FOOD

富山県富山市 林盛堂本店の
「鄙ぼうろ/ひなぼうろ」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2022.6.15
富山県富山市 林盛堂本店の<br>「鄙ぼうろ/ひなぼうろ」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、林盛堂本店自慢の小豆粉で仕上げた、素朴ながらも味わいとコクのある「鄙ぼうろ(ひなぼうろ)」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

和紙袋を開けると、湿気防止のために密封され、日持ちがする工夫がされている

富山駅から5つ目が越中八尾駅です。八尾の町は民謡おわら節の調べで踊る祭「おわら風の盆」でも知られています。また山に囲まれ坂の多い町は良質な和紙を生み出す風土に恵まれており、民藝運動に深く共感した吉田桂介は、この地に越中和紙「桂樹舎」を創立しました。

長年にわたって吉田と縁を結んだのは、地元で明治初期から5代続く老舗菓子舗「林盛堂」です。林盛堂の3代店主は、吉田という知己を得たことで、彼に菓子の包装デザインを多数依頼し、時折味の相談もしたそうです。

斑入りの美しい和紙袋に入った林盛堂の「鄙ぼうろ」。ウェブサイトには「京都にそばぼうろ、鄙びた越中八尾に小豆ぼうろ」とうたっています。鄙は「田舎」の意ですが、袋には「高志」の文字を入れ、志の高さを表明しています。小豆を煎って昔ながらの石臼で挽き、粉にした自家製小豆粉の風味にうっとり。口中に入れれば「鄙にもまれな美味」と感じます。南蛮ぼうろの製法でひと口サイズに成形したぼうろは、小さいの意の「雛」ぼうろとも呼びたいかわいさです。

袋状になった和紙のパッケージには、店の志の高さを表す「高志」の文字。小豆ぼうろ 大900円

林盛堂本店 富山本店
住所|富山県富山市八尾町福島3-8
Tel|076-454-4670
営業時間|9:00~18:00
定休日|なし
http://www.rinseidou-store.sakura.ne.jp/

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2022年7月号「沖縄にときめく/約450年続いた琉球王国の秘密」

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