する、植物のような人間のようなモチーフですね。
平子 彼は“植物を頭に被った人間”なのか、それとも“足が生えた植物”なのか? 人によって見方が違うのですが、約8割の方が前者のようです。
堀田 私は2割のほう、後者だと感じました!色使いもかわいらしくて、年齢や国籍を超えて皆が好きになってしまいそうな造形ですね。

―平子さんが作品をつくりはじめたきっかけはなんだったのでしょう。
平子 子どもの頃から人とのコミュニケーションが得意ではない代わりに絵を描くのが好きでした。そこで小学6年生のときに「画家になろう!」と決めて。高校進学後に、イギリスの現代アートに出合いました。日本の美術大学の入試システムに自分は合わないと思い、それなら海外だと、ロンドンの美術大学へ行きました。そこで暮らしていたとき、人の手で植栽された公園の木を見て“自然が豊かだ”という人に出会い、驚いたんです。僕は岡山県出身で、海も山も川も当たり前にあって、それが自然だと思っていたから。そこではじめて、何を自然と思うかは国や個人によって異なるということに気づきました。その違和感をテーマに、作品をつくりはじめました。
堀田 私も滋賀県出身で自然に囲まれて育ったので、わかります。
平子 自然ってただきれいなだけではないですよね。災害はあるし草刈りも大変だし、虫もいるし。でも公園の木はその“立場”や“用途”を人が勝手に決めたもの。身近なのに、いろいろな考え方が見える場所ですよね。
自由に考える、アートの楽しみ方
―人でも植物でもない“彼”は、社会的役割から離れた、人とも植物とも一線を画す“観察者”なのでしょうか。
平子 “彼”が何者なのかは、見た方が自由に考えて楽しめばいいと思っています。たとえば料理なら“美味しい”などがひとつのゴールになるかと思いますが、アートは具体的なゴールや役割がない。でも、まったくないと物足りない。そういった“合理的な役割や意味がないもの”を求める気持ちが、とても大事だと思います。

堀田 私もそう思います。映画やお芝居もそうですよね。いまの日本ではどうも、正解へと導かれるような物語の作品が多い気がします。でも、海外ではセリフも少なくて、見る側の想像に託される部分が多い。私自身は、そういう余白があるものが好きですね。
平子 自分の答えでいい、というところで自由に楽しめますよね。
堀田 特に最近はAIに聞けばなんでも答えてくれますし(笑)。でも、そこに至るまでのプロセスや情緒そのものを、映画やドラマ、アートや小説といった作品は表現したいのだと思います。想像すること、自由に考えて楽しむことが、作品に触れる楽しさかなと。

街×アートが生む新たな魅力
―街にアート作品が出現する芸術祭は、期せずしてアートと出合える仕掛けですよね。平子さんも「瀬戸芸美術館連携プロジェクト」や「GO FOR KOGEI」など多くの芸術祭に参加されてきましたが、美術館と芸術祭の展示には、違いがありますか?
平子 やはり全然違うと思います。芸術祭は現地の環境を考慮して作品をつくる必要がある。作家は普段、スタジオで考えて制作することが多いので、空間に合うバランスを考えなければなりません。ただ、誰の目にも入る状況だからできる表現もあって。地域を舞台にする場合は、特に協力してくださる地域の方々とのコミュニケーションが大切になると思っています。訪れた方に新しい発見や出合いを得て帰っていただけるかどうかは、作品はもちろん、そういう人や環境によるところも大きい。住む人も、街の魅力を再発見できる貴重な機会になりますね。

―ARTE TOKYOでも、地域の人々にとっても意味のあるものにしたいという思いから、各地域のまちづくり協議会や自治体などに、街の課題について事前にヒアリングしたそうです。
平子 街×アートの“可能性”は、そこに住む人との交流まで生むものだと思っています。だからこそ、アートをきっかけに人と地域が出合う楽しさがある。人と人がつながれば街に新しい価値観が生まれ、風景そのものが財産だと気づくことにもなります。
堀田 確かにそうですね。アートを通して街を見ると、いつもと違った部分にも光が当たりそうです。

―そうしたつながりを実際のまちづくりに生かす取り組みが、現在、平子さんが参画しているプロジェクト「アートの森整備事業」だとお聞きしました。
平子 故郷・岡山県の奈義町で、既存家屋を改修した舞台や展示空間、住宅、宿泊施設などが集まる芸術交流拠点をつくる予定です。アートも街も、足を運んで体験するもの。人や街の風景に出合う楽しさは、普段は気づかない疑問や世界に出合えるアートの魅力と似ているかもしれません。住民も来訪者も一緒になって取り組んでいくからこそ、場所の数や訪れる人の数だけ魅力が発見され、街が育っていく可能性があると思っています。
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ARTE TOKYO
会期|2026年10月10日(土)~12月31日(木)
会場|東京都内各所
(コアエリアは、日比谷・丸の内エリア、臨海エリア、代々木・渋谷エリア)
休業日|会場によって異なる
料金|会場によって異なる
問|東京国際文化芸術祭実行委員会
HUMAN AND NATURE
会期|2026年9月5日(土)~10月18日(日)
会場|東京ミッドタウン日比谷 6Fホール
休館日|なし
料金|オンライン券一般2000円、大学生1500円、
高中生1000円、小学生以下無料
主催|三井不動産
企画・監修|秋元雄史/Yuichi Hirako Studio
01|俳優・堀田真由にとってのアートとは?
02|東京で初開催の芸術祭「ARTE TOKYO」
03|堀田真由×平子雄一|まちを変えるアートの未来
04|地域を元気にする6つの芸術祭
text: Kie Oku photo: Maiko Fukui stylist: Arata Kobayashi hair & make-up: Akemi Ezashi
ジャケット9万200円、スカート5万9400円、シューズ6万1600円(すべてAKIRANAKA)、その他スタイリスト私物 問|AKIRANAKA Tel|03-6379-4878
2026年10月号「感性の刺激する場所へ。/九州」



































