渋谷パルコ《Bamboo Glass 個展》
“リデザイン”されたグラスが、いまの暮らしを彩る
ひとつのうつわをつくるのに、集中力と瞬発力、想像力を総動員。ガラス工芸はスポーツのようだと、三浦侑子さんは語ります。
いにしえのデザインを、現代に馴染むかたちにブラッシュアップした、Bamboo Glass(バンブーグラス)の個展が、2024年10月19日(土)〜10月27日(日)にかけて東京・渋谷パルコで開催。安定感があり、普段使いにも重宝する、“リデザイン”されたグラスとは?
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を10月22日(火)20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)
三浦侑子(みうら ゆうこ)
大阪府生まれ。京都造形芸術大学在学中に吹きガラスと出合う。富山ガラス造形研究所造形科にてガラスの基礎を学んだ後、静岡のガラス工房に勤務。2014年、岡山県鏡野町に工房「Bamboo Glass」を設立。
デザインのヒントは
“世界中の古いガラス図鑑”
「子どもの頃は、住宅の間取りを見るのが好きで、新聞の折り込みチラシをよく眺めていました」
そう語る三浦侑子さん。昔は空間デザインの仕事に憧れていたが、パソコンを思うように使いこなせず「自分は、汗をかきながら手を動かすほうが向いているのかもしれない」と、ものづくりの道を目指すことに。木工や陶芸など、いろいろ試した中で一番性に合っていたのがガラス工芸だった。
「炉で溶かしたガラスを吹き竿で巻き取り、息を吹き込み、膨らませながら成形していきます。この間およそ15〜20分。ガラスは熱でグニャグニャになり、まるで生き物のようになかなか言うことを聞いてくれません。一度つくりはじめたらやり直しが利かないので、瞬間、瞬間で作業をしていきます」。
こうして一気にひとつの作品をつくり上げる達成感に、これまで味わったことのない感動を覚えた。また自分をギリギリまで追い込み、いまこの瞬間だけに集中する。スポーツのようなガラスの世界に、アスリート気質の彼女はたちまち魅了された。
現在、三浦さんは岡山県北部の里山に工房を構え、作品づくりに勤しんでいる。意識しているのは、普段使いしやすいうつわであること。あえて適度な厚みと重さをもたせ、日々の食事でも気兼ねなく使えるような工夫をしている。あまりにも薄いと使うのに戸惑ってしまい、結局、食器棚の奥に眠ってしまいがちだからだ。
「デザインに関しては、主に世界中の古いガラス図鑑からヒントをもらっています。明治時代のレトロなカップから古代エジプトのオリエンタルなガラス瓶まで、時代も国もさまざま。現物はないので、古書を参考にベースとなるかたちをつくっていきます。さらに深さやフォルムをアレンジしながら、いまの暮らしに馴染むうつわへと整えていきます」
三浦さんの作品は安定感があり、どこかゆったりとした空気が漂う。その理由は、長い歴史を有するデザインのルーツに関係しているのかもしれない。つややかで透明感のあるうつわは陶器との相性もよく、テーブルのアクセントにもなる。一年を通して、日々の食卓で活躍しそうだ。
シンプルさがアクセントになる
作品ラインアップ
アイスクリームカップクリア
明治~大正時代のアンティークカップを参考に、すっきりとしたフォルムに仕上げた作品。冷製スープや小鉢としても重宝する。
ひねりモール足付グラススモーク
ステムが短く安定しているため、気負わず使える。表面に施した装飾が光に当たるとキラキラ光る。シンプルながらも華のある一脚。
紐飾皿スモーク
縁に入れたひも状のスリットがクラフト感たっぷり。デザインのポイントにもなっている。キュウリの千切りなど野菜料理が映える。
小壺花入れクリア
土器から着想を得た作品。ぷっくりとした中央の膨らみが愛らしい。花を一輪生けるだけで、その場の雰囲気が明るくなる。
水差し
ハンドル部分のクラシカルなカーブが、独自のニュアンスを醸し出す。食卓での利用のほか、花器として大胆に草花を生けても美しい。
モールグラスMクリア
縦縞のモール模様がデザインのこだわり。スタンダードなかたちで、冷茶やアイスコーヒーなどちょっと飲みたいときにちょうどいい。
読了ライン
個展作品の一部がオンラインでも買える!
公式オンラインショップ
Bamboo Glass 個展
会期|2024年10月19日(土)~10月27日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel |03-6455-2380
営業時間|11:00〜21:00
定休日|不定休
※最新情報は公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
text: Misa Hasebe photo: Shimpei Fukazawa
2024年11月号「京都」