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香川の風土をたどる
名建築・アートの旅へ
後編|アート文化を名建築で愉しむ

2026.2.20 PR
香川の風土をたどる<br>名建築・アートの旅へ<br><small>後編|アート文化を名建築で愉しむ</small>

うどん県として親しまれる香川は、多様な表情を有している。そのひとつがアート県としての一面だ。各地に美術館があり、名建築も多数。「アート県かがわ」に至った背景とともに、おすすめのスポットを紹介していく。

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地域に根づくアート文化を、
建築と愉しむ

《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)》
街の暮らしとアートをつなぐ美術館

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の外観。親しみをもって美術館に来てくれたらうれしいと思い、「子どものいたずら書きのように描いた」と語った猪熊による壁画が印象的だ
photo: Yoshiro Masuda

丸亀市は1991年、市制90周年記念事業として丸亀駅前に「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」を開館。猪熊と懇意な間柄の建築家・谷口吉郎の息子、吉生が設計を担い、猪熊は「街との一体化」、「おおらかな空間」、「子どもの感性が育つ場所」をかなえる美術館を希望した。猪熊と吉生の対話により設計は進められ、完成した建物は「作品は建築によって引き立てられ、建築は作品によって美しさが与えられる」と語る吉生の言葉を見事に体現している。

1階のエントランスには『GETA』などの作品が飾られ、3階展示室入り口からは丸亀の街を一望。屋外広場「カスケードプラザ」には水が流れる滝のオブジェも

70年以上もの間、絵画における「美」と新しい表現を追求してきた画家・猪熊弦一郎。猪熊の残した絵画やドローイングなど約2万点の作品に加え、多数の資料を所蔵している。常設展や企画展で猪熊の活動を紹介するほか、現代美術の美術館としての顔ももち、マリーナ・アブラモヴィッチや杉本博司、塩田千春、中園孔二といった国内外のアーティストの企画展も開催。アート教育にも注力し、子どもが体験的に学べる場を提供する。猪熊の「美術館は心の病院」という意思を受け継ぎ、訪れた人の心が元気になる美術館であり続けている。

館内は光をふんだんに取り入れた開放的な空間。2階にはふたつの展示室があり、天井高約7mの3階の展示室へと続く

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(MIMOCA)
住所|香川県丸亀市浜町80-1
Tel|0877-24-7755
開館時間|10:00〜18:00(最終入館17:30)
休館日|月曜(祝日の場合は翌平日休)
料金|常設展300円 ※企画展は展覧会ごとに異なる
www.mimoca.jp
 

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《香川県立東山魁夷せとうち美術館》
瀬戸内の原風景に出合う、
アートを引き立てる谷口吉生建築

魁夷作の『道』を思わせるアプローチ。海の景色を遮るように植えられた木々は、開館から約20年の時を経て吉生の構想通り生い茂る

瀬戸大橋を望む坂出市沙弥島に建つ「香川県立東山魁夷せとうち美術館」も、吉生の建築だ。魁夷と吉郎の親交を通じ、その絵画を理解していた吉生。魁夷の代表作『道』を彷彿とさせるアプローチからはじまり、作品とじっくり向き合った後、階段を下りた先の1階ラウンジに広がる瀬戸内海の景色は、魁夷が描き続けた美しい風景への憧憬をかき立てる。

香川県立東山魁夷せとうち美術館の1階にあるカフェ「な・ぎ・さ」。椅子とテーブルの位置も竣工時に吉生が指定したという。瀬戸内海に架かる瀬戸大橋のライトグレーの色彩は魁夷が提案した

清澄な風景画を描く日本画の巨匠・東山魁夷の祖父が坂出市櫃石島の出身であることから、約300点の版画作品等の寄贈を受けて2005年に開館。櫃石島を正面に望むように建ち、天然石「バーモント・グリーン」を用いた外壁の建物は、瀬戸内海の風景と調和するように佇んでいる。階段でつながるふたつの展示室では、所蔵作品の一部を年4回のテーマ作品展で紹介。作品鑑賞後、1階ラウンジに突如として現れる静穏な景色に思わず息をのむ。ここに併設されたカフェで、魁夷の絵画の余韻にゆっくりと浸りたい。

天井高約6mの1階展示室

香川県立東山魁夷せとうち美術館
住所|香川県坂出市沙弥島字南通224-13
Tel|0877-44-1333
開館時間|9:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
料金|テーマ作品展400円、特別展800円
www.pref.kagawa.lg.jp/higashiyama

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《ジョージ ナカシマ記念館》
木と対話し生かすものづくりの
真骨頂を見て、体験する

普遍的な美しさを誇るジョージ・ナカシマの椅子の数々。桜製作所はジョージ・ナカシマが世界で唯一、家具づくりの技術を認め、1964年以来ともに家具を製作してきた工房だ

注文家具やジョージ・ナカシマの家具を製作する、桜製作所の工房に隣接する「ジョージ ナカシマ記念館」。2階展示室にはジョージ・ナカシマがはじめて手掛けた椅子や日米でつくられた家具、代表作『コノイドチェア』シリーズなど約60点の作品群がズラリと並び、1階のカフェではナカシマの家具で寛ぐことができる。木を愛し、自らを「ウッドワーカー(木匠)」と呼んだジョージ・ナカシマ。彼の作品を通じ、彼の生き方やものづくりの考え方を広く届けている。

カフェにある旧ショールームの梁には、ナカシマをはじめ猪熊弦一郎、イサム・ノグチ、剣持勇など多数の著名人のサインが

ジョージ ナカシマ記念館
住所|香川県高松市牟礼町大町1132-1(桜製作所内)
Tel|087-870-1020
開館時間|10:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日|日曜、祝日
料金|一般1000円、中小生 300円
www.sakurashop.co.jp/visit/george-nakashima-memorial-gallery

「デザイン知事」と呼ばれた金子や「香川のアートディレクター」の役割を果たした猪熊の功績は、数々の建築・アートスポットを有し、瀬戸内国際芸術祭を開催する、現在の香川に続いている。ここでしか出合えない芸術は無数にある。瀬戸内の穏やかな気候に身をゆだね、「アート県かがわ」の魅力に触れる旅へ、いざ行かん。

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香川の風土をたどる
名建築・アートの旅へ

前編|建築家・丹下健三が表現した“モダニズム”に浸る
後編|アート文化を名建築で愉しむ

text: Nao Ohmori photo: Mariko Taya
2026年2月号「訪ねる建築暮らす建築」

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