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大分県・由布市《界 由布院》
季節を映す棚田の景色に癒される由布院の湯宿

2022.10.6 PR
大分県・由布市《界 由布院》<br><small>季節を映す棚田の景色に癒される由布院の湯宿</small>

豊後富士と慕われる由布岳をはじめ、周囲を山々に囲まれた由布院温泉。大分の地名は「多き田」が転じたものともいわれ、この地にも古くから美しい田んぼが広がる。この8月にオープンした「界 由布院」は、由布院の原風景ともいえる棚田が敷地の中心にある。柔らかな湯と四季折々に色づく棚田の情景、カエルや虫たちの大合唱に、身も心もほぐれていく。

温泉旅館ブランド「界」とは?
「界」は、星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド。「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、季節の移ろいや和の趣、伝統を生かしながら現代のニーズに合わせたおもてなしを追求している。地域の伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽」や、地域文化に触れる客室「ご当地部屋」も魅力だ。
https://hoshinoresorts.com/ja/brands/kai

客室(2号棟・3号棟)から敷地の中心に広がる棚田を望む。左の客室は露天風呂付きのご当地部屋「蛍かごの間(棚田離れ)」。田んぼの中にどっぷりと身を置くと、驚くほど季節の音を感じられる

棚田がある原風景を五感で感じられる温泉宿

棚田と、奥に続く山々を一望できる「棚田テラス」。宿泊客に24時間開放され時間を忘れて寛げる。湯上がりに特製ビールとジビエソーセージを楽しむもよし(10月31日までの提供)。朝食後のコーヒーもおすすめ

観光客で賑わう由布院の中心部を抜け、山の中腹に佇む「界 由布院」へ。細い竹をあしらったエントランスを抜けると、農家の土間を思わせるロビーの先に、緑の棚田が広がっていた。

ここは由布院の中でも農村を思わせる静かな場所だ。50年ほど放置されていた棚田を復活させ、敷地のどこにいてもその棚田を感じられるよう建物がつくられた。設計とデザインを担当したのは隈研吾氏。「棚田は、ときに日本庭園よりも人間を感動させる」と、棚田のランドスケープを主役にした。

棚田は、稲作を中心とする日本の四季のリズムをダイレクトに感じることができる。春、田植え前の水が張られた田んぼに、空を流れる雲や真っ赤な夕焼けが映り込む。初夏はみずみずしい緑が目に眩しく、かわいいカエルがちらほら。夏の終わり、トンボがいっせいに舞うさまには圧倒されるし、秋、頭を垂れた稲穂が風に揺れる風景には理屈なく感動する。

訪れた日はあいにくの天気だった。雲が流れ、時折雨がざっと強まり、小雨になると山々の間に雲がわくのが見えたりする。雨が止むと、田んぼのほうから「ケロッ」と遠慮がちな声がする。それに応える声が上がったかと思うと、いつしかカエルの大合唱に。耳を澄ませばカエルは何種類もいるのがわかり、低音から高音まで、それぞれのメロディを奏でるポリフォニーのようだ。周りの雑木林では、カエルに負けじとセミたちが賑やかだし、そこに、やはり何種類もの秋の虫の音楽が重なる。

棚田を模した石組みの先に由布岳を一望する露天風呂。湯船に入るとザブンと湯があふれるのが快感。メタケイ酸を多く含む美肌の湯で、腰までの浅い寝湯もあり、出たり入ったりしながらのんびり長湯を楽しめる

総支配人の丹澤徹さんは、星野リゾートで20年以上勤め、代表の星野さんと苦楽をともにしてきた。宿の開業に合わせ、長年勤めた八ヶ岳からこの地に来て、まず感動したのがザーッと降る雨と、春先の棚田の水鏡に映る夕焼けだったそう。盆地である由布院は天候が変わりやすく、棚田の表情もころころと変わる。それもまたこの宿の魅力のひとつだろう。

翌朝、棚田に深い霧がかかる風景は、なんとも幻想的だった。その霧が晴れ、遠くに青空が見えはじめたと思ったら、あっという間に雲が流れて太陽が力強く照りつけた。目の前の棚田の表情が劇的に変わり、聞こえてくる生き物たちの音もいっそう賑やかだった。

由布院は、かつては別府十湯のひとつに数えられ、別府に次いで全国2位の湧出量と源泉数を誇る温泉郷だ。こちらの風呂は弱アルカリ性の単純温泉。大浴場にはかけ流しのあつ湯とぬる湯があり、交互に入ることで温浴効果を高めることができる。露天風呂で由布岳と裸で向き合うと、大きな懐に包み込まれたような安堵感が押し寄せ、本当に気持ちがいい。

館内全体で農家の家を表現
まず足を踏み入れるロビーは農家の土間をイメージ。かまどに見立てたカウンターには羽釜のオブジェが。カウンターもソファもモルタル製のオリジナルで、丸みを帯びた意匠に心和む
24時間寛げるライブラリー
ロビーに続くトラベルライブラリーは農家の板間を、その奥の棚田テラスは座敷を表現。棚田を見渡し、郷土にまつわる本が置かれた空間で、いつでもコーヒーやお茶をいただける
現代湯治を学ぶ「温泉いろは」
宿の湯守りがオリジナルの紙芝居を用い、由布院温泉の歴史や性質、この土地ならではの効果的な入浴法を教えてくれる。季節の酵素ドリンクが振る舞われ、入浴前のストレッチも
ぬる湯とあつ湯を交互にどうぞ
1泊の滞在でも効果的に湯治体験ができるようにと、内風呂に温度の異なるふたつの湯船を用意。まずは39℃ぬる湯で身体を慣らし、41〜42℃のあつ湯へ。数回繰り返すと自然と身体が整う
湯上がり処でご当地ドリンクを
大浴場の隣に、棚田を見渡せる湯上がり処がある。ここでは「カボス蜜」、「はだか麦茶ペパーミントブレンド」といったドリンクやアイスキャンディを用意。入浴後の水分補給に

