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《連載第2回》
赤福「オカゲ屋敷」メイキング・ストーリー

「伊勢だからこその表現」とは?
コンセプトとリサーチの記録

2026.1.30 PR
<small>《連載第2回》<br>赤福「オカゲ屋敷」メイキング・ストーリー</small><br>「伊勢だからこその表現」とは?<br>コンセプトとリサーチの記録

伊勢の名物・赤福が手掛けるプロジェクトの始動から完成までの道のりを、5回シリーズで掲載。第2回では、「おかげ横丁」の中核施設「おかげ座」のリブランディングとなるこのプロジェクトが、いったいどのようなものになるのか?構想や制作を担うことになったビジュアルデザインスタジオ・WOWと、トータルメディア開発研究所のクリエイターが模索する、その軌跡をレポートする。

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赤福とWOW、そして
トータルメディア開発研究所との出合い

赤福本店前で。右から「WOW」プロデューサーの稲垣拓也さん、「トータルメディア開発研究所」プロジェクト事業本部 西日本事業推進第2部 部長を務める島村昌志さん

プロジェクトのはじまりは、2023年夏まで遡る。2025年からはじまる、2033年の式年遷宮に向けた準備期間を目前に控えたこの時期に、赤福の代表・濵田朋恵さんが、WOWとはじめて会合をもった。

集客力に課題を抱える「おかげ座」リニューアルの決意を胸に抱いた濵田さんを訪ねたのは、WOWのプロデューサー・稲垣拓也さん。WOWは『BAKERU』、『YADORU』、『祝彩風祭』など、これまでに手掛けた東北地方の風土に根差した映像コンテンツを携え向かった。

WOWのオリジナルワーク『BAKERU』。東北地方に伝わる郷土芸能とデジタルアートを融合させたインタラクティブな作品だ

「これまでの東北の伝統芸能などをデジタルアートに落とし込む手法を使って、伊勢をテーマとしたものがつくれないだろうかと提案しました」と稲垣さん。数ある企画を閲覧していく中で、もっとも関心が集まったのが映像インスタレーション作品・BAKERUだった。

本作は、東北の郷土芸能に見られる「人間以外の何者かに“化ける”」という行為をテーマに、お面をかぶりスクリーンの前に立つと、人以外のものに“化ける”ことができる体験型のデジタルアート作品。2019年には文化庁の「舞台芸術等総合支援事業(学校巡回公演)」に採択され、全国の小中学校を「バケルの学校」として展開している話題作でもある。

2018年よりBAKERUの体験は特別授業「バケルの学校」として全国の小中学校を巡回。その総数は、2025年までで43校にのぼる

「お面をかぶって遊ぶのがおもしろそう」という濵田さんの発言にも後押しされ、「伊勢に息づく“おかげさま”の精神を楽しませながら人々に伝えるミュージアム」へと「おかげ座」再出発の舵を切る仕掛けとして、BAKERUをベースとした“リニューアルのかたち”が浮かび上がってきた。

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伊勢ならではの表現を探りに
クリエイターが目指すは「伊勢神宮」

伊勢神宮への参拝に向かう二人に取材陣も同行。彼らが伊勢をめぐる中で見つけた伊勢の魅力とは?

WOW、トータルメディア開発研究所は、伊勢の風土や歴史の要素を取り込んだ伊勢版BAKERUの創造に向けてリサーチに取り組んだ。その手法は意外にシンプル。博物館など現地の施設はもちろん、インターネットや書籍、時にはガイドブックなど、あらゆるものに目を通しておもしろいものを探すという。

今回のプロジェクトでは、伊勢内宮・外宮を筆頭に、内宮鳥居前町のおはらい町、神宮微古館、式年遷宮記念 せんぐう館、古市や河崎の町並みなど、伊勢のあちこちに足を運んでインプットを行った。中でも、伊勢の人々の心の拠り所でもある伊勢神宮はやはり別格。彼らも、ことあるごとに足繁く通った。

約2000年もの間、太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀り、人々の祈りが捧げられてきた神宮の内宮に対し、「木と石、水、紙という最小の要素を用いて人々を神聖な気持ちにさせる、世界でも稀な空間だと思います。また内宮の参道は直線ではなく曲線、そこを歩く人の流れも気になります」とWOWの稲垣さん。

写真提供=神宮司庁

また、文化施設の運営や制作管理の実績を買われ、このプロジェクトに加わったトータルメディア開発研究所の島村昌志さんは、別の視点で内宮の魅力を語る。
「“変わらないけどなぜか毎回ここへ来るたびに新鮮”に感じることが、凄いことだと思います」。

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“オカゲサマ”を軸とした
基本構想が決定……?

こうして入念なリサーチ期間を経て2024年7月、リニューアルの基本計画がWOWとトータルメディア開発研究所から提案された。新施設は、伊勢と異世界を掛けた、その名も「おかげ横丁 イセカイミュージアム」。伊勢参りに訪れた旅人に見立てた来館者が、館内で行われている「オカゲサマ」たちの祝祭に迷い込むという設定だ。

「オカゲサマ」とは、太陽、海、山、食べ物、道具、動物などといった伊勢の自然や文化に宿る精霊のような存在。旅人は、お面をかぶり人以外の存在になることで、「オカゲサマ」の本当の姿を見て、祭に参加できるようになる。

その仕掛けをWOWならではの表現力・映像の力を駆使した複数のコンテンツで演出するほか、「情景再構成」を得意とするトータルメディア開発研究所らしい、昼~夜~夜明けという時間の移り変わりも盛り込まれた構成だ。

満を持して提案されたこの企画は、その後、順調に進むかと思われた。

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伊勢神宮 内宮(皇大神宮)
住所|三重県伊勢市宇治館町1

伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)
住所|三重県伊勢市豊川町279

Tel|0596-24-1111(9:00〜16:00)
参拝時間|1〜4・9月/5:00〜18:00、5〜8月/5:00〜19:00、 10〜12月/5:00〜17:00

〈赤福の観光まちづくり〉
前編|赤福300年の歴史から見た「お伊勢参り」とは?
後編|伊勢の歴史や風土、食文化と出合う。

〈オカゲ屋敷-メイキング・ストーリー-〉
01|世界的クリエイター集結!「おかげ座」リブランディング始動
02|「伊勢だからこその表現」とは?

text: Makiko Shiraki(Arika Inc.) photo: Kenji Okazaki

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