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コエドビールの物語
COEDOはほとんどが手作業。 だから〝クラフトビール〟なんです。

2019.8.8
コエドビールの物語<br>COEDOはほとんどが手作業。 だから〝クラフトビール〟なんです。

自然の力を利用した伝統農法が受け継がれている埼玉県の川越地域。地場の作物を使ったコエドのビールづくりの発想は、川越という地域だからこそ自然に芽生えたものだった。地域とともに歩み、クラフトビールのトップブランドに躍進したコエドの歴史をひも解く、全3回の連載《クラフトビール火付け役、コエドの物語》の初回。

COEDOクラフトビール醸造所
国内の専門店やレストランでの提供に加え、アジアやアメリカ、フランス、オーストラリアなど世界各国にも輸出する日本を代表するクラフトビールブランド。2015年には、初の海外タップルームが香港に誕生。

コエドの母体は、川越産の有機野菜を扱う農の専門商社。川越には昔から麦を畑に鍬きこんで地力を回復させる農法があり、その麦を有効利用してビールがつくれないかと考えていた。地場の農作物を加工した付加価値の高い商品を人々に知ってもらい、地域の農業を盛り上げたいと思ったのだ。1994年の酒税法改正よりも前のことだが、当時日本に麦芽を製造する独立法人がなく断念。1996年に川越産のサツマイモを使ったビールの醸造に成功した。

関東でサツマイモの栽培をはじめたのは川越地域が初。その名産を使ったビールを醸造し、地域性と生産者との出会いを通じて醸造所を設立したのがコエドビールのはじまり

翌1997年、埼玉県三芳町に工場を開設。ドイツからブラウマイスターを招き、コエドの職人は本場の醸造技術を吸収して自分たちがつくるビールの味に磨きをかけていった。このときに培われたクラフトマンシップ、職人による細やかなものづくりの精神は、のちに地ビールブームが下火になってから厳しい時代を乗り越えてコエドが起死回生を果たすカギとなる。現在のコエドは、世界的なビールのコンペティションで数多くの栄冠を手にするブルワリーに成長を遂げた。

2016年には工場を東松山市に移転し、緩やかな山並と田園に囲まれた緑豊かな丘の上で、周辺環境と一体になった生産活動に取り組んでいる。醸造所の建物は、もともと昭和50年代に企業の研修所として建てられたもの。建築法や建築構造の専門家、設計士、リノベーションに強い不動産会社などと特別なチームを編成し、美しいレンガ造りの様式を生かしたまま自分たちの基地につくり変えた。

旧工場から運び込んだ6000ℓタンク33本に加え、1万2000ℓタンク4本を増設。生産能力は高まったが、小ロットで多品種をつくるものづくりへの考え方やラインは変わらず、敷地内に掘った井戸からくみ上げた醸造用水と厳選した素材を使い、職人が一つひとつのタンクで育てるようにしてビールを醸している。

 

地ビールからの脱却、起死回生をかけた新生「COEDO」へ

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COEDOクラフトビール醸造所
住所|埼玉県東松山市大谷1352
Tel|0570-018-777
www.coedobrewery.com

文=達 弥生 写真=工藤裕之
2019年7月号 特集「うまいビールはどこにある?」


《クラフトビール火付け役、コエドの物語》
1|「ほとんどが手作業。 だから〝クラフト〟なんです」
2|地ビールからの脱却、起死回生をかけた新生「COEDO」
3|ビールはブランド、そしてコミュニティへ

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