「からあげビーチ」”食の多様性”について親子で学べる絵本
キリーロバ・ナージャ 著
楽しさと実用性をかねた全く新しい作品を生み出している株式会社文響社は、マイノリティの子どもを応援する絵本シリーズ第1作「からあげビーチ」を、2021年5月13日に発売した。
昨今では、大手外食チェーンがイスラム教の人向けメニューを用意する、ベジタリアン向けレストランが増える、アレルギー表示の導入など、食の選択肢が広がりつつある一方で、日本には「出されたものは全部食べる」という考え方も存在する。アレルギー、宗教、主義など、人とは違う事情があり、食にも多様性があるということを、親しみやすいからあげのストーリーを通じて子どもに教える絵本となっている。
この絵本が生まれたストーリー
著者のキリーロバ・ナージャさんは12歳でベジタリアンになることを決めてから、日本にくると「お弁当や給食などを残さずに食べたいのに、食べられない」という経験を何度もしてきた。ベジタリアンは日本ではまだ珍しいかもしれないが、アレルギーや宗教などを理由に、食べられないものがある子どもはこれからも増えていくだろう。
考え方や宗教、体質は変えられないけれど、「お弁当」をはじめとした献立や「食」に対する周りの考え方は変えることができるという想いから、「食の多様性」を知ってもらい、すべての子どもたちがより豊かな食生活をおくれるキッカケをつくりたくて生まれた絵本。
あらすじは、夏のビーチにやってきたからあげ家族。そこには、世界中からたくさんのからあげたちが集まっていた。「さあ、さあ、ころもをぬごう!」とはだかになるからあげたち。大豆ミート、グルテンフリー、ハラール…見た目ではわからなかった多様な中身のからあげたちに次々と出会う物語。
レアキッズ応援本シリーズとは
アレルギー持ち、海外にルーツがある、左利き、など人と違う部分を持つ子ども(レアキッズ)を応援する絵本シリーズ。子ども時代を6カ国(ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ)で過ごし、何事も絶対的な「ふつう」が存在しないこと、つまりみんなどこか人と違う部分をもっていることに気付いたキリーロバ・ナージャさんが、自身の体験に基づいて、個性のあるすべての子どもを応援するためにつくったシリーズ。
文・キリーロバ・ナージャ
ソ連(当時)レニングラード生まれ。両親の転勤とともに6カ国(ロシア、日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ)の各国の地元校で多様な教育を受けた。その中で、何事も絶対的な「ふつう」は存在せず、誰もがどこかちょっとユニークな部分を持っていることに気づく。広告代理店入社後、様々な広告を企画し、2015年の世界のコピーライターランキング1位に。国内外の広告やデザインアワードの審査員歴を持つ。他の著書に『ナージャの5つのがっこう』(大日本図書)がある。
絵・古谷萌(ふるや・もえ)
1984年東京生まれ。スイス・広島育ち。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。2017年に「Study and Design」を設立し、グラフィックデザインを中心に、商品開発、CI、VI、広告キャンペーン、ブックデザイン、イラストレーション、キャラクター開発など、幅広い分野で活動する。
絵・五十嵐淳子(いがらし・じゅんこ)
東京生まれ。緑が多めな東京育ち。多摩美術大学造形学科舞台美術コース卒業。物語好き。都内の2つのデザイン会社でグラフィックデザイナー・アートディレクターを経て、2021年よりフリーで色々なデザイン活動を始める。
からあげビーチ
価格|1680円
https://bunkyosha.com/books/9784866513652