ART

アトリエシムラ「しむらの茶⼩物展」
植物の⾊⽷の交わりで生まれる織り裂の美しさ

2022.1.5
<small>アトリエシムラ「しむらの茶⼩物展」</small><br>植物の⾊⽷の交わりで生まれる織り裂の美しさ

染織家・志村ふくみさんと志村洋子さんの作品である織り裂からつくる茶小物の展示販売会「しむらの茶小物展」が、2022年1月7日(金)〜2月8日(火)にかけて京都・アトリエシムラにて開催。自然が織りなす色彩の美しさに触れられる、一年のはじまりに相応しい本展のラインアップを紹介する。

志村ふくみ(しむら ふくみ)
滋賀県生まれ。染織家、随筆家。31歳のとき母・小野豊の指導で植物染料と紬糸による織物を始める。重要無形文化財保持者(人間国宝)、文化功労者、第30回京都賞(思想・芸術部門)受賞、文化勲章受章。京都市名誉市民。著書に『一色一生』(大佛次郎賞)、『語りかける花』(日本エッセイスト・クラブ賞)、『ちよう、はたり』など多数。2013年に芸術学校アルスシムラを娘・洋子、孫・昌司とともに開校。

志村洋子(しむら ようこ)
東京都生まれ。染織家、随筆家。「藍建て」に強く心を引かれ、30代から母・志村ふくみと同じ染織の世界に入る。1989年に、宗教、芸術、教育など文化の全体像を織物を通して総合的に学ぶ場として「都機工房(つ
きこうぼう)」を創設。著書に『色という奇跡』、ふくみとの共著『たまゆらの道』。作品集に『しむらのいろ』『オペラ』がある。2013年に芸術学校アルスシムラをふくみ、息子・昌司とともに開校。

アトリエシムラとは?

アトリエシムラは、染織家で人間国宝の志村ふくみさんの孫・志村昌司を中心とした次世代の作り手によって、植物の色彩世界を伝えていきたいという想いから生まれた染織ブランド。色糸はすべて草木染めによるもので、根や枝、葉など植物から抽出された色を、手作業で染めていく。柔らかく繊細で透明感のある色合いは草木染めならでは。季節や地域にも影響を受けて出来上がる品はまさに一期一会。自然が与えてくれる美しさを目だけでなく肌でも感じられる。

この色糸を、機(はた)を使って人の手で織りあげている。経糸(たていと)には蚕の繭からできた艶やかな生糸を、緯糸(よこいと)には柔らかく風合いのよい紬糸(つむぎいと)を配する。この経糸と緯糸の組み合わせによって独特の職色を生み出している。

アトリエシムラのシンボルマークのモチーフにもなっているのが「葉脈」だ。工房でつくり出すものがすべて、自然からいただいたものでできていることを象徴している。同ブランドのものづくりの根底には、自然への畏敬の念と感謝がある。

またアトリエシムラでは鼠色を基調色としている。鼠色は「自分を無にしてほかの色を生かす色」であり、そんな神秘性をブランドの想いに重ねている。鼠色は、夜叉五倍子(やしゃぶし)、団栗(どんぐり)、桜、梅、白樫、枇杷など、日本の山野にあるほとんどの植物から染めることができる。

植物の生命の色に染めた糸で一つひとつ丁寧に織り上げられた品々は、着用した者の心に寄り添い、日々を彩っている。

植物の⾊⽷の交わりが生み出す
美しい織り裂の世界

今回開催される「しむらの茶⼩物展」では、染織家・志村ふくみ、志村洋⼦の作品である裂から作った、数寄屋袋や懐紙⼊れ、古帛紗、出袱紗などの茶⼩物を展⽰販売。植物の色糸の交わりによって⽣まれる織り裂の美しさを、茶会や⽇々の暮らしの中で感じることができる。

本展に先立ち、志村ふくみ、志村洋⼦作の作品である裂から作った茶⼩物の⼀部がオンラインストアでも販売される。12⽉24⽇(⾦)~2022年2⽉8⽇(⽕)までの期間で購入可能だ。

ラインアップ

数寄屋袋

茶会や稽古の際に道具を収めておく本来の使い方以外にも、様々なシーンで使える数寄屋袋。クラッチバッグ、タブレットケース、細々としたのをまとめるポーチとしても活用可能。数寄屋袋の「すき」という言葉は「好き」の当て字という一説も。好みの色合いのものを見つけるのも楽しい。

融(とおる)/4万9500円
左から漣(さざなみ)、萌(もえ)/4万9500円

古帛紗・出袱紗

自然との調和を重んじる茶道によく馴染む、植物の色で織り上げられた古帛紗、出袱紗。小さな面に濃密に表現された裂は、茶道具としてだけでなく、インテリアとしても使える。縫製は京都の職人による手縫い。

出袱紗。左から藤影(ふじかげ)、スカーレット/5万1700円
古帛紗。左から胡蝶の夢(こちょうのゆめ)、アヤソフィア/2万6400円

新たな一年のはじまりを彩る本展。しむらの茶⼩物が⼀堂に並ぶ貴重な機会をお見逃しなく。

しむらの茶⼩物展
期間|2022年1⽉7⽇(⾦)〜2⽉8⽇(⽕)
時間|12:00〜18:00 ※⽔曜・⽊曜定休(祝⽇は
営業)
会場|アトリエシムラ Shop & Gallery 京都本店 ギャラリー・アトリエシムラ
住所|京都府京都市下京区河原町通四条下ル市之町251-2 壽ビルディング2F
www.atelier-shimura.jp/

photo=Nobuto Osakabe

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