FOOD

青森県弘前市
佐藤製菓の「大王当て」
《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》

2026.3.21
青森県弘前市<br>佐藤製菓の「大王当て」<br><small>《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香ふくだりかさんの《民芸お菓子巡礼》。今回は青森県弘前市にある、老舗駄菓子屋・佐藤製菓の「大王当て」をご紹介。

福田里香(ふくだ りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。15年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中。

桃色の薄紙をめくると景品がわかる。大王は大輪の牡丹、親は菊と水流を表す菊水、子は梅花

菓子型は用の美を備えた民藝品です。東京・駒場の日本民藝館では柳宗理が館長の時代に和菓子の菓子型展を2回開催。機関誌『民藝』でも日本の菓子型のみならず、李朝の餅型、中国、インドネシア、ヨーロッパの菓子型を掲載し、造形の奥深さを紹介した特集を組みました。

大判の菓子型が使われる機会が少なくなった昨今ですが、青森県に昭和初期から伝わる「大王当て」はいまも健在。津軽地方には子どもの道徳教育として地獄絵図が伝えられてきた歴史があり、閻魔大王が決めるくじの当たり・外れのごまかしはたとえ親でも許さないとのことから命名された菓名だそう。子・親・大王のくじ札もそこから生まれたと考えられています。

箱絵は閻魔大

桃色の薄紙をめくると景品がわかる仕組みのくじ台紙は現在も1枚ずつすべて手貼りです。めくる瞬間は大人になってもドキドキします。淡い紅色に染めた白あんの練り切りを大輪の花に型抜きしたものが大当たりの大王です。美しい意匠にまずうっとり。口に含めば、その白あんの柔らかな甘さに魅了されます。

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佐藤製菓
住所|青森県弘前市大字津賀野字宮崎68
Tel|0172-34-3356
営業時間|13:00〜17:00
定休日|水・日曜
https://tsugaru-atemono.jp/index.html

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2026年3月号「訪ねる建築 暮らす建築」

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