「三宅島」東京から45分の南国へ。
それは、見・遊・食、すべてが揃うパラダイス!
全2回の《東京から45分の南国・三宅島の旅》後編は、ぜひとも訪れたいスポットを紹介する。五感に響く驚きと心やすらぐ癒し、島ならではの美味がちりばめられた三宅島を全力で楽しみつくそう。
≪前編を読む
伊豆諸島の中でも最も噴火活動が盛んな三宅島では、中央にそびえる雄山を中心に、生きている火山がつくった数々の絶景が点在している。息をのむほど美しい夕景が広がるアーチ形の奇岩・メガネ岩や海岸の噴火で海側が削られ、火山の断面がありありとむき出しになった新鼻新山、海面から20mの高さの絶壁の灯台から大海が果てしなく広がるサタドー岬……。
噴火とともに歩みながら力強く再生する雄大な景観は、まさに圧巻としか言いようがない。さらに、約2500年前の噴火口にできた伊豆諸島最大の淡水湖である大路池の周辺には照葉樹林の森が広がり、樹齢約700年と伝わる巨樹「迷子椎」が神々しい樹形を見せている。
その大路池は「日本一のさえずりの小径」と呼ばれ、天然記念物のアカコッコや絶滅危惧種のウチヤマセンニュウ、イイジマムシクイ等の稀少な野鳥が暮らしている。三宅島は自然の生き物を慈しみ、保護しながら共生しているのだ。
海に目を向ければ、黒潮の恩恵を受けるサンゴの群集や熱帯魚、ウミガメなど、さまざまな海洋生物と出合えるダイビングやシュノーケリング、海水浴にサーフィンといったマリンアクティビティが満喫できるが、外せないのがドルフィンスイムだ。隣島の御蔵島周辺に約120頭生息する野生のミナミハンドウイルカと水中で戯れる時間は、何ものにも代え難く魅力的だ。
そして、島独自の美食も見逃せない。金目鯛や島アサリ、大ぶりなサザエなどの海産物を使った滋味深い釜飯の老舗「ヤマノベ旅館」から、ほぼ100%島内の素材で仕立てるフォトジェニックなサンドイッチが話題の新鋭カフェ「GIZMO」まで、個性豊かな島グルメはここでしか味わえない。
大地の生命力を感じる別世界への旅は、豊かな発見に満ちている。
文=藤谷良介 写真=上樂博之
2019年9月号 特集「夢のニッポンのりもの旅」
1|ドルニエ機で向かう生命の島
2|見・遊・食、すべてが揃うパラダイス