TRAVEL

俳優・松井玲奈さんに聞く
ローカル鉄道旅の醍醐味とは?

2025.8.5
俳優・松井玲奈さんに聞く<br>ローカル鉄道旅の醍醐味とは?

「乗ること自体が旅」。俳優・松井玲奈さんは、ローカル線の魅力をそう語る。その土地に行かなければ乗れない鉄道は、旅の目的にもなり、もはや移動手段を超えた存在。今回は、埼玉・大宮にある「鉄道博物館」を訪れた松井さんに、ローカル鉄道の魅力や旅の醍醐味をうかがった。

松井玲奈(まつい れな)
1991年、愛知県生まれ。2008年デビュー。主な出演作は、映画『よだかの片想い』、NHK連続テレビ小説『まんぷく』、『エール』、『おむすび』、NHK大河ドラマ『どうする家康』。2025年7月より舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』にハーマイオニー・グレンジャー役で出演。

松井さんと埼玉・大宮の
「鉄道博物館」を訪ねて

埼玉・大宮にある「鉄道博物館」でまず目にするのはイギリスから輸入した1号機関車。「これが最初に展示されていることで、鉄道のはじまりを実感できます」と松井さん

鉄道の歴史や技術の資料に加え、新幹線や蒸気機関車、電車など、42両もの実物車両が展示されている鉄道博物館。「鉄道の歴史を学べるのが楽しいですし、知らない車両もたくさんあって見応え満点。昔の車両もノスタルジックで、すてきですよね」。

そう話している最中、「222形新幹線電車(200系)」の展示を見つけて、思わず駆け寄る俳優・松井玲奈さん。「かわいい~!愛知県育ちなので東北を走る緑色の新幹線が新鮮で、大好きなんです」

鉄道好きとしてさまざまなメディア出演経験もあるが、その原点となったのが新幹線なのだそう。
「名古屋の『リニア・鉄道館』が開館する際に行かせていただいて。歴代の新幹線車両の展示を見て、一つひとつの顔の違いを実感し、開発に携わる人たちの想いにも心打たれ、大好きになりました」

乗車自体が思い出になるのが
ローカル線の醍醐味

雪国の乗客を暖めた津軽鉄道のストーブ列車
1930年から冬に運転されている「ストーブ列車」。現在運行の列車は4代目だそう。石炭を燃料とするだるまストーブで暖を取り、集まった人々で談笑したりするという

「新幹線好きなのであまりローカル線には詳しくなくて」と謙遜する松井さんだが、いままで仕事などで多彩なローカル線に乗車してきた。「鉄道ロケのお昼ごはんはいつも駅そば。鉄道好きの先輩方に“行く先々で駅そばを食べるとその土地の思い出になるよ”と教えていただきました。確かに駅そばは全国にあり、土地ごとに出汁の風味や具材が違うので、ローカル線の楽しみになります」

松井さん自身は、プラスアルファのアクティビティがあるローカル線が好きなのだそう。「津軽鉄道の『ストーブ列車』で皆でスルメを焼いて食べたのが楽しくて。地元の豊橋鉄道でも夏はビール、冬はおでんが楽しめるのですが、そういう移動だけではない楽しみがあると、乗ったこと自体が旅の思い出になりますよね」

えちごトキめき鉄道『雪月花』のパノラマ風景

豪華な観光列車で旅した経験も忘れ難い思い出に。「えちごトキめき鉄道の『雪月花』や、しなの鉄道の『ろくもん』では、移動の過程も楽しむ素晴らしさを実感しました。

雪月花は海外の高速鉄道みたいに窓が大きくて、“パノラマってこういうこと!”と実感。稲が色づく頃に乗ったのですが、シートが黄色いので田んぼの景色との一体感があり、金色の稲穂の中を走っているような未体験の感覚を味わえました。ろくもんは停車駅ごとに地元の方や駅員さんがホームで見送ってくださるおもてなしにもほっこり。明治時代にタイムスリップしたような非日常感のある内装デザインもすてきでした」

その土地にちなんだデザインも見どころ

「オハ31形客車」にて。それまでの木製車体に代わり1927年から製造された丈夫な鋼製車体。この車両の晩年は津軽鉄道で「ストーブ列車」として活躍した

鉄道のデザインやインテリアにも関心の高い松井さん。「車体のカラーやロゴなど、ぱっと見るだけではわからない遊び心がちりばめられているので観察しがいがあって」

最近は駅舎もユニークなデザインのものが増えているのだそう。「北陸新幹線が延伸して新しくなった敦賀駅は、港町にちなんで船をイメージした内装。船の甲板のようなホームの木目調の床や、船のキャビンのような待合室、港で船を留めるビットのかたちのベンチなど、随所に船の要素が感じられたのが印象的です」

そんな松井さんがいま、特に好きな鉄道デザインはE7系北陸新幹線「かがやき」だという。「外装はもちろん、ロイヤルブルーとシャンパンゴールドのインテリアのグリーン車はプリンセスになった気分になれるんです」。独自のカラーリングは、金沢「成巽閣」の「群青の間」の色彩空間が参考にされているという。「その土地にまつわる素材や色を使った列車は、乗車中も旅気分を盛り上げてくれます。ご当地デザインに出合えることも、ローカル線の醍醐味ですね」

line

 

松井玲奈さんが旅に行きたい
ローカル鉄道10選

 
≫次の記事を読む

 

鉄道博物館
住所|埼玉県さいたま市大宮区大成町3-47
Tel|048-651-0088
開館時間|10:00~17:00(最終入館16:30)
休館日|火曜
料金|一般1600円
www.railway-museum.jp

 

松井玲奈さんに聞く鉄道旅!
01|ローカル鉄道旅の醍醐味とは?
02|松井玲奈が旅に行きたいローカル線10選

text: Miyo Yoshinaga photo: Maiko Fukui hair&make-up: MISU stylist: Chie Inui
ピアス5万1900円、右手薬指のリング4万6200円、右手人差し指のリング5万2200円(すべてトムウッド) 問:トムウッド青山店 Tel:03-6447-5528


2025年8月号「道をめぐる冒険。」

埼玉のオススメ記事

関連するテーマの人気記事