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だから富山県の寿司は美味い。
昆布による食文化も堪能できる寿司名店【前編】
江戸前 寿司正(すしまさ)/太助鮨(たすけずし)

2023.2.20
だから富山県の寿司は美味い。<br>昆布による食文化も堪能できる寿司名店【前編】<br><small>江戸前 寿司正(すしまさ)/太助鮨(たすけずし)</small>
「江戸前 寿司正」で提供している「富山湾鮨」(3300円)。旬のネタを詰め込んでいる

「天然の生け簀」と呼ばれる富山湾は、美味しい魚介類の宝庫。日本に分布する魚介の約800種のうち約500種が生息するため、水揚げされる魚種も豊富だ。そのため富山県内の鮨屋に出向くと、富山湾の魚を存分に堪能できる。選りすぐりのネタを揃えたオススメの鮨屋をご紹介しよう。

富山市にある「江戸前 寿司正」で
「富山湾鮨」を味わう

現在、板場には山下さんと息子の稔さんの二人で立っている

山下信夫さんが富山市の千石町通り商店街に、「江戸前 寿司正」を開いたのは1969(昭和44)年。中学卒業と同時に弟子入りをした東京都・葛飾区の店から暖簾分けを許され、富山の地においても「江戸前」を屋号に掲げている。「開業当初は修行先の店の味、そのままを提供していたんですけどね。富山のお客さまの味覚や富山湾で捕れる魚に合うよう、改良を重ねていったんです」と山下さんは話す。

クルマダイの昆布締めの握り。「昆布締めには北海道産の利尻昆布を使用。薄く、幅と長さがあるので、昆布締めに最適なんですよ」

使用する魚介類は氷見漁港で水揚げされたもの。2代目となる息子の稔さんが毎日市場に足を運び、納得のいく旬の魚を仕入れてくる。ネタケースの中には常時約25種類が揃い、握りを中心に一品料理なども提供。富山湾の魚の魅力を問うと、「甘みが強いんですよ。立山連峰のミネラル豊富な雪解け水が海に流れ、魚のエサとなるプランクトンがよく育ち、美味しい魚になるんです」。

“富山の宝石”と呼ばれる白えびは、とろろ昆布の軍艦巻きで提供

人気は富山湾で捕れた地魚の鮨10貫と、富山らしい汁物が付いた「富山湾鮨」。「県外から来た人を、美味しい富山の鮨でもてなしたい」という思いから、富山県鮨商生活衛生同業組合加盟店を中心に2011(平成23)年から提供を開始したメニューで、県内には「富山湾鮨」を提供する鮨屋が50軒ほどあるという。

「富山湾鮨」は富山県産米を使用しているのも条件のひとつ。提供時にはネタについても説明してくれる

シャリには富山県で開発されたブランド米「富富富」を採用。「粘りが薄く、口に入れたときにパラパラとほぐれるんです。シャリ切りもいいですよ」と、熟練の職人である山下さんも太鼓判を押す米だ。ネタは魚の種類や状態、客の好みに応じて手当てを変える。鮮度のよさをいかす魚もあれば、昆布締めや1〜2日間寝かせる魚もあるなど、長年培ってきた技の見せ所といえよう。

富山湾の魚介類の魅力や地域に根付く文化など、気さくに聞かせてくれる話も楽しい

半世紀以上にわたり愛される「江戸前 寿司正」のカウンターの中で、山下さんは今日も鮨を握る。「板場で倒れたらごめんねと、息子には言っているんですよ」と山下さんは笑うが、開店した頃からの常連客や県外から毎月通う常連客も多いそうで、まだまだ引退はできない。「カウンター越しに交わす、お客さまとのコミュニケーションが大事なんです。お客さまの好みが分かるし、富山の文化も伝えられますから。こういった鮨屋の文化を守っていきたいですね」と、山下さんは常に未来を見据えている。

富山地方鉄道の路面電車「大手モール停留場」から徒歩2分の場所に店はある

江戸前 寿司正
住所|富山県富山市一番町4-29
Tel|076-421-3860
営業時間|月〜金曜11:30~13:30、17:00〜23:00、土・日曜・祝日17:00〜23:00
定休日|火曜日(年末年始とお盆は営業)
www.sushimasa.asia/

魚津の「太助鮨」で
新鮮な富山の魚の美味を堪能する

「太助鮨」の2代目、架谷直也さん。ネタの種類やシャリの大きさなど、好みに応じて握ってくれる

店主の架谷直也さんが2代目として「太助鮨」を継いだのは2015(平成27)年のこと。長年修行を積んだ日本料理の技と経験を生かし、握りをはじめ、焼き物、煮付け、蒸し物といった一品料理も数多く提供している。「鮨はもちろん、酒のつまみになる料理も学んできましたので。それらもご提供できれば、お客さまがもっと喜んでくださるかなと思ったんです」。

「おまかせ握り 華」(4400円)。ここに先付け、止椀、デザートが付く。ネタは仕入れによって異なるが、「平目を2貫入れてほしい」といったオーダーも可能

美味しさは無論のこと、見た目の美しさにもこだわるのが架谷さんの鮨だ。「美味しいのは大前提。ずっと繊細な日本料理をやってきましたから、丁寧に握り、綺麗に仕上げることを心がけています」と架谷さんは言う。

客を笑顔にする美しく美味しい鮨

魚の目利きにも手を抜かない。毎朝、店から車で5分ほどの魚津漁港まで足を運び、自身の目で見極めた魚を仲買人に競り落としてもらっているという。「うちで仕入れる魚介類はすべて地物です。先代の親父も地物しか扱いませんでしたしね。富山湾は魚種が豊富ということもあり、水揚げされる魚の品種が毎朝異なるんです。今日はアジがたくさん捕れたからといって、明日もいいアジが入るとは限りません」と話すように、その日その日でベストな魚を仕入れている。

ネタが輝いて見えるのは新鮮であるがゆえ。この日は約25種のネタが並んでいた

仕入れた魚は鮮度の高い状態ですぐに手当てを行う。「ここは新鮮なものが手に入りますから、昆布で締めたり、塩を振ったり、手当ては少し施すだけでいい。鮮度のよさを生かすため、魚を着飾るようなことはあまりしたくないんです。そうすると素直な美味さが感じられるんですよ」と架谷さん。

左から、かさご、平目、白えび、かわはぎの昆布締めの握り。「新鮮な魚を昆布で締めると、ねっとりした甘さが引き出されるんです」

シャリは米も鮨酢の配合も、先代ときから変えていない。米は魚津のブランド米「てんたかく」、鮨酢は米酢と塩と砂糖を使用しており、口に含むとシャリが心地よくほどけていく。ネタとの相性も抜群だ。「『美味しかった、また来るね』と言っていただけることが何より嬉しいですし、それが鮨職人としてのやりがいにつながっています」と、架谷さんは笑顔を見せる。

読了ライン

創業は1978(昭和53)年。店があるのは魚津駅からほど近い飲食店街の一角だ

太助鮨
住所|富山県魚津市駅前新町10-14
Tel|0765-24-7357
営業時間|17:00~23:00(L.O.22:30)
定休日|不定休

 

昆布による食文化も堪能できる寿司店
成希/咊香柰

 
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text:Nao Ohmori photo:Kenji Okazaki

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