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日本酒ソムリエ・千葉麻里絵さんの新店
《ユリーカ》大解剖!【後編】

2023.1.27
日本酒ソムリエ・千葉麻里絵さんの新店 <br>《ユリーカ》大解剖!【後編】

いま日本の食シーンで定番となった「日本酒ペアリング」。その礎を築き、独自のスタイルで日本酒の新しい楽しみ方をクリエイトしている千葉麻里絵さんが、東京・西麻布にオープンした新店を徹底解剖!

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一期一会の口福が広がる新しいチャレンジ

「ベースはGEM by motoの頃から変わらないですが、コロナ禍を経て、あらためて自分が会いたい造り手、行きたい場所を考えて、銘柄をより厳選しました」
 
銘酒それぞれのヴィンテージ違いで多いものは約10種類揃い、マイナス5℃の氷温庫をはじめ冷蔵庫や常温で独自に熟成をかけ、ベストのタイミングで提供する。それらはビギナーでも気軽に楽しめるが、ユリーカの真骨頂は、言わずもがな料理とのペアリングだ。
 
千葉麻里絵さんが新店をオープンさせる際に、こだわった大きな要素のひとつは、料理のアップデート。料理を担当するシェフは、三つ星の先鋭的フレンチレストラン「レフェルヴェソンス」で研鑽を積んできた矢口真さんを招聘した。
 
「ベースはフレンチ。1回完成させてから、要素をプラスしたり引いたり、崩したり、シェフとコミュニケーションをしながら日本酒と合わせたときに美味しさの妙を感じる料理を大事にしています」
 
今回紹介したのはその中の一部。本来ならコースで提供されるハイクオリティな美食が、好きなタイミングで味わえるのがユリーカならではであり、店内の装いも、ゲストに寄り添っている。ライブ感あふれるラウンド型のカウンター席を中心に、予約なしでフラっと寄れる立ち呑みスペースを設けたのは、「いつ来ても入れる酒場」にこだわる麻里絵さんの矜持だ。その一方で西麻布という土地柄に合わせてVIPルームの個室も1室設け、3つのシーンが共存しているのが新しい。
 
「この場所を選んだのは、違いのわかる可能性を秘めた地で日本酒の価値を上げたいから。いままで支えていただいたお客さんも大事にしながら、いずれは個室でワインのようにボトルで提供したり、新しい挑戦を続けていきたいです」
 
店名の「!」には、掛け算で増える階乗の意味が込められた。そのEUREKAが増えるごとに口福は群となり広がっていく——。

美味しい酒には、美味しい食を。
ユリーカの新ペアリング提案

うふマヨ♡500円
× 権化 PEAT(ピート)/とおの屋 要

燻製×ピート香の独創的ペアリング
フレンチの伝統的な前菜料理、ウフマヨは燻製香をまとわせ、イカスミを合わせるのがユリーカ流。「日本酒が入る余地を残した味つけで、米ぬかを藁で燻して発酵させた権化PEATのピート香を合わせ、日本酒と合わせるのが難しい卵料理にあえてチャレンジしました」

牡蠣とココナッツミルク1600円
× MARIE SENKIN Special Edition 2019/仙禽

重層的な甘みと香りに辛みを忍ばせる匠技
「MARIE SENKIN」は、銘酒「仙禽」のユリーカオリジナル。ベースが貴醸酒で、バーボン樽に入れて5カ月熟成をかけている。「妖艶なバニラのような甘さに樽熟成由来のバニラ香、上品なココナッツミルクのクリーミーさを重層的に合わせ、青唐がらしの辛みで抜け感を出しました」

鴨のロースト2200円
× Afruge No.1 2017/木戸泉酒造

鴨×赤ワインの定番をレア銘酒でリビルド
鴨のローストは、醤油とハチミツのソースとケッパーやアンチョビなどで味つけしたキュウリの食べるソースの2種でいただく。「醤油やキュウリの入った優しい味つけを、赤ワイン樽で熟成させて醤油っぽさもあるAfrugeのテンションと合わせ、ソース代わりにしたイメージ」

見た目も味も計算し尽くされた
おすすめアラカルト

2000円

サワラの白味噌 ブールブラン
ミキュイ仕立てのサラワとバターでソテーしたほうれん草を合わせたひと皿。ブールブランソースは、白味噌で和のエッセンスと青唐がらしオイルでピリッとした辛みをプラス

1100円

ラムのハンバーグ
粗めに挽いた肩ロースのハンバーグは、麻里絵さんが調合した日本酒に合うスパイス「酒マサラ」とタイムを加えて焼き上げ、肉々しい旨みと香りを半熟卵と合わせていただく

950円

山椒和え麺
お酢+太白ゴマ油のオイルで和えた半田素麺に添えたのは、甘辛く炊いたじゃこ、醤油漬けのネギとニラ、三つ葉、ワサビ。混ぜると香り、旨み、辛みの重層的な口福が訪れる

1800円

カマスと海苔のリゾット
味噌をまとわせ火入れしたカマスと、出汁で炊き上げ、チーズとバター、オリーブオイル、青のりをまぶしたリゾットを合わせた一品。木ユズとシブレットの爽やかな香りが鮮烈

1400円

今日のタルタル
その日の旬の魚をなめろうのように仕立てた“つまめるタルタル”。中に忍ばせた奈良漬けと、ピリ辛の野菜で仕立てた長野名産の「とっから味噌」が日本酒との架け橋になる

800円

じゃがいもときのこのマリネ
舞茸、しめじ、えのきをアンチョビバターと赤ワインなどでマリネし、「酒マサラ」スパイスで炒めた細切りじゃがいもと合わせ、パルミジャーノと黒コショウをまぶしたひと皿

800円

鶏ハム
しっとりした鶏ハムにかかっているのは、よだれ鶏をイメージしたソース。そこに合わせた日本酒とのペアリングのキーとなるディル、昆布パウダーで和洋中のエッセンスが融合

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EUREKA!
住所|東京都港区西麻布4-11-28 麻布エンパイアマンション2F 
Tel|03-6805-0760 
営業時間|18:00〜23:30、土・日曜、祝日13:00〜21:00 
定休日|月曜 
www.instagram.com/eureka.sake

text: Ryosuke Fujitani photo: Kazuhiko Iwahori
Discover Japan 2023年1月号「酒と肴のほろ酔い旅へ」

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