浮世絵から知る、
江戸時代の夏の過ごし方(娯楽)
|江戸っ子の納涼の知恵
両国に夕涼みに出掛けて花火を楽しむ、風鈴を吊るして朝顔を愛でる、振り売りが売り歩く麦湯を飲んでひと息つく……。電気のない時代に、五感で涼をとった江戸の人々。いまこそ、その豊かな感性や粋な涼の知恵に学びたい。
《娯楽》
涼むための
「水ごり」が流行!

(部分)『隅田川図屏風』江戸時代/東京都江戸東京博物館蔵
夏になると江戸っ子は、神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社へ大山詣りに出掛けた。表向きは信仰の旅だが、物見遊山も目的。「大山詣りの前には、必ず両国橋の袂で身体を清める水ごりをしました。信心もあったでしょうが、暑さをしのぐ水浴びとしても楽しんでいました」と沓沢さん。近郊では目黒不動や王子不動へと滝浴みに。こちらも信仰というより行楽の意味合いが強かった。

歌川広重『名所江戸百景 王子不動之滝』江戸末期/東京都江戸東京博物館蔵
歌舞伎には
怪談・水を使う演目が登場

香蝶楼豊国『見立三十六句撰 団七九郎兵衛』1857(安政4)年/国立国会図書館デジタルコレクション
怪談や残忍な殺人シーンなど背筋の凍る作品を上演し、その演出で暑さを忘れる“涼み芝居”は夏の定番。「芝居小屋は人が集まり大変な暑さになるため、水を使った本水の演出はとても人気がありました」
船で川を行き、花火を愉しむ

渓斎英泉『東都両国橋夕涼図』江戸末期/東京都江戸東京博物館蔵
江戸の人々は、大小の船に乗って川面に繰り出し、納涼を楽しんだ。屋形船を仕立て粋な芸者遊びをする大名や豪商もいれば、小船に乗って酒や果物で夏を味わう町人の姿も。誰もが楽しんだ花火の費用は、幕府や諸大名、川の両岸に住む豪商たちが負担した。
「金魚玉」で
金魚を愛でる文化も

喜多川歌麿『金魚遊び』江戸時代/東京国立博物館蔵
江戸初期は大名や豪商など裕福な人々しか飼えなかった金魚だが、江戸後期になると養殖が進み、庶民でも手に入るように。金魚売りは、金魚とともにガラス製の金魚玉を販売した。愛らしい金魚を買い求めた人々は、金魚玉を軒先に吊るし、ガラス越しに泳ぐ姿を愛でたという。大きな鉢で飼育する様子なども浮世絵に描かれている。
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01|恒松祐里と行く《江戸東京博物館》へ
02|江戸時代の庶民の暮らし
03|江戸時代の納涼(住まい・必需品)
04|江戸時代の納涼(食・ファッション)
05|江戸時代の納涼(娯楽)
text: Yukiko Mori
2026年7月号「納涼、しましょ。」


































