愛知県豊田市 御菓子所まつ月の「松風栗むし羊羹」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は愛知県豊田市 御菓子所まつ月の「松風栗むし羊羹」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。8年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
愛知県の「豊田市民芸館」をご存じですか? 民芸好きなら一度は訪れたい場所です。ほかの地域の民芸館が単館または別館付きくらいの規模なのに対し、緑豊かな平戸橋公園の一画に位置する豊田市民芸館は、なんと“村”になっているのです。ここではテーマパークのように広い敷地を歩き回りながら、3館ある民芸館と資料館、西洋館、茶室、穴窯、陶塚などを鑑賞することができます。特に第一民芸館は1983(昭和58)年、東京駒場の日本民藝館の改築に伴い、その一部を譲り受けて移築した建物です。
豊田市民芸館を秋に訪れるならぜひ、お土産に購入したいのが、江戸時代、安政2(1855)年創業の老舗「御菓子所まつ月」の「松風栗むし羊羹」です。
普通、栗蒸し羊羹といえば羊羹単体ですが、御菓子所 まつ月では醤油やみりんなどで風味をつけた和風スポンジ生地である“松風”を合わせて、2層に仕立てます。もっちりと栗たっぷりに蒸し上がったあんに、ふんわり香ばしい松風……なるほど、絶妙な組み合わせです。
御菓子所 まつ月
住所|愛知県豊田市黒田町尾知59-5
Tel|0565-82-2050
営業時間|9:00〜18:00 ※季節により異なる
定休日|水曜
https://matsuzuki.jp
豊田市民芸館
入館無料(特別展は有料)
9:00〜17:00で開館(月曜休)
www.mingeikan.toyota.ichi.jp
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2020年10月 特集「新しい日本の旅スタイル」