ガラス作家《鳥山高史》
ガラスと金属が調和した世界を愉しむ
エンボス模様のガラスと金属製のカトラリー。ふたつの作品を手掛けるのは、ガラス作家・鳥山高史さん。Discover Japan Lab.では2026年6月6日(土)~14日(日)にかけて「鳥山高史 個展」を開催。美しい佇まいと、納得の使用感。手仕事の温もりを、実際に手に取り感じ取ってほしい。
鳥山高史(とりやま たかふみ)
イタリア・ヴェネツィア留学後、日本で15年間、ガラス関係の仕事に従事。2004年にガラス工房「壜壥(TANTEN)」を設立。現在は兵庫・丹波にてガラスのうつわや金属のカトラリーを制作。
35年の作家人生を、
5分の制作に込める

左)今回の企画展では、定番アイテムはもちろん、大ぶりのボウルや大容量のビアマグなど、新作も登場する。アンティーク風のカトラリー類も勢揃い
19歳の頃、鳥山高史さんはヴェネツィアンガラスの視察のためにイタリアを訪れた。現地では熟練の職人はもちろん、自分よりずっと年下の見習いたちがガラスづくりに励んでいた。その姿にカルチャーショックを受けると同時に、作家への憧れが確信へと変わり、帰国後すぐ、ガラスの世界に足を踏み入れた。
「東京、小樽、長崎。各地のガラスメーカーや作家の下で技術やノウハウを学びました。その後、35歳で独立。兵庫・丹波に工房『壜壥(TANTEN)』を立ち上げました」

鳥山さんの作品は、手にすっと馴染む「揺らぎ」が魅力。ガラス全体に漂うエンボスの質感が心地よく、薄いのに堅牢な点も人気が高い。
「1000℃を超えるガラスを金型に流し込み、息を吹き込んで成形する『型吹き技法』を取り入れています。熱を帯びたガラスは、素手では確かめられません。視覚と棹の感覚から、熱と物質が交わす対話の跡をたどり、その“瞬間の声”に耳を澄ませる。そうして、ひとつのかたちが静かに導き出されていくのです」

その間、わずか5分……。
作業中に修正など許されることはなく、瞬時の判断が求められる。この限られた時間を支えているのは、鳥山さんが作家を志すと決めた19歳から今日に至るまでの35年に及ぶ長い年月。試行錯誤を繰り返す中で培った感性と確かな技術が、無二のテクスチャを生み出している。
ガラスと金属製のカトラリー…
異素材だけれど、それぞれの質感が調和する

特筆すべきは、鳥山さんがガラス器だけでなく、金属器も手掛けている点にある。
実は、ガラス作家になる前は彫刻家を目指していた時期もあり、手先の器用さから宮大工の経験もあるほど。そんな優れた才能を見抜いたのか、ガラス器の取引先からステンレス製のバターナイフのオーダーが入った。
「20年ほど前のことですね。試しにつくってみたら好評で。以来、ガラス制作のかたわら、鍛鉄と鋳造でステンレスやアルミのカトラリーもつくるようになりました」

ガラスと金属。まったくの異素材でありながら不思議と親和性を感じるのは、ともに鳥山さんの手によって生み出されているからだろう。静謐な佇まいと確かな使い心地が、豊かさの本質を再認識させてくれる。モノや情報があふれる現代にこそ、取り入れたいアイテムといえる。
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鳥山高史 個展
会期|6月6日(土)~14日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
※Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2026年6月9日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2026年7月号「納涼、しましょ。」























