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“海の京都”で極上の松葉ガニを心ゆくまで堪能できる宿「茶六 別館」

2019.10.22
<b>“海の京都”で極上の松葉ガニを心ゆくまで堪能できる宿「茶六 別館」</b>
カニ酢でいただくゆでた間人ガニ(松葉ガニ)。緑のタグには、「たいざガニ」の名と船名が書いてある。一人前1/2杯

日本海に面し、京都市とは違った趣を見せる宮津にある日本旅館「茶六 別館」。冬なら松葉ガニと寒ブリ、初夏から夏であれば丹後とり貝や岩ガキ、秋の甘鯛など、四季折々の丹後の美味を満喫できる。

建物は昭和6年に建てられた木造2階建ての数寄屋造り

京都は雅な都のみにてあらず。京都市だけでなく、広く京都府全般の魅力をアピールしようとして、これまでと違った一面を見せる京都に注目が集まっている。

その代表ともいえるのが「海の京都」。京都市こそ海から遠いものの、京都府には、ちゃんと日本海に接する地域がある。たとえば宮津。京の街中から遠く離れ、日本海に面する街は、京の街がとうに失った侘び寂びをいまに残している。

網代天井に下地窓がある茶室風の玄関。クヌギの丸太に明かりをしつらえ、上がり口には風格ある石。館内には、大ぶりの石を配した中庭や趣のある渡り廊下も

それを象徴するかのような宿が「茶六別館」。宮津湾の中にあって、穏やかな水面を望む海の畔に建つ。古きよき宿の佇まい。まずは大仰に過ぎない玄関口が好ましい。うっかりすると通り過ぎてしまいそうに控えめな表構えで、それは玄関をくぐって板間に上がり込んでも続く。

華美な装飾などは一切なく、磨き込まれた廊下や、よく手入れの行き届いた庭の佇まいが、遠来の客をやさしく迎え入れる。庭園に囲まれ、中庭を包み込むようにして建つ宿は木造2階建てで、11の客室はすべてが異なる設え。数寄屋造りを基本としながら、書院、茶室と変化があって愉しい。

奥庭に面した数寄屋造りの「花月」。客室はひと部屋ずつ趣向が異なる

案内されたのは「井筒」の間。遠くに天橋立を望む、海側の2階部屋。壁一面にはめ込まれた屏風絵が印象的である。地板、天板、敷居に栃が使われ、落し懸けは百日紅、欄間は透かし彫りの一枚板。普請好きには堪えられない見事な意匠。

宮津には良質の温泉が湧き出ていて、無論のこと、この宿の大浴場にも温泉が引かれている。四国青石を使った岩風呂風の露天風呂は格別の心地よさで、旅の疲れを芯から癒してくれる。

四国青石の露天風呂。2カ所ある大浴場は時間による男女入れ替え制。季節によりシロバナジンチョウゲ、ツツジ、サツキなどの花々で彩られる。カエデの黄葉も。秋には金木犀の香りが満ちる

と、ここまではプレリュードに過ぎず、この宿の真骨頂は食。一年を通じて、旨いものには事欠かない宿だが、冬には食通垂涎の海の幸が食卓を華やかに彩る。

いわずと知れたカニ。宮津からひと山越えた、丹後半島の奥には間人ガニで知られる間人の港があり、さらに西に行くと津居山港がある。ここから京の料亭や割烹に運ばれ、その捕れ立ての松葉ガニを味わえるのだから贅沢の極みだ。

目の前で炭火で焼いてくれるカニはしっとりとして豊潤。甲羅味噌焼きもたまらなく美味。写真は2名分

刺身でねっとり甘く、焼いてたっぷり旨みを含み、カニ酢となれば風格すらたたえ、鍋に入ればだしの旨みまで染み込み、いつしか口の中でカニが踊り出す。清冽、かつ濃淳な雅味をも含み、カニとは、かくも複雑な味わいをもたらすものかと、心を高ぶらせる。

カニ三昧の宴だけで終わらないのがこの宿の強み。カニを相手に、真っ向勝負を挑むのが寒ブリ。薄造りにして碧く爽やか、ブリしゃぶにしてつややか。カニとブリの競演は、この宿ならではの贅沢。丹後の銘酒を合いの手に、「海の京都」を満喫できる。

茶六別館
住所:京都府宮津市島崎2039-4
Tel:0772-22-2177
Fax:0772-22-2178
E-mail:charoku@charoku.com
客室数:11室
料金:1泊2食付1万9000〜5万7000円(税別)
カード:AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA
IN:14:30 OUT:10:30
夕食:会席料理(部屋または食事処) 朝食:和食(食事処)
温泉:宮津温泉(含硫黄ナトリウム塩化物泉/源泉掛け流しではない/加温あり/加水あり/神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復など)
風呂:大浴場・露天男女別各1(6:00〜9:00、12:00〜23:00、温泉)、部屋風呂11
アクセス:車/京都縦貫自動車道宮津天橋立ICから約5分 電車/京都丹後鉄道宮津駅から徒歩10分。
京都丹後鉄道宮津駅もしくは天橋立駅まで送迎可(14:30〜18:00)
館内施設:食事処、宴会場、売店
Wi-Fi:あり
www.charoku.com

文=柏井 壽 写真=宮地 工
Discover Japan_TRAVEL「味わいの名宿」

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