俳優・恒松祐里と行く、
江戸の暮らしを学べる新拠点
《江戸東京博物館》へ
日本橋、芝居小屋、町人が暮らした長屋、実物サイズを再現した模型の数々に江戸時代へとタイムスリップしたかのような気分が味わえる「江戸東京博物館」。東京のアイコンとして2026年3月に生まれ変わった、江戸の暮らしを涼しく体験できる新拠点を俳優・恒松祐里さんと訪ねた。
俳優・恒松祐里(つねまつ ゆり)
1998年生まれ、東京都出身。2005年に俳優デビュー。近年でも『ガンニバル シーズン2』、『ひと夏の共犯者』、『テミスの不確かな法廷』など数々の話題作に出演。ドラマ『ALIUS -特定事象捜査ファイル-』、『ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-』の放送を控える。着付けや茶道を嗜んだ経験をもつなど、日本文化にも興味をもつ。
環境負荷にも配慮した
次世代型ミュージアムへ
「すごい迫力!小屋の内部に入って、外をのぞけるのもおもしろいですね。奥の座席では、江戸の人々が楽しげに歌舞伎を観賞している、そんな想像が広がって、なんだかわくわくします」
実物大模型の「芝居小屋・中村座」に驚きの声を上げるのは、俳優の恒松祐里さん。日本文化に興味をもつ恒松さんが訪ねたのは、「江戸東京博物館」だ。約4年の改修工事を終えて、2026年3月31日にリニューアルオープンした。

江戸東京博物館が目指したのは“東京のアイコン”としての博物館。1993年の開館にあたって建築家・菊竹清訓が設計した博物館を、アメリカ・ニューヨークの世界的建築事務所「OMA」を牽引する建築家・重松象平氏とともに、全面的にアップデートした。
老朽化した内外装を改修、最新設備を導入し、環境負荷にも配慮した次世代型ミュージアムへ。さらに入り口の整備やエントランス空間の拡充で、利便性やバリアフリー機能の向上を図ったと話すのは、江戸東京博物館で広報及び学芸員を務める沓沢博行さんだ。
「現代から江戸への没入感を高めるために、効果的な空間デザインや映像演出を施しました。模型の新設や展示仕様の改善を行い、恒松さんが驚いてくださった、芝居小屋の内部を楽しめる仕掛けを取り入れた。より深く江戸を楽しめる空間に進化しています」
江戸の暮らしを見て、
知って、体験する!

「入り口が神社の鳥居のようで格好いい。武士が歩いている映像もあって、江戸を歩いているみたいで楽しいです」と恒松さん。
稲荷神社が多かったという江戸の町。新たに設置した鳥居モチーフのアプローチをくぐると、現在の東京から江戸へとつながる映像が広がり、自然と気持ちが日常から非日常へと切り替わっていく。

その先に広がるエントランスホールでは、美の匠として知られる左官職人・久住有生氏が手掛けた壁面がお出迎え。さらに格子天井やチケットカウンターは、木材をふんだんに使い、温もりが感じられる空間に仕上げている。
大工である祖父に建築の見方を教わった恒松さんは「壁や天井などから、日本の技に触れられるのもすてき。海外からの来館者も喜びそうですね」と目を輝かせる。

開館以来、人気を博す「日本橋」や「芝居小屋・中村座」がある江戸ゾーンには、大型スクリーンを新設。朝から夜へと移り変わる江戸の空、富士山などの風景が映し出される。朝日に輝き夕陽に染まる富士を望む日本橋は、思わずカメラを向けたくなる人気スポットだ。ちなみに常設展は、すべて撮影可能だそう。
「夏を楽しむ工夫がたくさんあって、
江戸時代に行ってみたくなりました」──恒松祐里

続いて、江戸の暮らしを体験できるコーナーへ。庶民が暮らす棟割長屋を再現した模型では、新たに部屋の広さを体感できる工夫を施した。
「4畳半の広さで暮らしていたのですね。トイレやお風呂は? 一人で暮らしたのかな? いまはやりの狭小住宅みたいですね」と中に入って質問をする恒松さん。
「親子4人で暮らす一家もいました。トイレは共同、風呂は銭湯です。ただし、庶民は長屋全体をひとつの住まいとして考えていたと思います」と沓沢さん。

長屋模型では、男女に分けた厠、ごみ集積所、女性が集う井戸や物干し場も展示。じっくり鑑賞し、長屋全体を住まいととらえる暮らしを、恒松さんも納得した様子。
さらに暮らしの楽しみとした夕涼みや高輪・二十六夜待ちの月見など、江戸のイベントに欠かせなかった食の屋台もパネル(下写真)と縮尺模型で見学。参勤交代の武士や地方からの出稼ぎ者で単身男性が多かった江戸では、手軽に食事をとれる屋台が発展したと、沓沢さんは話す。
「屋台の寿司や天ぷらは人気でした。寿司はいまと違い、2~3個で腹を満たせる大きさ。天ぷらは串に刺して食べ、4~8文(現在の100~200円)くらいだったようです」と沓沢さん。

精巧につくられた天ぷら屋台で興に乗り、「揚げたての天ぷら、美味しいよ。花火が上がる前にどう?」と看板娘を演じはじめた恒松さん。ほかにも、担い売りの蕎麦屋台や縁台のある水茶屋、振り売り体験ができる魚屋の天秤棒など、江戸の町へとタイムスリップした気分を味わえる展示や演出にあふれている。

江戸文化の新拠点を堪能した恒松さん。江戸の暮らしを見て、知って、体験する中で、納涼の知恵や工夫にも出合えたという。
「粋な浴衣で夕涼みをし、冷たい白玉やスイカを食べて、涼やかな朝顔を飾る。江戸の人は五感で涼を取り込み、夏の暑さを楽しむ工夫をしていたのですね。いまにも通じる納涼の知恵を感じます。江戸時代に行ってみたくなりました。ひと月ぐらい楽しんで戻ってきたいです(笑)。これからも江戸東京博物館を訪ねて、江戸を楽しみたいです」
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東京都江戸東京博物館
住所|東京都墨田区横網1-4-1
Tel |03-3626-9974
開館時間|9:30~17:30(土曜は~19:30)
※入館は閉館の30分前まで
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
料金|一般800円(常設展)
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
text: Yukiko Mori photo: Maiko Fukui hair & make-up: Yukari Kozono stylist: Marie Takehisa 衣装協力=JOSEPH、ASH、Sisi Joia、e.m.、TEN.
2026年7月号「納涼、しましょ。」

































