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《野田琺瑯》東京都・江東区
手仕事が生み出す万能なホーロー鍋

2024.12.14
《野田琺瑯》東京都・江東区<br>手仕事が生み出す万能なホーロー鍋

創業90年、東京都江東区に本社を構える「野田琺瑯」。ミニマルでシンプルなデザインの鍋が、現代に暮らしに自然に溶け込む。手仕事から生み出されるホーローの魅力とは?

業界の定説を覆す「白い」ホーロー

釉薬を均一に施すまでには最低10年はかかるなど、ホーロー製品は職人の育成なくしては語れない。機械化製品のように均質だが、実は手仕事による一点もの。目を凝らすと異なる表情をしている

1970年代に人気を博したホーロー製品。当時の引き出物の定番であり最盛期には100社以上の製造会社が存在したが、現存するメーカーは「野田琺瑯」を含めわずか数社。「今年で創業90年を迎えたのですが、名前を知っていただくまでが本当に長くて。うちが残ることは業界内で予想外だったのではないかと社内では話しています」と話すのは、4代目・野田靖智さんの妻で広報担当の裕子さん。

そんな野田琺瑯が世に知られるきっかけとなったのが、2003年に発売した「White Series」。それまで家庭用ホーローといえば色柄ものが主流。白は売れないというのが業界の定説だったが、3代目・浩一さんの妻である善子さんが、機能的かつ食材が生きる白い蓋付き容器の製造を渇望。サンプル程度の生産を開始したことで風向きが変わったという。「展示会では見向きもされなかったものの、スタイリストの伊藤まさこさんが書籍で紹介してくださり、大反響が起こったんです。電話が鳴りやまなかったことをいまでも覚えています」と、当時の様子を思い出す裕子さん。いまや白いホーローはキッチン用品の王道となったが、鉄板の成形をはじめ、何から何まで手作業で行われていることは、愛用者でさえ知る人は少ない。

スタイリッシュな
グレイカラーも新登場!

野田琺瑯の代名詞「White Series」の発売20周年を記念した「+Gray」シリーズ。デスク周りなどの小物収納にも最適

変わり続ける食の在り方に敏感な野田琺瑯では、製菓・製パンといった暮らしを豊かにする調理を楽しむ人が増えたことに着目し、昨年にはWhite Seriesの姉妹品「+Gray」を発売。ホーローには色によって耐酸性が左右されるといった特性があるため、試験を重ねた上でたどり着いた色が上質なグレイだったというが、そこで終わらないのが野田琺瑯の信念。

「私たちは納得できるものでなければ絶対に世に出したくないので、発売前に使い込みます。第一線で働く85歳の会長をはじめ、皆が妥協を知らないんです」と、野田家の人々の美意識こそ会社が生き残ってきた秘訣。その心意気は裕子さんにも受け継がれていた。

持ちやすく、運びやすい
コンパクトサイズ

コンロに置きっぱなしでも生活感なくインテリアに馴染む

「私はカスタマーサービスも担当していますが、いま何が求められているかがお客さまの声からわかってくるんですよね。近年は核家族や個食が増えたと感じるようになったので、社内で企画し『ココナベ(個々鍋)』ができました。余った料理を鍋ごと冷蔵保存したりボウル代わりに使ったりと万能なんですよ」と裕子さん。

物資のない戦後に野田琺瑯が発売した「ホーロータンク」は永遠のロングセラーだが、ゆでもの用の鍋に、水の貯蔵にと、熱にも酸にも強い、ホーローの特性を生かしたタンクは、それひとつで往時の生活全般を支えた。これは現代の野田琺瑯の製品にもいえることで、一台何役もこなす暮らしの道具は、効率重視の現代に合致するのかもしれない。

現代の暮らしにマッチする万能な鍋
『ココナベ(個々鍋)』

価格|3630円  サイズ|本体Φ215×H67㎜(蓋Φ177×H60㎜)  重量|本体510g(蓋325g)

ココナベ 大(乳白)
一人鍋や少人数での湯豆腐にぴったり。冷蔵庫で鍋ごと保存をする際もすっきりと収まるよう、取手のないミニマルデザインを採用した。

価格|3080円 サイズ|本体Φ 200×H60㎜(蓋Φ165×H60㎜) 重量|本体425g(蓋280g)

ココナベ 小(渋黒)
一人分のゆで野菜などに最適なサイズ。つややかなフォルムはうつわとしても美しく、アヒージョなどの熱々メニューはそのまま食卓へ。

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野田琺瑯 製品一覧
 

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text: Natsu Arai photo: Yuko Okoso
2025年1月号「ニッポンのいいもの美味いもの」

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