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奈良県曽爾村《大和コーラ》
薬草発祥地で生まれた古事記をテーマにしたクラフトコーラ

2022.9.13
奈良県曽爾村《大和コーラ》<br>薬草発祥地で生まれた古事記をテーマにしたクラフトコーラ

いま話題のノンアルコールドリンク、クラフトコーラ。つくられる土地の食材や風土を生かしたその味わいは、飲むだけで旅気分を味わえる。
“薬のはじまりの地”である奈良県宇陀地区にある曽爾村(そにむら)の「大和コーラ」。薬草を生かして地域を盛り上げる、日本の歴史や古事記をテーマにしたクラフトコーラとは?

薬草発祥の地の伝統を守り、未来へつなげる

奈良県の東北端に位置する曽爾村は、人口1300人ほどの小さな村。鎧岳や兜岳、屏風岩をはじめ、国の天然記念物に指定された珍しい柱状節理の美形が広がる。また、東側にある曽爾高原一帯は室生赤目青山国定公園にも指定され、関西屈指の高原リゾートとなっている。

曽爾村がある宇陀地域は、薬のはじまりの地としても知られている。日本書紀によると、日本最初の「薬猟(くすりがり)」という薬草などを摘む古代の習俗が行われた記録があり、この地が貢献の猟場であったことを示している。

そんな国内薬草栽培の一大メッカである曽爾村では、漢方薬などに使われるセリ科の薬草「大和当帰(やまととうき)」を栽培してきた。しかしながら、安価な海外産の漢方の影響を受け近年では栽培量も減り、その存続が危ぶまれている。そうした状況の中で、「曽爾村の薬草文化をどうにか繋ぐことはできないか」と立ち上がったのが立花弘晶さんだ。

曽爾村では、大和当帰はあくまで漢方薬の原料として栽培されてきた。このままでは事業の継続は難しいと考えた立花さんは、大和当帰を使った加工品をつくろうと思い立つ。だが、ビールやお茶、石けんなどはすでに周辺の自治体が開発に取り組んでおり、独自の加工品開発に着手できない日々が続いた。
「アイデアを探していたところ、クラフトコーラの存在を知り、これだ!と思いました」と立花さん。コーラはカレーと同様、何を入れてもベースさえ崩さなければコーラになる。曽爾村に古くからある薬草をコーラとしてアレンジすれば、曽爾村の魅力を広く発信できるのではないかと考え、クラフトコーラ開発をはじめた。

古代から受け継がれる自然豊かな恵みを「与る(あずかる)」、村の人々の想いや村の未来を「紡ぐ」、古事記の時代から続く曽爾の歴史を「繋げる」。
これらをテーマに試行錯誤を重ね、大和当帰だけではなく、奈良県特産の「大和橘(やまとたちばな)」や木肌などの地域に古来から伝わる食材も原料として取り入れ、大和コーラが完成した。

古来から受け継がれた柑橘や生薬が溶け込む
天然素材のクラフトコーラ

薬草文化発祥の地・大和で生まれた「大和コーラ」は、一般的なコーラに対するイメージを覆す身体にやさしいコーラで、飲んでも罪悪感が残らない。昔から脈々と受け継がれた大和の柑橘や生薬が持つ個性がそのまま生かされ、コーラに溶け込んでいる。素材の魅力を存分に体感できる一品だ。

日本固有の原種であり最古の柑橘である大和橘や昔ながらの漢方・生薬として大和当帰、キハダの実など、15種類以上のスパイスでつくられる。キハダの実と大和当帰は曽爾村産、大和橘は奈良県産。
原液を炭酸水で割るのがおすすめの飲み方。コーラならではの清涼感と鼻に抜ける薬草の香りがくせになる。

また大和橘の完熟度合や収穫時期、大和当帰の収穫時により味に差が生じることから、その時の製造ロットにしかない味に出合える。クラフト感や一期一会を愉しめるのも、大和コーラの特徴のひとつだ。

キハダの実。約1300年前に疫病から人々を救った漢方薬「陀羅尼助」の主原料
大和当帰の畑。根は血流の改善や滋養強壮に効果がある生薬として漢方薬に使用される。セロリのような爽やかな味わい
コーラをつくる第一段階の材料
お湯で割れば冷え性などにも効く、冬にうれしいホットドリンクに

数あるクラフトコーラの中でも際立つ個性を見せる大和コーラ。その誕生背景には、失われつつある地域の文化や歴史を守りたいという想いがあった。そんなストーリーに思い馳せながら、シュワっと爽快な一杯を愉しんでみてはいかがだろうか。

大和コーラ(大和可楽)
価格|1600円(税別/200㎖)、3300円(税別/720㎖)
原材料|きび砂糖、大和橘(奈良県産)、レモン、大和当帰(奈良県産)、木肌(奈良県産)、クローブ、オールスパイス、コーラナッツ、カルダモン、シナモン、その他スパイス類
http://soni-kogen.com/yamato/

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