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“何もしない”が許される楽園、「宮古」
宮古島に呼ばれた人々

2020.7.23
“何もしない”が許される楽園、「宮古」<br>宮古島に呼ばれた人々
宮古島と来間大橋でつながる来間島にある穴場的な「長間浜」。小さな看板を目印にサトウキビ畑を進むと美しい砂浜が広がる

ビームス「フェニカ」のディレクター・テリー・エリスさんと北村恵子さん、世界中を旅する写真家・石川直樹さん、3人はこれまで幾度となく宮古島を訪れていると言います。彼らが導かれたように足を運ぶ楽園・宮古島の魅力に迫る《宮古島に呼ばれた人々》。第1回はテリー・エリス、北村恵子夫妻に宮古島の楽しみ方を伺いました。

テリー・エリスさん
「フェニカ」ディレクター。ロンドンでスタイリストとして活躍後、パートナーである北村恵子とともに「フェニカ」のディレクションとバイイングを担当
北村恵子さん
「フェニカ」ディレクター。パートナーであるテリー・エリスとともに、ファッションアイテムからインテリアまで、独自の審美眼でセレクトする

沖縄を訪れる際は、まず現地でやちむんや琉球ガラスのグラスを購入し、ホテルで大好きな泡盛やビールを飲むことも多いのだとか

“デザインとクラフトの橋渡し”をテーマにしたビームス のレーベル「フェニカ」のディレクターでバイイングも担うテリー・エリス、北村恵子夫妻。独自の目線でセレクトした日本の民芸と北欧のインテリアなどを掛け合わせ、ファッションや生活雑貨などのアイテムを展開している。

彼らはディレクターとして世界中、日本中を駆け回り、さまざまな“もの”や“ものづくり”の現場を見てきた。工芸品や民芸の作品について勉強し、つくり手のもとへ何度も足を運び、気になった商品があれば実際に自分たちで購入して使ってみる。そうしてつくり手と顔を合わせて話をすることで信頼関係を築き、オリジナリティのあるフェニカの商品を仕上げていく。

柳宗理のバタフライスツール、松本民芸家具など彼らの目利きで一躍人気となったアイテムは数多くあるが、1998年から取り扱いをはじめた沖縄の“やちむん”もそのひとつだ。いまでこそ、暮らし回りのアイテムを展開するライフスタイルショップが多く存在するが、民藝のうつわをファッションのセレクトショップに最初に並べ、ファッションに敏感な若い世代に支持されるきっかけをつくったのは、二人の功績であるといっても過言ではない。

伊良部島の人気ビーチ「渡口の浜」。透明度が極めて高く、砂浜から沖へ向かってブルーのグラデーションが美しく続く

それからというもの、やちむんだけでなく工芸品を求めて、本島はもちろん八重山諸島、西表島など何度も沖縄に足を運ぶことになる。しかし、彼らにとって沖縄本島はあくまでビジネスの場。ものを探したり交渉をしたり、青い海を横目に仕事モードのスイッチは常にオンの状態だ。

宮古島も、はじめはしかり。麻織物の最高級品である「宮古上布」を探しに3泊4日の予定を組んだという。ところが、宮古上布は年間5反程度といわれるほど生産量が少なく、とてもフェニカで商品として展開できる規模ではない。ほかに目ぼしい工芸品が見つからず、用事は1日で済んでしまった。残りの3日間が思いがけずオフになったため、せっかくだからとビーチへ向かったという。

そこには、いままで見たことのないほど美しく透明な海が広がっていた。

はじめて仕事モードをオフにでき、心の底からリラックスできた経験をきっかけに、プライベートで20年来、30回近くも宮古島を訪れている二人。“楽園”となった宮古で、どんな島時間を過ごしているのだろうか?

「スケジュールはその日の流れ次第です。最初はびっちりと予定を立てていたのですが、『ここに連れて行ってあげるよ』、『このお店行ってみて』など、出会う人によってその後の予定が変わるため、スケジュールがいい意味で崩れてしまうんです」と、北村さん。それがわかってからは、流れに身を任せて楽しんでいるのだそう。

「天気がよければもちろん海にも行きます。宮古島や周辺の島のビーチは遠浅で、浜で泳ぐだけでもシュノーケルで多くの魚が見られます。ビーチでのんびりして、美味しいものが食べられたら十分」と、エリスさんは話す。

木陰に干していたのは、エリスさんが天然のユーズド加工を施したウェア。ビーチリゾートならどこでもまねできるので、スーツケースに好みのアイテムを忍ばせてみては?

特に予定を立てずに過ごすというが、そこはものへのこだわりが強いお二人のこと。おすすめスポットや美味しい店を聞くと、フットワーク軽くレンタカーを走らせる。そうしてお気に入りの店ができると、今度は何度も足を運ぶという。二人を見ていると、旅先でよいものや美味しいものに出合うポイントは、自らの足で動き、実際にものを見て買う、食べるを重ねて経験値を増やすことだと実感する。

さらにビーチでは、エリスさんがよく行う“海遊び”があるのだとか。「エリスは、洋服のまま海に入ってデニムを海水で洗ったり、砂をこすりつけて天然のヴィンテージ加工を楽しんでいます。ホテルに戻って洗剤を使わず真水で洗って乾かせば、短時間でもこなれた味わいを出すことができるんです。泳ぐような格好には見えない洋服で、そのまま海に入って泳ぎだすので、周りにいる人にびっくりされますけどね(笑)」。

text: Akiko Yamamoto photo: Tsunetaka Shimabukuro
2018年8月号 特集「あの憧れの楽園へ。」


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《宮古島に呼ばれた人々》
1|“何もしない”が許される楽園、「宮古」
2|エリスさん&北村さん流・楽園の過ごし方
3|ディープな宮古ナイトへようこそ

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