FOOD

石川県白山市
圓八の「あんころ餅」
《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》

2026.10.5
石川県白山市<br>圓八の「あんころ餅」<br><small>《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》</small>

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香ふくだりかさんの《民芸お菓子巡礼》。今回は石川県白山市にある名店・圓八の「あんころ餅」をご紹介。

福田里香(ふくだ りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。15年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中。

9粒入り520円。竹皮の包装はそのままお皿代わりにできる優れ物。束ねた井草ひもで結んだ包装。天狗のうちわを描いた栞が美しい

あんころ餅は「餡衣餅あんころももち」が変化した名称なのだといわれています。加賀の「圓八」は、伊勢の「赤福」、倉敷の「元祖とら屋」と並び、日本三大あんころ餅と称されるほどに大変美味しい。餅菓子の逸品です。

圓八の自然素材で包まれた包装は民藝的に見事のひと言。竹皮を十字に重ね、一辺を折って爪楊枝で留めたら、三方から折り被せて井草ひもを掛け、留めは引き結び。名著『包 日本の伝統パッケージ』の著者・岡秀行(1905 ‒1995)が存命だったなら、深く感動したことでしょう。

竹皮の1辺を折ったところで爪楊枝を刺して留める機能美を宿した包装

圓八の創業秘話はまるで御伽話。1737(元文2)年、当時の主が42歳のとき、裏庭に羅漢柏の苗を植え「我が願いかなえば、大きく茂ろ」と祈り、行方不明に。生活苦に悩まされた妻子ですが同年秋、妻の夢枕に天狗姿の夫が立ち「鞍馬山で天狗修行をしている。これこれのつくり方で餅をあんで包んで食べれば、息災延命、商売繁盛となろう」と告げたそう。以来280余年、庭には羅漢柏らかんはくが茂り、天狗堂の祠が鎮座。毎朝夕に参拝されています。

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圓八本店
住所|石川県白山市成町107
Tel|076-275-0018
営業時間|8:00〜17:30
定休日|なし
https://www.enpachi.com/

text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2026年10月号「感性の刺激する場所へ。/九州」

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