《SAKE Journal 2022》
いま押さえたい
酒のキーワード10【前編】
日本酒、焼酎、日本ワイン……。日本の酒は日々、進化を続けている。その最新情報や注目商品など、日本の酒にまつわるトピックを集めました。
<01 日本酒>
公共施設×民間
公設民営型酒蔵で日本酒を醸す
北海道のほぼ中央、大雪山国立公園のふもとにある東川町は、北海道で唯一、上水道がない町。生活水のすべてを大雪山の伏流水で賄っているためで、清らかでミネラル豊富な水を使った米づくりも盛ん。町は、この豊かな環境を活用すべく、酒造施設を建設し、酒造りは民間に任せるという、全国的にも珍しい公設民営型での酒蔵開設を計画。2019年に酒の造り手を公募したところ、岐阜県中津川市の三千櫻酒造が名乗りを上げた。同蔵は’20年に東川町へ移転。JAひがしかわの有志が同蔵のためにつくった酒米と、東川町が誇る水とを使って、酒造りに励んでいる。
きたしずく 純米大吟醸
JAひがしかわの有志がつくった酒米、きたしずくを使用。やさしい甘みのあるふくよかな味わいながら、キレがよく、後口は爽やか。
価格|1920円(720㎖)
原材料(原料米)|きたしずく
精米歩合|45%
日本酒度|非公開
酸度|非公開
アルコール度数|15度
彗星 純米大吟醸
同じくJAひがしかわの有志がつくった酒米、彗星を使用。軽快でキレがよく、やさしい味わい。柔らかな余韻も楽しめる
価格|1920円(720㎖)
原材料(原料米)|彗星
精米歩合|45%
日本酒度|非公開
酸度|非公開
アルコール度数|15度
問い合わせ|三千櫻酒造
Tel|0166-82-6631
https://michizakura.jp
<02 日本酒>
異業種の新規参入
あずきバーから日本酒造りへ!?
アイスクリーム「あずきバー」で知られる井村屋グループ(三重県津市)が日本酒業界に進出。1900(明治33)年創業の福井酒造場(同県伊賀市)から酒造業を引き継ぎ、三重の風土を生かした酒造りに取り組んでいる。銘柄名は「福和蔵」。2021年には、純米酒など4種がGI三重に認定された。GIは酒類の地理的表示で、産地ならではの特性をよく表す酒類に対し、産地からの申請に基づき国が指定するもので、地域の生産基準を満たしているもののみが名乗ることができる。GI三重は日本酒で6例目の指定。
福和蔵 純米酒
三重県産酒米と松阪市飯高町のまろやかな硬水を使用。香りはふくよかで、米の旨みを感じられる柔らかで深い味わい。
価格|1980円(720㎖)
原材料(原料米)|三重県産五百万石
精米歩合|60%
日本酒度|非公開
酸度|非公開
アルコール度数|15度
福和蔵 純米吟醸酒
同じく三重県産酒米と松阪市飯高町の硬水を使用。華やかな香りと爽やかな酸味があり、シャープで奥深い味わい。
価格|2200円(720㎖)
原材料(原料米)|三重県産神の穂
精米歩合|60%
日本酒度|非公開
酸度|非公開
アルコール度数|15度
問い合わせ|福和蔵
Tel|0598-67-8279
www.fukuwagura.jp
<03 日本酒&ワイン>
日本初のダブル指定
ワイン王国・山梨は日本酒もすごい!
山梨の酒といえばワインの印象が強いが、実は日本酒も名高い。2021年4月には、日本酒産地として、国による酒類の地理的表示(GI)に指定され、8月には8つの蔵元の日本酒33銘柄がGI山梨に認定された。山梨県は、ワイン産地として2013年に日本初のGI指定を受けており、ひとつの県でふたつの酒類が指定を受けるのは全国初。
この8銘柄を含む33銘柄がGI山梨の認定を受けた。ちなみに日本酒のGI山梨には、使用する水の水系を限定する、日本酒のGIとして初の認定条件がある。
問い合わせ|山梨県酒造協同組合
Tel|055-224-4368
<04 日本酒×焼酎>
世界初のコラボレーション
焼酎の味わいも楽しめる日本酒って?
新潟県上越市で日本酒を造る武蔵野酒造と、宮崎県串間市で焼酎を造る松露酒造がコラボレーション。タンクごとに酒米、酵母、仕込みを変える日本酒「NOROSHI 狼煙」シリーズのもろみに、醸造アルコールではなく、華やかな香りのある芋焼酎「松露Colorful」を添加。それを搾り、日本酒と焼酎の両方の魅力を兼ね備えた、世界初の酒が生まれた。
NOROSHI狼煙×松露Colorful
日本酒と焼酎、両方の味わいを楽しみたいなら冷やしてストレートで。ロックにすると焼酎の味わいが前面に出る
価格|2970円
原材料(原料米)|新潟県上越市産米、
宮崎県産単式蒸留焼酎
精米歩合|50%
日本酒度|+10
酸度|非公開
アルコール度数|20度
問い合わせ|武蔵野酒造
Tel|025-523-2169
www.musashino-shuzo.com
<05 焼酎>
長期樽熟成への挑戦
ネクスト焼酎は樽香を愉しむ
1885(明治18)年創業のゑびす酒造(福岡県朝倉市)の代表銘柄「らんびき」は、樽で長期熟成させた原酒をブレンドして造る麦焼酎。樽貯蔵をはじめて60余年、蔵には貯蔵年数が異なる約200本の樽が眠り、原酒の味はそれぞれに個性豊か。その樽ごとの個性を楽しんでほしいという想いから生まれたのが「らんびき SHINY GOLD」シリーズ。四季を感じさせる個性をもつ樽熟成焼酎を数量限定で季節ごとにリリースする。初年の2021年は、3・5・7・9月に各1種類と11月に2種類の全6種類を発売。今後は、蔵で眠る30〜50年を経た古樽、桜や栗など国産材の樽に加え、これまでにないタイプの樽にも挑戦する予定。樽熟成焼酎のさらなる可能性を追求する。
らんびき SHINY GOLD
SMOKY CASK FINISH
琺瑯タンクで10年間熟成後、スコッチウイスキーの古樽で2年間追熟成。ピート香が利いたスモーキーな香りと麦焼酎のコクが調和
価格|4500円
原材料|大麦、米麹
アルコール度数|42度
らんびき SHINY GOLD
SHERRY CASK
スペインでシェリー酒を熟成した後、40年以上使い続ける古樽で18年間熟成。蜜のようにつややかな甘みと麦焼酎のコクが魅力。
価格|5500円
原材料|大麦、米麹
アルコール度数|42度
問い合わせ|ゑびす酒造
Tel|0946-62-0102
www.ranbiki.com
text: Miyu Narita
Discover Japan 2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」