睡眠の質を高める環境づくり
|部屋、枕、パジャマのポイント
睡眠の効果やよりよい睡眠をめぐる科学的研究が進んでいる。ここでは、睡眠学の第一人者である内村直尚さんに、眠りについてうかがった。
監修=内村直尚(うちむら なおひさ)
久留米大学学長。日本睡眠学会理事長。睡眠医療の第一人者として、幼少期からの睡眠の大切さを知り、生活習慣の改善を目指す学習「眠育」の普及にも尽力。『知識ゼロでも楽しく読める!睡眠のしくみ』(西東社)など著書多数。
眠れる部屋のつくり方

質の高い睡眠には、主に「光・音・温度」を調整して理想的な環境に設定するのがよい。まず光に関しては、メラトニンの分泌を抑えないよう100lx未満、理想は豆電球程度の36lx以下に抑えるのが望ましい。遮光カーテンを用いて、外からの光をシャットアウトするのもおすすめだ。音は、図書館並みの静けさである40dB以下を保つとよい。そして室温は、夏は25℃以下、冬は19℃以上を目安にエアコンなどで一定に保つのが理想的。湿度は50~60%が快適とされる。寝具の場所にもこだわるなら、朝が苦手な人は朝日を浴びやすい窓際に配置すると、セロトニンが分泌されスムーズな覚醒につながる。
快眠へと導く枕の高さ、
マットレスの硬さ

快眠には、立ったときの姿勢に近い自然な寝姿勢を保つ寝具選びがポイント。枕は寝姿勢に合わせて高さを調整したい。仰向けでは首が5~15度前傾する高さ、横向きでは頭から背骨が一直線になる高さ(4~10㎝程度)が目安となる。うつ伏せでは首がねじれない高さ(0.5㎝~3㎝)が理想的。また、寝返りをしても頭が枕から落ちないよう、適度な弾力と十分な幅(60㎝以上)を備えたものを選ぶのがよい。マットレスは、背骨がゆるやかなS字カーブを描き、体圧を分散できる適度な硬さがベスト。柔らか過ぎると腰が沈み、硬過ぎると血流が悪化して寝返りを妨げるため注意しよう。
パジャマも、科学で養生

実は、パジャマに着替える行為そのものが、脳に「これから眠る」というサインを送る「入眠儀式」となり、副交感神経を優位にして自然な眠気を促してくれる。しかし、寝室環境をととのえ、入眠儀式を経ても、寝苦しいパジャマでは理想の快眠を得ることは難しい。選ぶポイントとしては、特に「温度・湿度の調節」と「寝返りのしやすさ」が重要。人は睡眠中にコップ1杯分の汗をかくため、吸湿性・放湿性に優れた綿やシルクなどの天然繊維を使ったものがよい。また、締めつけがなく伸縮性の高いものを選べば、血流を妨げずスムーズに寝返りが打てるようになり、熟睡につながる。さらに、遠赤外線効果で疲労回復を助けるリカバリーウェアもおすすめだ。
text: Kazunori Morikawa illustration: Honoka Yoshimoto
2026年6月号「ウェルネス入門」



































