青森県の県木である「青森ヒバ」。その魅力を広めたいと立ち上がったブランドが注目されている。彼らがつくるプロダクトには、日本の山を元気にするヒントがある。後編では、「Cul de Sac-JAPON(カルデサック-ジャポン)」のアイテムの数々を紹介する。
≪前の記事を読む
青森ヒバの力と風合いを生かしたアイテムづくり
2023年5月、東京・松陰神社前にあった工房を恵比寿に移転し、新たにショップを設けた。店に並ぶプロダクトの原料は、実家の製材所ではじかれる曲がった木や虫が食った木、端材、廃材、樹皮など。ヒバの有効成分が多く含まれる赤身部分は、チップにしたり、パウダーにして精油を取る。丸太の虫が食った部分を大きく取り除き、磨いて有機的なフォルムのスツールに。普通は捨てられる樹皮も、よく乾燥させて虫よけにする。故郷の山で、手塩にかけて育てられた青森ヒバ。かんな屑1枚すら無駄にしない。
アパレルでスタートした村口さんは、青森ヒバをファッションにも取り入れている。青森ヒバを使った繊維を開発したのだ。世界で唯一となるその糸は、木材を原料としたパルプでレーヨン繊維をつくる過程で青森ヒバ精油を練り込み、オーガニックコットンと混紡したもの。精油に含まれる成分が半永久的に効果を発揮するため、青森ヒバがもつ抗菌・防臭作用を維持できる。「この糸があれば、Tシャツやタオル、下着やセーターなどさまざまな製品をつくることができる。青森ヒバの新たな可能性にワクワクしています」。
読了ライン
日々を気持ちよく青森ヒバがしてくれる
Cul de Sac-WORKS 恵比寿店
住所|東京都渋谷区恵比寿2-6-25
Tel|03-6413-8473
営業時間|11:00〜19:00
定休日|日曜
text: Yukie Masumoto photo: Kenta Yoshizawa
Discover Japan 2023年9月号「木と生きる」