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列車と車でめぐりたい、
《南九州》の美味しい旅。|前編

2024.11.26 PR
列車と車でめぐりたい、<br>《南九州》の美味しい旅。|前編

「九州の玄関口といえば?」
こう問えば、ほとんどの人が、福岡の博多・天神と答えるだろう。山陽新幹線を利用した場合は九州最初の停車駅は小倉駅になるが、観光を目的に九州を訪れた人の多くは博多駅を目指す。そして博多を基点とした旅程を計画する。

行きたい場所、見てみたい風景は九州に数多あり行き先に悩むが、この冬は熊本県、鹿児島県、宮崎県からなる“南九州”をめぐる旅をおすすめしたい。

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水不足に悩む台地を潤す、驚くべき知恵

博多駅から九州新幹線に乗車し目指したのは熊本駅。そこからレンタカーを利用して、2023年9月、国宝に指定された「通潤橋」まで足を伸ばしてみた。通潤橋は山都町という九州のちょうど真ん中あたりに位置する山間にあり、土木構造物が国宝に指定されるのは全国初だという。

1854(嘉永7)年に建設された石造水路橋で、サイホンとアーチを一体化させ、鞘石垣(さやいしがき)や裏築(うらづき)と呼ばれる技術を駆使してつくられた近世石橋の傑作。何より水源に乏しい白糸台地を潤すためにつくられた灌漑施設であり、この地における暮らしを守り、より豊かにしてくれた石橋である。山都町の人ならば誰もが知る、いわば町の誇りともいえる建造物だ。

そんな通潤橋でぜひ見てほしいのが橋からの放水。もともとは水が通る石管の堆積物を取り除くために行われていたものだが、いまは観光放水というかたちで観覧できるようになっている。

熊本最古の酒蔵が山都町に人を呼び込む

通潤橋で石工や先人たちの高い技術力を間近で見た後、橋よりももっと長い歴史があるという同じ町内の酒蔵を訪れた。
その名も「通潤酒造」。創業は1770(明和7)年と、熊本県内で最古の酒造で、2019年春にオープンした酒蔵カフェ「寛政蔵」が昨今、観光客に人気だ。1792(寛政4)年に建てられた酒蔵をカフェとして利用し、縁側の足元に美しい水をたたえた姿はまるで高級旅館のよう。

店内では利き酒セット(1100円〜)や通潤サングリア(660円)といった酒蔵ならではのメニューに加え、地元野菜をふんだんに使った通潤ランチ(1750円※土・日曜、祝日のみ提供)、数量限定の酒粕チーズケーキ(880円)といったフードやスイーツも味わえる。

酒蔵を見学してみると2016年4月に起こった熊本地震で大変な被害を受けたという記録を目にした。寛政蔵は約3年の歳月をかけてリノベーションして、いまの姿となったというから、まさに同酒蔵において復興のシンボルともいえそうだ。

熊本地震を自分ごとに

熊本地震から8年以上を経て、震災の傷跡を目にする機会や場所は少なくなった。もちろん、熊本城の石垣などはいまも修復途中だが、被害が特に大きかった南阿蘇村・立野地区の土砂崩れの現場などは完全に復興。崩落した阿蘇大橋に代わって新阿蘇大橋も2021年3月に開通し、南阿蘇エリアの復興は大きく進んだ。

一方で、熊本地震の記憶や経験、得られた教訓を風化させることなく後世に伝えていくために2023年7月にオープンした施設がある。それが「熊本地震震災ミュージアム KIOKU」。

震災遺物の展示、当時を振り返るシアター、震災遺構などを通して、熊本地震の被災の様子、発生メカニズム、防災について学ぶことができる。テレビのモニター越しに見ていた熊本地震だが、日本においては同じような地震がいつ何時、自分の身に降りかかってもおかしくない。

九州には息を吞むような豊かな絶景が数多くあるが、その大自然に対して畏敬の念を深めてくれる、こうした学びも得らえる施設といえよう。

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歴史ある邸宅で味わう地産フレンチ

熊本駅から九州新幹線で鹿児島中央駅へ。ディナーでどうしても訪れたいレストランが鹿児島市内にあったのだ。それが「マナーハウス島津重富荘 フレンチレストラン オトヌ」。

4000坪に及ぶ広大な敷地に武家屋敷造の邸宅、美しい滝もある庭園と圧巻のロケーション。昼は桜島を目の前に一望する景勝地として知られているが、庭に篝火が焚かれた幻想的な夜の雰囲気もいい。

レストランの総料理長を務めるのは、鹿児島県出身の宮元紳一郎さん。タチウオ、イサキといった近海で捕れた魚介、新鮮な地元野菜など、できる限り地の食材を多用したフレンチはアレンジを利かせた料理ばかりでひと口食べるごとに驚きの連続。宮崎県の都農ワインとのペアリングもぜひ楽しんでほしい。

熊本駅から山都町、南阿蘇村、鹿児島をめぐった南九州の旅1日目。2日目となる後編では、鹿児島から北上し、宮崎、大分の魅力を紹介していこう。

JR九州とJR西日本が2025年3月31日まで共同開催している「南九州DE超回復キャンペーン」が開催中。熊本・宮崎・鹿児島県内をより広域に周遊・観光できるよう「JR九州駅レンタカー」がお得になるプランもあり、24時間まで3000円(車種はSクラス限定)で借りられる。レンタカーの特別プランは2025年2月28日まで実施予定。詳しくは「南九州で超回復」で検索してほしい。

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南九州の旅2日目
宮崎・大分の魅力を紹介!

 
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text: Tsutomu Isayama photo: Robert Ippei

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