FOOD

新鋭ブルワリー《Teenage Brewing》
音楽家が醸す独創的なクラフトビール

2024.11.15
新鋭ブルワリー《Teenage Brewing》<br>音楽家が醸す独創的なクラフトビール

多様化・細分化する日本のクラフトビール界の中で、いま旋風を巻き起こしている埼玉・ときがわ町の「Teenage Brewing」。11月15日よりビアスタンド「立飲みビールボーイ」、渋谷PARCOとコラボした限定ビールが渋谷PARCOの5周年に合わせて限定販売される。楽家が感性とロジックで自由に表現する独創的なビールとは?

キルク 代表取締役
森 大地
ミュージシャン、醸造家。オルタナティブバンド「Aureole」の中心メンバーとして活動しながら自身のレーベル「kilk records」や、さいたま市などでライブハウス、飲食店の運営も手掛ける。

驚きの体験を重ねる
二度と会えないビールのレシピ

目の前にローカル線が走る里山を眺めながら、黄金色のビールをひと口。凝縮されたホップの苦みがほとばしり、トロピカルなフレーバーが口中に広がる。いま、最もハイプなブルワリーとしてクラフトビール界を席巻しているTeenage Brewingのビールには、名もなきパンクバンドのレコードにはじめて針を落とした瞬間のようなわくわくと驚きがある。

 

醸造家は、ミュージシャンでもある森大地さん。ローティーンの頃から30年、音楽やレーベル運営を続けながら経営するライブハウスや飲食店で、こだわりのクラフトビールを提供してきたという。

「10年以上前にブリュードッグの『パンクIPA』を飲み、デザインも含め、こんな自由なビールがあるんだと感動した体験が原点です」

ジャケットで選び、未知の味に驚き、思わず仲間にシェアしてしまう。「音楽とビールには人の心を動かす熱狂がある」と気づいた森さんは、コロナ禍で人生を見つめ直したとき、ビール醸造家への転身を決意。そこから敬愛する「BEER BRAIN BREWERY」で研修しながら、醸造やアロマ、化学、料理などの専門書で研究を続け、2023年6月にファーストバッチ「Teenager」をリリースした。

個性的な素材を
カクテルのように組み合わせる

森さんとともにレシピを考案するのは、ヘッドブルワー・及川季節さん。「曲づくりのようにイーストをドラム、モルトはベース、ホップをギターボーカルと見立てて組み立てることも」と森さん

「音楽をつくるときもですが、自分の存在意義は、何よりオリジナリティ。ビール造りも同じです」

ギターのFコードをはじめて弾けたときから、一日中ギターに触れていた10代のような初期衝動と自由な発想で造るビールは、アロマを立たせたHazy IPAやサワーエールを中心に強烈なインパクトを感じるものばかり。

感性だけではなく、質と量、投入のタイミングや温度管理にこだわり抜いたホップ使いや、ミクソロジーの手法に基づいたアロマ設計など化学的なロジックを取り入れ、ほかにはない味を造っている。同じレシピでは二度と造らない一期一会のラインアップは100バッチを超え、ビアフェスや音楽フェスでは行列をなし、新作をリリースすれば数分で完売。まさに快進撃だ。

「世界的な流れをキャッチしながら、常に新しい味に挑戦し、世界一のブルワリーを目指します」

ブルワリーを横目に、
約10種類のクラフトビールを堪能

醸造所兼タップルームがある埼玉・ときがわ町は、都心から約2時間の緑豊かな場所。元木工工場をリノベーションした100坪の開放的な空間で、約10種類のクラフトビールとフードが楽しめる。

Teenage Brewing/Taproom“bekkan”
住所|埼玉県比企郡ときがわ町馬場435-1
Tel:0493-81-5308
営業時間|火~金曜/11:00~16:30(L.O.16:00)、
     土・日曜、祝日/11:00~20:00(L.O.19:30)
定休日|月曜
https://teenage.jp

ジャケ買いのようにディグるビール

贅沢に使用するホップと麦芽に、多彩なフルーツをはじめ檜やずんだ、昆布出汁など意外性のある副材料を組み合わせて造るTeenage Brewingのビールは、ラベルも独創的だ。アーティストのmomo氏が手掛ける前衛的なイラストをベースにしたデザインは、レコードのジャケ買いのように選びたくなる楽しさに満ちている。

