PRODUCT

包みにも真心とストーリーを!
いま気になる「エシカルラッピング」

2021.12.21
<small>包みにも真心とストーリーを!</small><br>いま気になる「エシカルラッピング」

贈り物のラッピングを見直してみませんか? 捨てずに使い回せる逸品を包みとして用いれば、相手に喜んでもらえ、エシカルに対する意識も自然と高まります。いま考えたいエシカルラッピングについて長年バイヤーとして活躍されている山田遊さんに伺いました。

山田 遊(やまだ・ゆう)
IDÉEのバイヤーを経て2007年にmethod(メソッド)を設立。国立新美術館ミュージアムショップなどのバイイング、イベントの企画・立案、商業施設のプランニングなど活動は多岐にわたる

リユースできるもので
贈り物にプラスワン

コロナ禍では、いままで先延ばしや見て見ぬふりをしてきた課題が露出し、その対策に向けた動きが加速したように感じます。自然環境問題にしてもそう。契機になったのはレジ袋有料化でしょうか。僕らの仕事の周りでも、脱プラスチックという話に本腰が入ったと感じるようになりました。

ラッピングに関して僕が提案したいのは、リユースできるもの一択です。というのも、最近は環境にやさしい包装紙が登場していて、もちろんそれも大切ですが、日本のゴミ処理の現状を考えると本当の意味ではエシカルと言いにくい。たとえバナナリーフでつくった紙で包んでも、古紙で出さなければ焼却されてしまうし、生分解性の素材でも、コンポストに回さなければ土に還らない。だから風呂敷や手拭いのように、捨てないものが理想です。デザインがよければ贈り物にプラスワンできるし、もらった人もエシカルを意識するようになります。

藁や竹といった自然素材や、布のように再利用できるもので美しく包むというのは日本の伝統的な文化です。エシカルな包装で贈り物をするというムーブメントの「走り」と言えるかもしれません。

手拭いの専門店で聞いた話ですが、日本人はタオルの使い方が間違っているそうです。タオルは糸がループ状になっているからポンポンと当てるようにして水を吸収するものですが、日本人はついゴシゴシとこすってしまう。それは手拭い文化の表れだね、というわけです。手拭いは現代の暮らしにしっかり根づいているのですね。

最近いいなと思っているのは、みつろうラップです。僕も実際に使ってみて通常のラップの使用をためらうようになりましたし、包装にも使える。それに、もらったらうれしいものです。

伝統的な日本の包みの定番
「風呂敷」

風呂敷はそれだけで日本らしさを持ち合わせているから、現代的な柄を選んでもおもしろい。京都の風呂敷メーカー「むす美」は、使うシーンに合わせてデザインや素材、サイズなどを多彩に展開している。ひもやリボンは必要なく、シワが気にならないのも風呂敷のいいところ。服やストール、手袋といった柔らかいものは紙だと包みにくく、ならば箱に入れようかと過剰包装になりがちだ。そんなときこそ風呂敷で包むときれいに仕上がる。

<包んだ後はこんな使い方も!>
旅のスーツケースの中で服をまとめるときに便利。かさばらず、アジャストでき、服を取り出すのもスムーズ。スーツケースを開けたときの見た目もいい。

<使用したのはコチラ!>
100 MUSUBI ORGANIC
価格|4950円
サイズ|約W100×D100㎝
原材料|綿100%
カラー|ブルーグレー(右)、ブルー(左)
問い合わせ|むす美
Tel|0120-243-226
www.musubi-online.com

自宅でも外出先でも活躍
「手拭い」

日本酒やワインといった瓶ものを包むには、薄手で柔らかい手拭いが一番。サイズ感もちょうどいい。手拭い専門店「かまわぬ」の手拭いは、職人が「注染」という日本特有の技法で染めたもので、洗うほどに味が出る。つまり長く使うことを前提に染めており、色や柄が豊富で、デザインも秀逸だ。1枚で多様に使え、贈り物にプラスワンするアイテムとして、手頃な価格なのもいい。

