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ホテル ザ セレスティン東京芝
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グラフィックデザイナー・作家 太田和彦

2018.2.17 PR
ホテル ザ セレスティン東京芝<br/>×<br/>グラフィックデザイナー・作家 太田和彦
コーヒーや紅茶などソフトドリンクが用意され、自分の書斎のようにも使える14階のラウンジ

薩摩藩ゆかりの地にあるホテルで大人の滞在を

旅の原稿を書いているのでホテルに泊まるのは日常だ。東京のホテルに泊まることは少ないが、原稿書きでこもる時も、また上京する知人に、どこか良い所を教えろと言われることもある。

新装なった「ホテル ザ セレスティン東京芝」は東京タワーや芝公園、増上寺に近い都心の一等地だ。客室数243は、大ホテルたらず、ビジネス小ホテルたらず、旅にも仕事にもちょうど良い。

エントランスを入ったフロントロビーは開放感のある2階吹き抜けで、ブラウンを基調に木と石で構成した内装は品よく落着く。奥の大壁面は、ここはもと薩摩藩屋敷だった地縁による「薩摩切子」をモチーフに、白・薄茶・赤茶・黒が凹凸リズミカルに構成される。軽い仕切りや採光を和らげるのに多用される、薩摩藩島津の丸に十字の紋と、江戸の桜を亀甲つなぎにして透かした小紋スクリーンは、江戸にあった薩摩を表すか。

シックな和の表情を演出する小紋スクリーンは、ホテルが建つ土地の歴史にちなんだデザイン

私の本業はデザイナーで、ついこういうところに目がゆくが、明確なデザインポリシーやシンボルパターンを持つホテルは外国にも案外少なく、しかしここは演出した「和」過ぎず、日本を印象づける大人のインテリアだ。

それは14階のラウンジにも要所に使われ、泊まる部屋だけでなく、ホテル全体を自分の家のような居心地にする。寝椅子もある中庭パティオの見えるゆったりしたラウンジは斜めの舟底天井が書斎感をつくり、壁の書棚には『HOKUSAI』『KIMONO』『薩摩切子』などの美術書が楽しい。真ん中に置いた、温かみのあるブラックウォールナットの大きなテーブルは、セルフサービスの熱いコーヒーを脇にパソコンを見る、知らぬ同士が集う場所となっている。

大島紬をインテリアに取り入れたスペシャルルーム「つむぎ」

私の部屋は同じ十四階の広々とした「つむぎ」。窓の真下は米粒のように日比谷通りの車が走り、遠く隅田川も見える。ベッドヘッドボード上の、大島紬や様々な木板を直線と円でコラージュした色濃い装飾は鹿児島や沖縄の南国をイメージさせ、日本は北と南にながい列島であることを示唆する。

ホテルの部屋に入って最初にするのは、コートをロッカーにかけ、常備薬などの出張用洗面具をバスルームに下げ、空気清浄機の場所を変え、机の上の案内やメモ帳類をすべて片づけてパソコンを置き、仕事場をつくること。そしてメールをチェックするとようやくわが部屋となる。

それから着替えだ。私はホテルの部屋にいるときは常に裸にローブ一枚。来客もある事務所ではできないから、これぞホテルの醍醐味と思っている。今治タオルの白いバスローブは肌触り快適で今度買おう。そうして椅子にあぐらをかいて仕事開始。おっと、コーヒーを淹れよう。

ああ、よく働いたと外を見ると天候一変。暗くなった空は突風に吹雪が舞い、下の通りはもはや霞んで見えない。テレビをつけると東京は大雪注意報で帰宅が心配されるという。こちらは今日はホテル泊まりでその不安はなくラッキーだ。

都心で二十三センチの記録的大雪の始まりだった。それをよそに一階のセレスティンダイニング「ラ プルーズ東京」へ。大きなガラス一枚の外は暗く、襟をたてて足早に行く人には申し訳ないが、大喜びで雪だるまを作る親子の姿に心なごみながら夕食を。しっかりとしたフランス料理で、メインには鹿児島産の金目鯛や牛肉が用意されていた。

カフェ&バーラウンジ「セレクロワ」の焼酎「思無邪」を使ったオリジナル・カクテル1000円。ホテルオリジナルの白薩摩のタンブラーで提供される

部屋に戻ってしばらくソファ寝のあと、上着を着て一階のカフェ&バーラウンジ「セレクロワ」へ。すすめられたカクテルは、薩摩・島津斉彬の座右の銘「思無邪(心に邪念がなく、いつわりがないこと)」の名を付けた鹿児島だけで発売の焼酎に柚子をしぼり入れ、ソーダで満たしたもの。重厚な芋焼酎を柚子香が和らげる。

 「このカクテルの名はなんですか?」
 「いま考案中なんです」
 よし私が考えてやろうとしばし。
 「信念ある男を支える乙女の爽やかさ……〝薩摩娘〟でどう?」
 「ははー」と返事されたことでした。

採用されたかどうかは、再度訪問して確かめてみよう。

ロビー階にあり、オープンな空間にあるバー。待ち合わせの場所としてもいい

座るバーカウンターは玄関を入ったすぐ左でフロントが見え、いま日本に到着したらしい大きなトランクの団体や、大雪の中を戻ってほっとした様子の泊まり客などを見ていると旅情がわく。荷物を部屋に運ばせ、とりあえずカウンターで一杯と座った二人はカナダから来たと言った。

翌朝、銀世界となった外を見てから熱い朝風呂に。夜は外に出る私はホテルで夕食をとることはほとんどないが朝食は大切だ。ここは、以前奄美大島で食べた「鶏飯」がある。
丼にご飯をとり、ゆで薩摩地鶏・沢庵・椎茸煮をのせ、“豆乳と魚介のスープ”か“チキンブイヨンスープ”をかけ(私は豆乳の方に)、青ネギ、白ゴマ、ショウガ、糸海苔、柚子胡椒をお好みで。
すいすいすい。朝粥にも似た食べ心地は朝食に最適だ。チキンの方もいただきたいが、ぐっと魅力的な「開化カレー」も試したく、スープたっぷりのヒリ辛に汗じんわり。
たいへん結構な朝食を終え、地下鉄で事務所にご出勤したのでした。

DATA
ホテル ザ セレスティン東京芝
住所:東京都港区芝3−23-1
Tel: 03−5441−4111
チェックイン:15:00 チェックアウト:12:00
宿泊料金:1室1万7600円~(税・サービス料込 ※東京都宿泊税別)
www.celestinehotels.jp/tokyo-shiba/

Profile
1946 年生まれ。資生堂宣伝部でデザイナーとして活躍後独立。現在は居酒屋探訪家として日本各地の居酒屋をめぐり、多くの著作がある。「太田和彦の居酒屋味酒覧〈決定版〉精選204」(新潮社)など