伊豆諸島「三宅島」
火山と生きる島には、心豊かな暮らしがあった。
東京宝島は、なぜ美味しい?
空路、または海路でしか渡れない「島」がもつ魅力とは……。先住者のみならず、移住者も少なくない昨今、そこには人が居つく理由があるはずだ。そこで今回は旅の最大の魅力のひとつ、食を入り口に、「三宅島」に行きたくなる理由を探っていく。
特産品・明日葉の島料理を堪能する
三宅島めぐり
火山があることでその名が知られる三宅島。「火山体験遊歩道」からは青い海と赤錆色や黒色の溶岩が織りなす、三宅島ならではの風景が広がる。ここは1983年の噴火で流出した溶岩によって埋没した、阿古集落の跡地。19haと広大な溶岩原に木道がしつらえられ、噴火の威力を体感しながら散策できる。こうした厳しくも力強い自然からも三宅島の魅力が生み出されている。
「自然の厳しさが生んだ特産品が『明日葉』です」と話すのは、とある明日葉農家。収穫した翌日に葉が出るといわれるほど生命力にあふれ、独特の風味が食欲をそそる食材だ。天ぷらやお浸しなどの島料理に欠かせない。
明日葉などの島食材を使った料理を楽しめる宿を拠点に三宅島をめぐるのもいい。創業70年以上の名物老舗宿「ヤマノベ旅館」の田中康祺(こうき)・悠紀子さん夫妻は「自然は恐ろしくも美しい。だからこそ三宅島には心が豊かになる暮らしがあります」と教えてくれた。
旅の締めくくりは、村営温泉「ふるさとの湯」などで、火山の〝恵み〞の湯に浸かるのもいいだろう。
火山体験遊歩道
溶岩の下には約400戸の民家が埋没し、噴火の凄まじさを後世に伝える。避難訓練の成果や住民の冷静な行動により、この噴火による死者はなかったという。
Tel|04994-5-1144(三宅島観光協会)
時間|8:30~17:30
定休日|なし
www.miyakejima.gr.jp/see/kazantaikenyuhodou/
明日葉
セリ科の植物で、島内に自生する。近年の健康ブームにのって需要が高まり、生葉を育てるほか、粉や麺類、菓子などの加工品も生産するなど人気の特産品。
Tel|04994-5-1144(三宅島観光協会)
時間|8:30~17:30
定休日|なし
www.miyakejima.gr.jp/eatbuy
ふるさとの湯
なめると塩っ辛く茶色がかった、ナトリウム塩化物強塩泉の湯が特徴。露天風呂からは海に沈む夕陽も眺められる(12月〜3月は露天風呂は閉鎖)。
住所|東京都三宅島三宅村阿古644
Tel|04994-5-0426
時間|11:00~21:00(4~9月)、11:00~20:00(10~3月)
定休日|水曜(祝日の場合は翌日休)
ヤマノベ旅館
囲炉裏のある座敷で「御赦免料理」が食べられる老舗旅館。主人の田中さんが3年かけて開発したムロアジの手づくり燻製「あした葉燻製」は通販で購入可能だ。
住所|東京都三宅島三宅村阿古1544
Tel|04994-5-0317
料金|通常期1室2名、1泊2食付9900円~/人
miyakejima-yamanobe.com/
アクセス
飛行機|調布飛行場から新中央航空で約50分
船|東京竹芝桟橋から大型客船(夜行)で最短6時間30分。
ヘリコプター|東京愛らんどシャトルで八丈島から最短40分(御蔵島経由)
Tel|04994-5-1144(三宅島観光協会)
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text:Hazuki Nakamori,Tomoko Honma (Let It Be),Nao Ohmori,Akiko Tanazawa photo:Hiroyuki Kudo,Yuri Yamasaki,Yuichi Yokota,Hiroyuki Yoda illustration:Romi Watanabe map:Alto Dcraft
2022年2月号「美味しい魚の基本」