河井寬次郎が愛したカラフルなきり飴
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は陶芸家・河井寬次郎も好んで舐めていたという、御所飴本舗の「御所飴」を紹介する。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。民芸一家に生まれ、布芸展名義で、青森の民芸刺繍を新しく展開した『こぎん刺しの本』(文化出版局)がある
「暮しが仕事 仕事が暮し」の言葉を残したのは、陶工・河井寬次郎です。その言葉の実践ぶりをしのぶなら、京都五条に建つ「河井寬次郎記念館」を訪れるのが一番。
こちらは生前の寬次郎の住まい兼仕事場を公開したもので、建物の設計に加え、家具や調度品も寬次郎のデザイン。また独自の感性で選んだ収集品も展示されています。空間丸ごと寬次郎の世界観で満たされていて、暮らしと仕事の足跡を堪能できます。
中でも机の左脇に置いてある木彫りのこま犬のかわいらしさは必見。これは古い家具の柱を利用して寬次郎自身が彫り上げた脇息(肘掛け)。実は中をくり抜いてあり、物入れになっています。寬次郎は好物のきり飴などのお菓子を入れて晩年までそばに置いていたそう。
〝きり飴〟が気になって、館の学芸員で寬次郎の孫娘の鷺珠江さんにうかがったところ、寬次郎がよく散歩したお気に入りのコースの途中、三条小橋に昔からある「御所飴本舗」のものとのことでした。6種類の飴は多彩な味で美味しい。
御所飴本舗
住所|京都府京都市中京区三条河原町東入ル中島町98
Tel|075-213-3800
営業時間|11:00〜21:00
定休日|不定休
https://www.goshoame.co.jp/
text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2019年2月号 特集「この冬、心ほどける温泉へ」