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富山県富山市 林盛堂本店の「一位」
《福田里香の民芸お菓子巡礼》

2022.11.27
富山県富山市 林盛堂本店の「一位」<br><small>《福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>
個包装したえごま最中 一位。3個入り(620円)でも購入できる

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、明治初期から菓子を作り続けてきた林盛堂本店の、富山えごまを餡子に使用したスッキリとした甘さの最中「一位(いちい)」を紹介します。

福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。12年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

個包装したえごま最中 一位。3個入り(620円)でも購入できる

民藝運動にまつわるご当地最中を紹介します。1877年創業、富山県越中八尾(えっちゅうやつお)の菓子舗の草分け「林盛堂本店」は、和風メレンゲ菓子「おわら玉天」で全国的に有名ですが、地元の特産品「富山えごま」を使った最中でも高い評価を得ています。

第27回全国菓子大博覧会にて「金菓賞」を受賞した最中 「一位(いちい)」は、すったえごまをあんに練り込り混んだ和菓子。甘さ控えめでえごまの風味が爽やかな銘菓です。

民謡おわら節の調べで踊る祭「風の盆」で知られる八尾の町。民藝運動に深く共感した吉田桂介は、良質な和紙を生むこの地に、越中和紙「桂樹舎」を創立しました。林盛堂の4代店主は、近隣に吉田という知己を得たことで、彼に包装デザインを多数依頼し、時折味の相談もしたそうです。「一位」を菓子折りで注文すると、吉田作のかわいらしい掛け紙を巻いていただけます。これは想像なのですが一位の最中皮のシンプルで美しい紋様は、吉田が愛した李氏朝鮮時代のデザインの流れをくんでいるのでは? と感じています。

素朴な丸い紋様が目を引く。吉田の手による栞

林盛堂本店
住所|富山県富山市八尾町福島 3-8
Tel|076-454-4670
営業時間|9:00〜18:00
定休日|不定休
www.rinseidou-store.sakura.ne.jp

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2022年12月号「一生ものこそエシカル。」

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