FOOD

香川県坂出市
名物かまどの「かまど最中」
《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》

2025.6.2
香川県坂出市<br>名物かまどの「かまど最中」<br><small>《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香ふくだりかさんの《民芸お菓子巡礼》。今回は香川県坂出市にある菓子舗・名物かまどの「かまど最中」をご紹介。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。14年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中。

10個入り箱1808円。栞も邦坊作

和田邦坊は香川出身の異色の民藝人。昭和時代に小説にイラスト、作詞などを多数手掛け、才人として全国区で人気を博した邦坊は後年帰郷し、1965(昭和40)年には讃岐民芸館の初代館長に就任するなど、民藝の思想を取り入れた作風で地元産業のブレーンとなりました。

2026年に創業90周年を迎える菓子舗「名物かまど」の創業者・荒木三郎も邦坊の門をたたいた一人です。荒木の信任を得た邦坊のアイデアは、パッケージデザインにとどまらず、広告や販促イベントに至るまで手掛けました。

たとえば「かまど最中」の最中種には「名物かまど」とロゴマークのエンボスが施されています。店名かつ看板商品の品名でもある名物かまどを大きく入れることで、この最中が名物かまどの姉妹商品である、とひと目でわかるように視覚化されています。きっとこの最中に興味をもつ人は何十倍にも増えたことでしょう。かまど最中の香ばしい最中種の中身は、小豆の粒を残して炊き上げた粒あん仕立て。しっとり甘みを抑えた味わいは現代人の舌にもぴったり。

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邦坊作の大胆奔放な弁慶が描かれた手提げ袋

名物かまど
住所|香川県坂出市江尻町1247
Tel|0877-46-6600
営業時間|9:00〜19:00
定休日|なし

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba

2025年6月号「人生100年時代、食を考える。」

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