浮世絵から知る、
江戸時代の夏の過ごし方
(食・ファッション)
|江戸っ子の納涼の知恵
両国に夕涼みに出掛けて花火を楽しむ、風鈴を吊るして朝顔を愛でる、振り売りが売り歩く麦湯を飲んでひと息つく……。電気のない時代に、五感で涼をとった江戸の人々。いまこそ、その豊かな感性や粋な涼の知恵に学びたい。
《食》
水売り、水菓子売りが
大人気!

歌川国貞『俳優見立夏商人 水売り』江戸末期/東京都江戸東京博物館蔵
旧暦5月を迎えると、冷水、ところてん、白玉売りが、売り声を高らかに町々を練り歩く。「『ひゃっこい、ひゃっこい』との声に惹かれ、冷水や白玉入りの砂糖水などを買っていました。昼には暑さでぬるくなるけれど、涼しげな見た目も好まれたのでしょう」。冷水売りと白玉売りは兼業が多かった。またひと切れずつ切られたスイカやウリを売り歩く、水菓子売りも人気だった。

歌川国虎『江戸両国橋夕涼大花火之図』(部分)江戸後期 文化~天保頃/東京都江戸東京博物館蔵
庶民定番の飲み物は
温かい麦茶

渓斎英泉『十二ヶ月の内 六月 門涼』江戸末期/東京都江戸東京博物館蔵
江戸の夏の飲み物といえば、現代と変わらぬ麦茶。しかし伝染病を恐れる人々は、真夏の盛りには熱いものを好んで飲んだという。「当時は麦湯と呼び、熱くして飲みました。熱い甘酒も好まれていました」と沓沢さん。
氷はとても手が
届かないものだった
加賀藩・前田家では江戸藩邸の氷室に詰めていた雪を、旧暦6月1日※3に氷として幕府へと献上した。明治時代になるまで、氷は庶民の手には届かない贅沢品だった。
※3 現在(新暦)の7月14日頃のこと。
皆の憧れ、初鰹

歌川豊国『十二月の内 卯月 初時鳥』江戸末期/東京都江戸東京博物館蔵
初鰹が出回りはじめると、いち早く鰹を食べて、“初物食い”を自慢したいと躍起になった見栄っ張りの江戸っ子。また江戸時代には「初物七十五日」との言葉がよく使われ、初物を食べると寿命が75日延びると信じられていたために、江戸庶民は初物を珍重した。
《ファッション》
夜は浴衣で夕涼み

歌川広重『夕涼市中の賑ひ』1868(慶応4)年/東京都江戸東京博物館蔵
古くは湯浴着だった浴衣は、江戸初期には湯屋と呼ぶ銭湯帰りに着用。江戸後期には色柄が染め抜かれ、家着から夜の外出着へと価値観も一新。当初は男性だけだったが、女性も浴衣で外出するようになった。江戸の風俗誌『守貞謾稿』には、「昼は浴衣にて外出を憚る婦女も夜は浴衣にして外出するものもあり」と記されている。
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01|恒松祐里と行く《江戸東京博物館》へ
02|江戸時代の庶民の暮らし
03|江戸時代の納涼(住まい・必需品)
04|江戸時代の納涼(食・ファッション)
05|江戸時代の納涼(娯楽)
text: Yukiko Mori
2026年7月号「納涼、しましょ。」


