<包んだ後はこんな使い方も!>
吸水性に優れた手拭いは、キッチンクロスとして使うのにも最適。柔らかいのでグラスの中を拭くのもスムーズ。何より濡れてもさっと乾くので衛生的だ。

<使用したのはコチラ!>
大菊
価格|1100円
サイズ|約W33×D90㎝
原材料|綿100%
カラー|ブルー
問い合わせ|かまわぬ
Tel|03-3797-4788
www.kamawanu.shop

食品以外にも使える注目品
「みつろうラップ」

水洗いして何度も使えるキッチンラップとして注目されるみつろうラップ。お菓子類などの食べ物だけではなく、アクセサリーやお猪口など、小さいものを包むにはとても便利なアイテムだ。「aco wrap(アコラップ)」は、岐阜県のみつろうをベースにしたオイルをオーガニックコットンの生地に染み込ませたもの。適度に張りがあって型崩れせず、平たいものでも折り紙のように使える。

<包んだ後はこんな使い方も!>
食品保存用のキッチンラップという本来の使い方。手の温かさで柔らかくなり、いろいろなかたちにフィットする。半年〜1年間、水洗いして繰り返し使える。

<使用したのはコチラ!>
aco wrap
価格|Sサイズ1320円、Mサイズ1650円、Lサイズ2915円
サイズ|Sサイズ約φ13㎝、Mサイズ約φ19㎝、Lサイズ約φ33㎝
原材料|オーガニックコットン、みつろう、オーガニックホホバオイル、天然樹脂
カラー|みつろう色、蘇芳色、泥色、翡翠色、青色
問い合わせ|aco wrap
Mail|info@acowrap.jp
https://acowrap.jp

小物を包んで贈りたい
「ハンカチ」

小さな風呂敷感覚で使えるハンカチも、伝統やSDGsを意識した製品が登場している。「小倉 縞縞」は、江戸時代に豊前小倉藩(福岡)で袴や帯に用いられた小倉織の丈夫で美しい縦縞の特長を生かし、現代版小倉織として誕生。この「SDGs 小風呂敷(ハンカチ)」は、回収された衣料品をリサイクルしてできた「BRING Material™」を素材の一部として横糸に使用。伝統と新しい技術が出合った好例だ。

<包んだ後はこんな使い方も!>
ハンカチやポケットチーフとして使えば、小倉織の美しい縦縞が着こなしのアクセントになる。ちなみに縞の色数は、SDGsの17の目標と同じく17色。

<使用したのはコチラ!>
SDGs 小風呂敷(ハンカチ) 綿×BRING™
価格|1980円
サイズ|W43×D43㎝
原材料|綿78%、再生ポリエステル22%
カラー|#128 SDGs Strong(左)、#129 SDGs Light(右)
問い合わせ|小倉 縞縞 本店
Tel|093-561-8152
https://shima-shima.jp

想いをずっと残せる水引も!

花輪に見立てた水引は華やぎをもたらし、吉祥文様である松結びをふたつ抱き合わせたデザインが祝福の気持ちを表している。2019年度グッドデザイン賞受賞

祝儀袋やポチ袋の類は、中身を出したら捨てられてしまう運命にある。でもスタンドを付けて水引の花輪をあしらった「TIER(タイヤー)」の祝儀袋は、水引を袋から外して立てることで飾っておけて、目にするたびに贈り手の気持ちやそのときのうれしさを思い出せるのがいい。日本の伝統工芸ともいえる水引をモダンな感性で用いたアイテムは、「邪気を払う」、「物事の成就を結ぶ」といった願いを込めて水引を結ぶ意味を、若い世代にも伝えてくれる。

スタンド花輪 祝儀袋
価格|1100円
セット内容|花輪本体1枚、包み紙1枚、帯用水引、中袋1枚、短冊4枚
サイズ|W9.5×H18.8㎝
原材料|紙
カラー|赤、白
問い合わせ|TIER
Mail|info@tiers.jp
https://tiers.stores.jp

text: Yukie Masumoto photo: Kazuya Hayashi
Discover Japan 2021年12月号「ストーリーのある贈り物」

RECOMMEND

READ MORE