ART

アート好きアイドル・和田彩花の
「私の好きなミュージアム。」

2022.10.17
アート好きアイドル・和田彩花の<br>「私の好きなミュージアム。」

幅広いメディアでアートについて発信する和田彩花さん。アートとは和田さんにとってどんな存在なのか、お気に入りのミュージアムや作品は?お話をうかがいました。

和田 彩花(わだ・あやか)
1994年生まれ。2009年、アイドルグループ「スマイレージ」(後に「アンジュルム」に改名)に選出。2019年に「アンジュルム」を卒業。現在は「ずっと憧れだった」というパリに長期滞在し、語学習得と並行して美術館めぐりも満喫する日々

この世界をどうやって見るかを
導いてくれたのがアートでした

原美術館ARC Photo:ShinyaKigure

アートに関心をもったきっかけは高校年生のとき、仕事の空き時間に母と一緒に行った美術館。

三菱一号館美術館」のオープン記念で開かれていたマネの展覧会でした。小さいときから絵を描くのは好きだったけど、本格的に「観る」という体験はそのときがはじめてで。マネは黒い絵具を多用したり、未完成だったり、ちょっと恐ろしいと感じるような絵も多い。美術の世界ってただ美しいだけじゃなくて、おもしろいなという気づきがありました。作品に添えられたキャプション(解説文)も興味深くて。そのときに観た『死せる闘牛士』という作品は、批判されてマネ自身が半分に切ってしまい、その下半分だけが展示されている。そんなエピソードを読んで、画家っていう存在がおもしろいなと思いました。それからは空き時間を見つけては美術館に通うようになり、大学受験の際に美術史を学ぶ学科があることを知って。仕事と学業を両立したいなと思って、絶対に美術史を学ぼうとスイッチが入りました。大学に入って4年間美術史を学びましたが、まだまだ物足りないと思って、大学院にも進んで。卒論も修論もマネをテーマに選びましたが、まだマネという存在はわからないままです。

ベルト・モリゾ『バルコニーの女と子ども』1872年油彩・カンヴァス石橋財団アーティゾン美術館蔵

特に興味のあるジャンルが絵画・近代美術なので、美術館もそのコレクションが充実しているところによく足を運びます。一番のお気に入りは「アーティゾン美術館」。収蔵作品ではベルト・モリゾの『バルコニーの女と子ども』がいいですね。全体的に暗い中で傘の色が輝いているなど、対比の美しさに惹かれます。この美術館の企画展で印象的だったのは、現代を生きる作家とコレクションのセッション的な展示。企画力もすごい!と感じました。建築も素晴らしいし、置かれているベンチやカフェのおしぼりまで、すべてが美的なもので埋め尽くされていて、本当に大好きな場所です。

建物が好きな美術館はと聞かれたら、目黒の「東京都庭園美術館」ですね。何といってもアール・デコの建築が素晴らしい。館内のどこを見ても装飾が美しくて、フランスでも失われつつある建築様式が日本でこんなに保存されていることに感動します。

オディロン・ルドン『青い花瓶の花々』岐阜県美術館蔵

国立西洋美術館」は、マネの作品が常設展で見られる数少ない場所。どうしても企画展のほうが注目されがちだけど、常設展のために訪れる美術館も楽しいですよ。皆さんも、近くの美術館のコレクションをぜひ調べてみてほしいです。たとえば「岐阜県美術館」はルドンの作品を約250点も所蔵していて、世界的にも有名なんです。祖国のフランスから遠く離れた日本でそんなに充実したコレクションがあるって、すごいことですよね。東京以外にも素晴らしい美術館があると実感します。そういえば、品川にあった「原美術館」が閉館して、別館と統合するかたちで「原美術館ARC」として群馬に移転しました。私は群馬出身なのですが、近くに牧場があったりとても広大な敷地で、美術館から見える山々もきれい。群馬のいいところが詰まった場所で、すてきな作品たちを鑑賞できるのが最高ですね。自分が住んでいた県の中にこんな場所ができてうれしいです。美術館を目的に旅するのもいいですね。

10代半ば、自分の世界をこれからつくっていくという年齢でアートと出合えたのは幸運でした。この世界をどうやって見るかを導いてくれたのがアートなんです。アートは一個人であることを大切にできて、自分の思いを表現してかたちにすることを許される世界だから新しい視点を与えてくれるし、生きていく上で欠かせない存在。27歳になったいまは、絵画と一緒に世界のことを考えている感じです。答えはないけど、自分で考えることは大切だし、その機会をつくってくれて一緒に歩んでくれるのがアートという気がします。もっとナチュラルに「疲れたから絵画を見に行こう」という癒しの存在でもありますね。いまの私にできることは、研究というより発信。美術館や作品の素晴らしさを、たくさん伝えていけたらいいな。

「地元のすてきなミュージアム」
原美術館ARC
「原美術館」と別館「ハラミュージアムアーク」を統合し、2021年4月にオープン。広大な敷地の随所に現代アートを展示
住所|群馬県渋川市金井2855-1
Tel|0279-24-6585
https://www.haramuseum.or.jp/jp/arc/

「旅の目的にしたい」
岐阜県美術館
1982年に開館し、2019年にリニューアルオープン。県ゆかりの芸術家に加え、ルドンの作品を多数収蔵。館長は日比野克彦さん
住所|岐阜県岐阜市宇佐4ー1ー22
Tel|058-271-1313
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/

「すべてが美しい場所」
アーティゾン美術館
旧「ブリヂストン美術館」が2020年に名前も新たに開館。モリゾのほかマティスなど西洋絵画コレクションは日本有数
住所|東京都中央区京橋1ー7-2
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.artizon.museum/

「マネをリアルに見られる場所」
国立西洋美術館

https://www.nmwa.go.jp/jp/index.html

「アール・デコの素晴らしい建物」
東京都庭園美術館

https://www.teien-art-museum.ne.jp/

和田彩花公式サイト
http://wadaayaka.com/

和田彩花公式Instagram
https://www.instagram.com/ayaka.wada.official/

Photo:ShinyaKigure
Discover Japan9月号「ワクワクさせるミュージアム!/完全保存版ミュージアムガイド55」

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