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こけしの焼き印がかわいい『こけし屋サブレ』
福田里香の民芸お菓子巡礼

2018.9.10
こけしの焼き印がかわいい『こけし屋サブレ』<br>福田里香の民芸お菓子巡礼

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は店内に多数のこけしが飾られている、西荻窪の洋菓子店こけし屋の「こけし屋サブレ」を紹介する。

福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。民芸一家に生まれ、布芸展名義で、青森の民芸刺繍を新しく展開した『こぎん刺しの本』(文化出版局)がある

こけし屋の手提げ袋

各地に残る“こけし人形”には、民藝玩具という側面もあります。柳宗悦のお気に入りとして“黒こけし”(日本民藝館収蔵)が有名ですし、倉敷民藝館・初代館長の外村吉之介が開館に尽力した日本郷土玩具館(倉敷)にも、こけしの収蔵があります。

JR総武線の西荻窪駅から徒歩2分。「こけし屋」は、長年親しまれている地元の名店です。フランス料理と洋菓子の店ですが、店内には大小さまざまなこけし人形が飾られ、なるほどと店名の由来に合点がいきます。こけしのお顔は素朴なかわいらしさ。木肌は飴色に変化し、時代を感じます。

手土産のおすすめは「こけし屋サブレ」。彫刻家・植木力氏による焼き印が押されたバターが香る繊細な味は、どなたにも喜ばれる美味しさ。実は昔、荻窪一帯はお店の包装資材絵を描いた鈴木信太郎氏をはじめ『のらくろ』で知られるマンガ家の田河水泡や、版画家の恩地孝四郎など多数の芸術家が好んで住んだ土地で、1951年に鈴木のアトリエを譲り受けて荻窪に引っ越したのが、なんと棟方志功ということです。

こけし屋
住所|東京都杉並区西荻南3-14-6
Tel|03-3334-5111
営業時間|本館9:00〜22:00、別館11:00〜21:00(L.O.)、レストラン11:00〜14:00、17:00〜21:00(L.O.)
定休日|火曜(祝日は営業)

text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2018年9月号 特集「縄文人はどう生きたか。」


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