渋谷パルコ《新道工房 個展》
繊細な絵付けと
手仕事の揺らぎを愛でるうつわ
伝統を重んじつつ、抜け感のある作風が人気の「新道工房」。さりげなく遊び心を盛り込んでいるのは、使い手に気軽に使ってもらいたいから。東京・渋谷パルコにて2026年4月25日(土)~5月5日(火)にかけて開催される「新道工房 個展」で出合える、繊細かつ華やかなうつわの数々が、食卓に彩りを添える。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2026年4月28日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

新道工房(しんどうこうぼう)
宮本茂利さんと妻・智子さんによる陶芸ユニット。2002年に愛知県瀬戸市で工房を設立。デザイン全般を二人で行い、型やろくろによる成形を茂利さんが、智子さんが絵付けを担当している。
古典絵付け×遊び心が醸す
“有機体”のような表情

普段使いのうつわに何を求めるだろうか。汎用性の高いデザイン、使い勝手のよいかたち? 求めるポイントは人それぞれ。
「新道工房」が作陶する場合は、楽しさやユーモアを意識するという。たとえば扇を描いた丸皿。よく見ると、絵柄のバランスが不均一で、どこか有機体のような息遣いを感じさせる。一方、角皿にはカラスや鷹のような大型の鳥が描かれているが、眺めているうちに鳥とも少し違う、架空の動物のようにも見えてくる…。
「ほほ笑ましいでしょう?この、少し抜けた感じが好きなんです。すべてが均等で完璧だと、使い手まで緊張してしまう。その点、揺らぎを感じさせるうつわなら、使う側も自然体でいられるので、食卓も和むと思うんですよね」と宮本茂利さんは語る。

新道工房といえば、智子さんによる細かな絵付けも魅力。動植物をモチーフにした絵柄は、ほのぼのとしていて愛らしい。料理が映える絶妙なデザインバランスが人気の理由
ある意味“不完全な状態”を意図的につくっているわけだが、それを感じさせない高い技術力は、茂利さんと妻の智子さんが、長年作陶に精進してきた証しだ。
二人はともに愛知県瀬戸市の窯業訓練校で焼物の基礎を学び、その後、石川県で九谷焼の技術を習得。2002年、再び瀬戸市に戻り、新道工房を設立した。伝統的なうつわを重んじ、中国・明時代末期の古染付や、江戸時代初期の古九谷(九谷焼)など、古典技法を現代風にアレンジした作品を創出している。
作業は分業制。企画やデザイン、成形や削りを茂利さんが担当。繊細な絵付けの図案と作業を智子さんが行っている。

絵柄は古い図録を参考に描いていく。扇や太鼓などの縁起柄のほか、中には架空の鳥や動物の姿も。リアルと空想が入り混じった幻想的な世界観が、使い手の胸をときめかせる。美しい色彩にも注目したい
「モチーフはすべて、古い図録を参考に描いています。幾何学模様や草花などの装飾はもちろん、動物たちの表情も、先人たちが描いたタッチを忠実に再現するように心掛けています。ゆるい感じに描くのは逆に難しいです」と智子さん。
控えめに答えつつ丁寧な筆致で、一本一本緻密な線を描いていく。古九谷風の鮮やかな色彩も魅力的で、顔料に土を混ぜて、あえて昔の質感に仕上げているというから驚きだ。

うつわを素焼きした後、数種類の筆を使って描いていく。緻密な幾何学模様から素朴な動植物まで、絵柄の種類は実にさまざま。「細かな絵柄は緊張しますが、その分やりがいを感じます」と智子さん
「かつてのうつわには、絵柄に一つひとつ意味がありました。たとえば末広がりの扇は開運や繁盛、巻物は知恵や長寿の象徴として親しまれていました。それらを来客の顔ぶりに合わせて自由に組み合わせてもてなしたそうです。豊かな時代でしたよね」と茂利さん。
新道工房が伝統的なうつわにこだわるのは、こうした古きよき食スタイルを、現代の人々にも知ってもらいたいから。遊び心あふれる一枚が、日々の食事に深みを与えてくれる。
食卓を彩り、和やかにする
新道工房のうつわラインアップ

赤絵瓔珞文引き手皿
インドの装飾をモチーフにした作品。中央には荘厳具として用いられる「瓔珞(ようらく)」が描かれる。濃淡、2種類の赤絵の具で表現。

染付扇文六寸皿
古染付の絵柄を再現。扇の中には鳥や松など、一つひとつ違う絵が描かれている。柄をあえて不均等に描き、素朴な雰囲気を出している。

色染付魚網文四・五寸鉢
釣り好きの宮本さんにとって、魚のモチーフも欠かせない。網の中には元気に泳ぎ回る魚の姿が。網の揺らぎ感が臨場感を与えている。

色絵鳥図隅入長角皿
古九谷様式の鮮やかな色彩。2辺には吉兆をもたらす巻物が描かれている。中央には架空の鳥が佇む。少し奇妙なモチーフに親しみがわく。

染付飛龍文八角小鉢
八角形のうつわは、邪気を払い、すべての方角から福を引き寄せる縁起のいいかたちとされている。小龍のあどけない表情に注目して。

赤絵飛龍文八角小鉢
江戸時代後期、石川県加賀市で活躍した名窯「宮本屋窯」の作品がモチーフ。水辺から飛び立つ小龍を色鮮やかに描いた趣あるひと皿。
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個展作品がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
新道工房 個展
会期|2026年4月25日(土)~5月5日(火)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日に整理券配布予定。
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2026年5月号「ようこそ!ニッポンのホテルへ」

































