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一度は訪れてみたい!
全国各地の林業遺産7選【後編】

2025.10.13
一度は訪れてみたい!<br>全国各地の林業遺産7選【後編】

林業の営みの痕跡は各地に残され、「林業遺産」として選定されている。この林業遺産をひも解けば、日本人と森林との関係性が見えてくるだろう。今回は、一度は訪れてみたい、全国各地の林業遺産を7つご紹介!

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05|〈和歌山県〉北山川観光筏下り
木材を流し運ぶための筏に乗船!

和歌山県北山村は筏流しの文化が息づく地だった。1960年代にはダムの建設によって途絶えたものの、地域住民の要望もあり、1979年から観光事業として復活

川の流れを利用して木材を運ぶ「筏流し(木材流送)」の一部の工程を体験できる。これは木が水に浮く性質を利用して、山中で切り倒した木材を一本ずつ沢に流し、下流で筏を組んで集積地である港などへ運ぶというもの。北山村では、一度途絶えた筏を組む技術を復活させた「筏下り」を楽しめる。

筏組みは「筏師」と呼ばれる職人が担当。木のかたちや太さなどを見極め、筏が安定するように組んでいく。北山村ではその技術が継承されている
©北山村

問|北山村観光センター
住所|和歌山県東牟婁郡北山村下尾井335
Tel|0735-49-2324
料金|7700円(5〜9月の運航)
www.vill.kitayama.wakayama.jp/kanko/ikada

06|〈島根県〉鉄の歴史村
たたら製鉄と林業のかかわりを知る

林業で用いる道具の多くは鉄製。道具づくりもまた、森林と深くかかわっているのだ。「菅谷たたら山内」の「高殿」。天井の高い建物に炉などが配置され、効率よく鉄を製造できる。国の重要有形民俗文化財に指定

砂鉄から鉄を製造する技術「たたら」は、砂鉄を炉で燃焼させる際に大量の木炭を使用した。日本古来の伝統的な製鉄のしくみを学べる博物館や、たたら製鉄の作業場の見学ができる。

鉄の歴史博物館の外観

問|鉄の歴史村地域振興事業団
住所|島根県雲南市吉田町吉田2533
Tel|0854-74-0311
開館時間|9:00~17:00(入館は16:00まで)
休館日|月曜
料金|菅谷たたら山内/350円 鉄の歴史博物館/580円
www.tetsunorekishimura.or.jp

07|〈鹿児島県〉屋久島トレッキング
かつての林業の活気を軌道に見つける

「ヤクスギランド」内にある土埋木(屋久杉の切り株)。江戸時代に切り出されたもの

一部が世界自然遺産に登録されている屋久島も、1970年代までは林業地で、林業従事者が暮らす集落も存在していた。縄文杉までの主要ルート(荒川登山口~縄文杉)上には、杉が切り出された跡や森林鉄道の軌道などが残る。また、貯木場がいまもある安房地区でも、多くの林業遺構に出合える。

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安房地区内のガードレールには、森林鉄道のレールが使用されている場所も
島東部「荒川登山口」付近には軌道が残る

問|屋久島観光協会
Tel|0997-46-2333
https://yakukan.jp

text: Discover Japan
2025年9月号「木と生きる2025」

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