「山地陽介」皿の中に物語を紡ぐ、祇園のフレンチレストラン【前編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン
いまはまだスタートをしたばかり、それほど有名ではないけれど、私イチオシの“期待の星”を探して、ニッポンをめぐります!今回は、京都府京都市にあるフレンチレストラン「山地陽介」を前後編記事でご紹介します。
犬養 裕美子(いぬかい・ゆみこ)
東京を中心に世界のレストラン事情を最前線で取材する。新しい店はもちろん、実力派シェフたちの世界での活躍もレポート。また、日本国内各地にアンテナを張り、料理や食文化を取材。農林水産省表彰制度「料理マスターズ」審査員
山地陽介(やまじ・ようすけ)
1977年、大阪府生まれ。「ホテルオークラ東京」から2001年に渡仏。「ポール・ボキューズ学院」(リヨン)で基礎を学び卒業。「アランデュカス・オ・プラザアテネ・パリ」、「アストランス」(パリ)で修業後、帰国。「ベージュ・アランデュカス」(東京)、「ブノワ」(東京)を経て、再度渡仏。アルザス、パリの2ツ星、3ツ星を経て、9区のビストロのシェフを務め、2015年に帰国、6月に京都で独立
経歴
ビュールイーゼル・ストラスブール
レ・ザンバサドール・オテル・ド・クリヨン・パリ
オテル・ル・ロワイヤル・リヨン
(ポールボキューズグループ、総料理長兼料飲部部長)
ラトリエ・ド・ジョエル・ロビュション・パリ
(エグゼクティブ副料理長)**
ロフィス・パリ(エグゼクティブ・シェフ)
ヴァカンスのたびに京都に通い、夢をかなえた
2015年6月、京都の祇園南にフレンチレストラン「山地陽介」がオープンした。このエリアは京都でも特別な場所。歴史的景観を守るため新店出店には厳しい審査や規制が山積みになっている。そこに38歳の若きシェフが店を出したというのだからたちまち地元では話題になった。最大の謎は「山地陽介」って何者?
私が山地陽介シェフに出会ったのは2012年の秋だった。たまたま泊まったホテルの隣にビストロがあって、何気なく入ったら、ランチの美味しさに衝撃を受けた。知人のフランス人(パリ一の辛口レストラン批評家)にその話をしたら、「シェフは日本人だもの。あそこはいまに大ブレイクするね」。その予想は大当たりで、なんとこの店を起点に9区は注目の美食エリアといわれるようにまでなった。山地シェフは11年滞在したフランスを離れ、次はNYに行く予定だったが、そこに京都の店が決まったという。「店を出すなら京都と決めたのは8年前。そこから毎年京都に行き、いろいろな方にお会いし、ようやく実を結びました」。
パリにいたからこそ、京都に魅せられたという山地シェフ。彼のフランス生活は、ディスカバージャパンのはじまりだったのだ。
シェフの仕事を語るひと皿
京都 中勢以の熟成肉
ポルト酒、マデラ、はちみつ、スパイスでつくる甘酢っぱいソースですき焼き風味をつけた熟成肉を皿に敷き、砕いた温泉卵、九条ネギ、パルミジャーノを振りかけ、黒すぐりやぶぶあられ、バジルなども忍ばせる。この味のアクセントが山地流。
山地陽介
住所|京都府京都市東山区祇園町南側570-151
Tel|075-561-8001
営業時間|12:00〜13:00(L.O.)、18:00〜19:30(L.O.)
定休日|月曜(月2回不定休)
料金|昼:5000円、8000円
夜:1万円、1万5000円、2万円(すべて税・サ別)
www.yosukeyamaji.com
text:Yumiko Inukai photo:Muneaki Maeda
Discover Japan 2017年10月号『京都の誘惑。』