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長い年月を経て育まれた自然の恵み
「奇跡の森」沖縄島北部【後編】
《世界自然遺産をめぐる旅》

2021.9.8
長い年月を経て育まれた自然の恵み<br>「奇跡の森」沖縄島北部【後編】<br><small>《世界自然遺産をめぐる旅》</small>
塩屋湾の眺め

2021年7月26日、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が新たに世界自然遺産に登録されました。各エリアの見どころや評価されたポイントを「生物多様性」をキーワードに紹介していきます。

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沖縄島北部の旅のヒント

やんばるの森ならではの生態や環境を学べる施設をご紹介。固有種のヤンバルクイナやリュウキュウイノシシと会えるかも。

こんな植物がある!

やんばる三村の森林は、温帯と熱帯に特徴的な樹種が混生しており、約80%が森林となっている。そのうち常緑広葉樹であるオキナワシキミ−スダジイ群集が全体の約半分を占める。新緑の頃にスダジイが新芽を出すと、森全体が美しい黄緑色に染まる。その他ギョクシンカ−スダジイやリュウキュウマツ、オキナワウラジロガシ、イジュ、ヒカゲヘゴ、クワズイモ、サクララン、イルカンダなども見られる。

サクララン
イルカンダ

こんないきものがいる!

やんばるの三村の森林面積は、日本の国土の0.1%だが、カエルなら日本で確認されている種類の4分の1、鳥類は半分以上観察できる。肉食の哺乳類がいなかったことから、 昔の姿を残して生き残った遺存固有種のナミエガエルやホルストガエル、リュウキュウヤマガメ、島になった後に進化した新固有種のヤンバルクイナやノグチゲラ、ホントウアカヒゲなども生き残った。

沖縄島北部への理解が深まる代表的な見どころ

世界最北端の熱帯カルスト地形に出合う
やんばる国立公園に位置し、沖縄で最初の聖地といわれる安須杜(アシムイ)の山を有する。石灰岩が雨水によって長い歳月をかけ侵食されてできた地形や、やんばる固有の動植物ほか見どころ満載。

やんばる国立公園 大石林山
住所|沖縄県国頭郡国頭村宜名真1241
Tel|0980-41-8117
開園時間|9:30〜17:30(入園は16:30まで)
休園日|なし

 

やんばるの森やいきものについて学ぶ
絶滅の恐れのある野生生物の保護や調査、国立公園の管理を総合的に行う。やんばるの自然について、音や映像を交えて詳しく紹介。野生生物の交通事故(ロードキル)や外来種問題も学べる。

やんばる野生生物保護センター ウフギー自然館
住所沖縄県国頭郡国頭村比地263-1
Tel|0980-50-1025
開館時間|10:00〜16:30
休館日|月曜、祝日、慰霊の日

大自然の中でいきものと触れ合える
ヤンバルクイナやノグチゲラ、ホントウアカヒゲなど、やんばるの森に生息する固有種を観察できる施設。自然散策路や宿泊棟、オートキャンプ場もあり、ツアープログラムも充実している。

国頭村環境教育センター やんばる学びの森
住所|沖縄県国頭郡国頭村字安波1301-7
Tel|0980-41-7979
営業時間|9:00〜18:00
休館日|水曜(10月以降変更の可能性あり)

山と水が支えてきた東村の暮らしを学ぶ
東村の歴史や人々の暮らしを紹介する施設。やんばるの森の源流から河口のマングローブ林までの生態系を模したジオラマや剥製標本を展示。生きたハブやリュウキュウイノシシも見られる。

東村立 山と水の生活博物館
住所沖縄県国頭郡東村字川田61-1
Tel|0980-51-2828
開館時間|10:00〜18:00
休館日|月曜(祝日の場合は翌火曜も休館)、祝日、慰霊の日、臨時休館あり

沖縄島北部のネイチャーツアー

やんばる三村それぞれのネイチャーツアーを統括しているのはこちら。土地に精通したガイドに案内してもらおう。

国頭村
国頭村の公認ガイドが案内するさまざまなツアー情報を掲載。「森と水とやすらぎの里 くにがみ」

http://iyashiyanbaru.jp/hito

東村
沖縄島最大級で天然記念物指定のマングローブ林をカヌーで楽しむツアーや秘境ツアー。「ヤンバルエクスペリエンスオキナワ」

www.yanbaru-experience.com/jp

大宜味村
ター滝リバートレッキングややんばる森のハイキングツアーなど。詳細は「道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター」へ。

www.yambaru-vc.com

食べる&泊まる

ボリューム満点の郷土食をいただこう
国道58号線沿いにあるやまびこは、地元のガイドさんにも愛される食堂。麺が見えないほど山盛りにもやしがトッピングされた「牛そば 600円」は北部らしい少し濃いめのスープが癖になる。

やまびこ
住所|沖縄県国頭郡国頭村字辺土名1700-4
Tel|0980-41-5600
営業時間|11:30〜18:00(L.O.17:30 麺がなくなり次第終了)
定休日|日曜

 

昼はアクティビティ、夜は満天の星に癒される
「やんばる国立公園」内にあり、6棟の古民家風コテージは全室キッチン付き。コテージの前には小川が流れていてテラスではBBQも可能。ネイチャーガイドが案内するツアーと組み合わせるプランも。

奥ヤンバルの里
住所|沖縄県国頭郡国頭村奥1280-1
Tel|0980-50-4141
料金|1泊1室4500円〜(税・サ込)
https://okuyanbarunosato.net

沖縄島北部までのアクセス


那覇空港から東村まで約1時間40分、
辺上岬まで約2時間10分 


鹿児島港から本部港まで約22時間40分、
本部港から車で東村まで約1時間、
辺土岬まで約1時間20分

text: Kiyomi Gon photo: Tsunetaka Shimabukuro
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」

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