DJ編集部が忘れられない宿。
グルメな旅館編
数ある地方取材の中でやっぱり気になるのはその地域に根差したご当地食材や食べ方。「グルメな旅館編」では編集部が心打たれたという、美味しいひと皿が印象的だった旅館を紹介する。
温泉と暮らしが結び付いた村の心地がいい宿
村のホテル 住吉屋
野沢菜で知られる野沢温泉。村の中心、麻釜では村の人たちが卵や野菜をゆでています。そんな麻釜のすぐそばにあるのがこちら。印象的だったのが取り回し鉢で出される郷土料理。江戸時代から伝わる祝膳料理だとか。朝食には麻釜の“温泉玉子”も出ます。冬は部屋のこたつでぬくぬくと過ごしたい。自家源泉かけ流しの湯は熱めで湯もみして入ります。外湯めぐりもぜひ。
住所｜長野県下高井群野沢温泉村豊郷8713
電話｜0269-85-2005
料金｜1泊2食付1万7500円〜（税・サ別）
室数｜14室
施設｜ラウンジ、ライブラリー、
食事処｜あり
酒と酒肴、蕎麦。
ご主人との交流も持ち味の宿 旅館すぎもと
こちらの宿の名物といえば、ご主人の“花ちゃん”こと花岡貞夫さんが目の前で打ってくれるそば。夕食には日本酒に合う酒肴が並び、ついつい杯が進みます。ほろ酔いになった頃に出てくる冷たい手打ち蕎麦がたまりません。小誌の創刊間もない頃に、編集部全員で「松本におじゃまします。すぎもとに泊まって民藝めぐり」ツアーをしたのもいい思い出。
住所｜長野県松本市里山辺451-7
電話｜0263-32-3379
料金｜1泊2食付1万5000円〜（税別）
室数｜17室
施設｜オーディオルーム、談話室、家族風呂、貸切宿湯
温泉｜あり
地産地消の神髄
発酵の聖地はここにあり！ 徳山鮓
鮨の源流・熟鮓の食文化が育まれてきた滋賀・余呉湖のほとりに佇むオーベルジュ。昨年の発酵特集で取材させていただき、店主の徳山浩明さん自ら捕ってくる鮒や鰻、山菜など、地域の命をふんだんに用いた発酵料理に、終始口元がゆるんでいたことを覚えています。宿から見られる絶景“鏡湖”や徳山さん一家の人柄も含めて、何度も訪れたくなる名宿です。
住所｜滋賀県長浜市余呉町川並1408
電話｜0749-86-4045
料金｜1泊2食付3万8500円〜（食事利用の場合も要予約）
室数｜6室
施設｜展望テラス、露天風呂
温泉｜あり
まるで日本昔話の世界。
日本の美しさをしみじみと感じられる 美山荘
冬は降り積もる雪の中、夏は緑に染まる宿。広間やカウンターでいただく料理は、冬はジビエ、夏はアユ、摘み草など美山の旬が品よく並びます。部屋にお風呂はありませんが、時間ごとの高野槙の貸切風呂が気持ちがいい。さりげない季節のしつらいがまたすてき。都会の日常では触れられない、日本の美が染み入る宿です。
住所｜京都府京都市左京区花脊原地町375
電話｜075-746-0231
料金｜1泊2食付4万5000円〜 （税・サ別）
室数｜6室
施設｜食事処、貸切風呂
暮らすように滞在する？
いいえ、違います。 ここに暮らしに行くんです。他郷阿部家
ここは、阿部さんの家です。ごはんはつくってくれますが、3組のゲスト全員と家主も一緒に食卓を囲みます。親戚の家に遊びにきたような、そんな感覚です。特別なことは何もなくて、ただただそこに石見銀山の暮らしがあるだけ。阿部家に泊まると人、モノ、そして土地への愛情を思い切り感じます。「おむすび」がとびきりのごちそうになるんです！
住所｜島根県大田市大森町ハ159-1
電話｜0854-89-0022
料金｜1泊2食付2万7000円〜（税抜）
室数｜3室
施設｜ダイニング、浴場、蔵バー、書斎
杖立温泉名物“地獄蒸し”を生かし
細やかにつくられた懐石 米屋別荘
高温の温泉の蒸気を使って食材を蒸す“地獄蒸し”。温泉地ならではの技法と地元の食材を使った洗練された料理が素晴らしい。〆は地元の果物でつくったシロップを使った絶品かき氷（要予約）。温泉とお酒で熱くなった身体をクールダウンさせてくれます。そしてまた温泉がいいんです。保湿成分メタケイ酸を多く含んだ、かけ流しの湯は極楽です。
住所｜熊本県阿蘇郡小国町下城4162-4
電話｜0967-48-0507
料金｜1泊2食付母屋1万7750円、離れ2万3250〜2万6550円（税・サ込）
室数｜母屋2室、離れ3室
施設｜離れ、露天風呂
温泉｜あり
text：Discover Japana photo：Ko Miyaji,Akane Yamakita
2020年2月号 特集「世界に愛されるニッポンのホテル&名旅館」
《DJ編集部が厳選！忘れられない宿》
１｜癒される温泉編① ②
２｜グルメな旅館編
3｜旬の味を愉しむ編
４｜オーベルジュ編
５｜日本建築・庭園＆一棟貸し・古民家編
６｜ごほうびスパ編
７｜山のリゾート＆海のリゾート編
８｜おひとりさまでも編
９｜首都圏から気軽に編