「デザインも味も万人受けは狙っていません。『まぁ普通だね』なんて思われない、刺さる人には深く刺さるビールが理想です。」

価格|未定/500㎖  原材料|麦芽(ドイツ製造)、小麦、ホップ/炭酸ガス アルコール度数|7.0%  スタイル|West Coast IPA

Interplay
ホップの華やかさが際立ったウェストコーストIPA。パッションフルーツや白ブドウを感じるジューシーなアロマが魅力。

価格|1450円/500㎖ 原材料|麦芽(ドイツ製造)、小麦、オーツ麦、ホップ、ラクトース /炭酸ガス アルコール度数|6.5% スタイル|DDH IPA

Entropy
メロンやマンゴーのようなトロピカル感と柑橘のアロマを利かせながらスムースなドリンカビリティと両立したDDH IPA。

価格|1340円/500㎖ 原材料|麦芽(ドイツ製造)、さくらんぼ、ホップ/炭酸ガス アルコール度数|8.0% スタイル|Imperial Red Ale W/ Fresh Cherries

Undercurrent
山形県産のさくらんぼを使用したインペリアルレッドエール。甘く芳醇なモルトの香りにドライフルーツのようなニュアンスが加わる。

価格|1350円/500㎖ 原材料|麦芽(ドイツ製造)、小麦、ホップ/炭酸ガス アルコール度数|4.0% スタイル|Session IPA

blueSky
鮮烈な柑橘系のホップの香りが印象的なセッションIPA。アルコール度数4%のライトなボディとキレは、多彩な料理と合わせやすい。

※全商品売り切れ次第終了

Teenage Brewing×立飲みビールボーイ×
渋谷PARCO×Discover Japan Lab.
“Yuugen”誕生!

価格|1650円/500㎖ 原材料|麦芽(ドイツ製造)、小麦、梨、ホップ 、鰹節、カボス、塩 / 炭酸ガス アルコール度数|5.0% スタイル|Gose W/ Dashi , Japanese Pear, Kabosu

Yuugen

①味わい
和梨のジューシーさとかぼすの酸味を主体としたサワーエールに鰹出汁の旨みが加わった味は、爽やかで滋味深い。サンマや鰹と合わせたい。

②原材料
和梨とかぼすに加え「日本のよさを出したかった」と話す森さんが選んだのは鰹出汁。個性的な材料をバランスよくまとめている。

③デザイン
「古典ではない現代的な日本の美をイメージした」Yuugenのコンセプトは、シックなうねりが躍動するモノトーンのアートにも表れている。

④ネーミング
「奥深く深遠で、計り知れない、という意味の『幽玄』からインスピレーションを得ました。じっくり向き合って飲んでほしいです」

「PARCO IS A THEATER」 -SHIBUYA PARCO 5TH ANNIVERSARY- 期間|2024年11月15日(金) 〜11月24日(日)

Teenage Brewingが、渋谷PARCOのビアバー「立飲みビールボーイ」と「渋谷PARCO」、そして「Discover Japan Lab.」とコラボレーションし、限定醸造ビール「Yuugen」をリリースする。このプロジェクトは、もともと親交のあったTeenage Brewingと立飲みビールボーイが発案し、Discover Japan Lab.が参画。そこに渋谷PARCOも共鳴し、開業5周年というメモリアルなタイミングでリリースが決定した。

「渋谷PARCOが、いつの時代も最先端でクリエイトしているモダンなジャパニーズカルチャーとDiscover Japanの日本の魅力を再発見するスピリットをビールで表現しました」

“Yuugen”ここでも飲めます!

国内外から厳選した銘柄を毎日10種類セレクトし、クラフトビールの楽しみ方を発信。鶏の照り焼きや牡蠣のフィッシュ&チップスなど、和洋折衷料理とともにカジュアルに味わえる。Yuugenはタップのグラス提供のみ。限定数につき早めの来店がおすすめ

立飲みビールボーイ 渋谷パルコ店
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO B1F
Tel|03-5422-3444
営業時間|11:30~22:30(14:00~16:00はドリンクのみ)
定休日|なし(施設の休館日に準ずる)
※イベント開催時は予約不可
www.craftbeermarket.jp/bb-shibuya-parco

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“Yuugen”がオンラインで買える!

公式オンラインショップ

※オンラインでは11月16日(土)20:00より販売開始予定

Teenage Brewing×立飲みビールボーイ×
渋谷PARCO×Discover Japan Lab.コラボビール“Yuugen”
期間|11月15日(金)~ 特別先行販売
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※立飲みビールボーイ 渋谷パルコ店では、タップでグラス提供のみ販売予定

text: Ryosuke Fujitani photo: Shiho Akiyama
2024年11月号「米と魚」

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