稲作とともにある日本文化と
里山の恵みを満喫する

棚田の中に建つご当地部屋「蛍かごの間(棚田離れ)」。山の向こうに夕日が落ち、夜が訪れるまでの色彩の移ろいはドラマティック。畳は大分の国東半島でのみ栽培される七島藺を使用。その香りに癒される
界 由布院は、6タイプある客室すべてがご当地部屋「蛍かごの間」。大分産の竹のソファやヘッドボード、寝室の「蛍かご照明」など、大分の伝統工芸がさりげなく用いられている

棚田の中に滞在する。そんな体験ができる宿は、日本各地を見渡してもそうはないだろう。とにかく棚田を中心とした四季のリズム、時間の移ろいを感じられるようにと、客室には華美な装飾も現代アートもない。農村の民家を思わせるレイアウトで、離れの部屋には縁側がある。寝室のヘッドボードやソファは大分名産の竹でつくったオリジナル。蛍かごを模した照明は畳の材料となる七島藺を使用。素朴ながら土地に根ざしたしつらいが、とても贅沢なことに思えた。

客室の2号棟、3号棟は棚田ビューを楽しめる。夏でも夜はエアコン要らず。ぜひ窓を開けて季節の音を感じてほしい。ライティングデスクがあり、ワーケーション利用にもおすすめ
クヌギ林を望むご当地部屋「蛍かごの間(露天風呂付き和室)」。大分ではクヌギ林でシイタケを栽培する農家も多い。朝、お風呂から、アカゲラが木をつつく姿を見られることも

里山の恵みを五感で感じる仕掛けは、食事にも施されている。地元の米や旬の野菜、香り高いキノコに、近海の海の幸。クライマックスは、猪や鹿、アナグマなどのジビエを堪能できる「山のももんじ鍋」だ。アナグマとは初対面だった。「熊ですか?」とたずねると、イタチ科の動物で、イチゴやブドウなどの果物を好んで食べるため、脂がほんのり甘いという。さっぱりとしたカボスおろしを付けていただくと、なるほど、噛み締めるほどに果物由来らしい爽やかな甘みが感じられる。

麦わらなどで編んだ籠で蛍を飼い、小さな明かりとして使われてきた「蛍かご」。ここでは七島藺を用いてそれを模した照明をデザイン。蛍のように点滅する淡い光が窓に映る
ウェルカムドリンクとともに供される摘み草せんべい。由布院の野に咲く草花をあしらって

「山のももんじ鍋」でジビエを堪能する

山の肉を満喫できる「山のももんじ鍋」。スッポンの出汁を張った鍋で、猪は木の実ダレ、鹿は太白ゴマ油とフルーツ煮を合わせたタレ、アナグマはカボスおろし、牛はすき焼き風の黄身醤油でそれぞれ味わう

全国の界が各地の食材を用いた「ご当地先付け」にはじまり、メインは4種の肉をそれぞれに合うタレで堪能。季節の土鍋ご飯に至るまで、思い出に残る特別会席を。

棚田に面した食事処。朝食はカウンターが特等席になる。奥は半個室になっていて、心尽くしの食事をプライベート空間で味わえる。日中は夏のかき氷をはじめ、季節の甘味を提供
特別会席より、目にも華やかな宝楽盛り。季節の山海の幸をふんだんに用いた八寸、旬の魚のお造り、フグ皮と鶏皮の酢の物がテーブルに並び、日本酒が進むこと!
全国の界が力を入れる「ご当地先付け」。界 由布院の場合は、猪とシイタケの最中パテと、クレソンと猪の生ハムのサラダに仕立てた。カボスドレッシングで

厳選された地元のクラフトも扱う

ロビーの一画に設けられたセレクトショップ。地元のマダケを用いた竹製品や七島藺の小物、300年の伝統がある小鹿田焼(おんたやき)の器など、手づくりの温もりが伝わる品揃え

由布院の手仕事
「わら綯(な)い」体験

その地の文化を体験する「ご当地楽」。農閑期の手仕事のひとつ、わら綯いを体験できる。稲わらの感触を確かめながら、神事や祭りごとに用いる左綯いで、好みの水引を合わせてお守りをつくれる

九州エリアの「界」は、阿蘇、霧島、別府に続き、由布院が4軒目。山口・長門を加えた「界の九州周遊旅」に、由布院を含む3泊4日のコースが新たに加わった。航空券、宿泊、レンタカーの予約を同時にできるのがとても便利だ。ご当地の食や伝統文化、食にひと際力を注ぐ界だからこそ、九州を代表する温泉地をめぐり、それぞれの土地の個性を全身で感じてみてはいかがだろう。

 

界 由布院
住所|大分県由布市湯布院町川上398
Tel|0570-073-011(界予約センター)
客室数|45室料金:1泊2食付3万5000円〜(税込)
カード|AMEX、DINERS、JCB、Master、UC、VISA
IN|15:00
OUT|12:00
夕食|和食(食事処)
朝食|和食、洋食(食事処)
アクセス|車/大分自動車道湯布院ICから約15分 電車/JR由布院駅から送迎車で約10分(宿泊日の4日前までに要予約)
施設|大浴場、食事処、トラベルライブラリー、ショップなど
 
 

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text: Yukie Masumoto photo: Shinsuke Matsukawa
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