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日本茶のスペシャリスト山上昌弘さんに聞いた“日本茶のいま”Part 3】

2021.11.13
日本茶のスペシャリスト山上昌弘さんに聞いた“日本茶のいま”Part 3】

便利さではなく心の豊かさを重視する方向に世の中が変わる中、手間をかけてお茶を淹れる時間が見直されています。楽しみ方の多様性がますます広がっている“日本茶のいま”の動向を日本茶のスペシャリストである山上昌弘さんにうかがいました。

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KEYWORD 07
和紅茶も実力派揃い!

和紅茶の生産家が増えており、その数450以上とも。ほぼ香味イメージのできている海外の紅茶に対して試行錯誤しながらも、さまざまな紅茶が生み出されている。味わいの特徴は、海外産に比べて苦み・渋みは弱く、香味ともに全体にやさしい。日本の軟水と相性がよくストレートで飲みやすい。

EIJI MIYAMOTO
花のような香りが特徴のファーストフラッシュ。

3240円(30g/缶)

<和紅茶がおすすめの茶園>

岡山県の高原がつくり出す日本のダージリン

アーリーモーニング
冬に雪が降り、朝夕の寒暖差が激しく傾斜がきつい。理想的な環境で独特の香り高い紅茶を育んでいる。

住所|岡山県新見市大佐小阪部2239-8
Tel|0867-98-3939

完全農薬不使用栽培茶で国産紅茶の未来を開く

益井園
静岡・川根茶の生産家が手掛ける質の高い紅茶。香駿やオリジナル品種などを用い、5種類ほどを用意。

住所|静岡県榛原郡川根本町青部521
Tel|0547-59-2407

日本の紅茶発祥の地で村松二六さんが率いる

丸子紅茶
明治初期、多田元吉がはじめた紅茶づくりを継承。紅富貴、紅ひかり、本山の3種類を楽しめる。

住所|静岡県静岡市駿河区丸子6775
Tel|054-259-3798

パリ老舗のブランドも扱う唯一無二の静岡産燻製紅茶

カネロク松本園
桜や桃、ウイスキー樽など多彩な木材で茶葉を燻製することで世界的に例がない独創的な和紅茶が秀逸。

住所|静岡県島田市切山1806-21
Tel|090-4265-5828

幻の品種いずみでつくる紅茶がさまざまな賞を受賞

吉田茶園
茨城・さしま茶の老舗茶園。発酵させたときの香りが強く個性が光る品種いずみを栽培、紅茶づくりを行う。

住所|茨城県古河市大堤1181
Tel|0280-31-8827

創業140年を超える茶園の手摘みの和紅茶

カネトウ三浦園
稀紅(まれべに)の春摘みは、日本茶AWARD 2017でプラチナ賞。花香のような春の芽の香りを楽しめる。

住所|静岡県島田市切山1591-15
Tel|0547-45-2916

KEYWORD 08
異業種の人たちが参入
お茶を使ったドリンクが熱い!

バーテンダーはカクテルやモクテル (ノンアルコールのカクテル)にお茶を使う。ソムリエはティーペアリングに、バリスタは抹茶ラテアートに。彼らが世界で勝負するときに日本茶が注目されるという背景もあり、抹茶やほうじ茶だけでなく、地方の珍しい番茶を使うなど、異業種の人たちの日本茶使いが格段にレベルアップしている。また、クラフトビールやクラフトジンなど、クラフトシーンと日本茶が結び付きつつあり、日本茶の多様性がますます広がっている。

<お茶のカクテル>

遠心分離機、減圧蒸留などを駆使して世界でここでしか飲めないカクテルを提供。煎茶、ほうじ茶、台湾烏龍茶、ジャスミン茶などを用いる「ティーテイル」は、お茶の表現力の多彩さに驚かされる。

MIXOLOGY SALON
住所|東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 13F
Tel|03-6280-6622
ginza6.tokyo/shops/1239

<日本茶ビール>

ビール造りはベルギー仕込み。「ほうじ茶エール」(583円)はお茶の香ばしさと麦の甘み、ロースト香がマッチ。「深蒸し茶エール」(638円)は緑茶の香りとほのかな苦み、ビール本来の味との調和が◎。余韻に緑茶が感じられる。各330㎖。

掛川ファームブルーイング
住所|静岡県掛川市肴町3-5
Tel|0537-25-6811
kakegawabeer.official.ec

<お茶のジン>

「季のTEA 京都ドライジン」は、宇治の老舗茶舗の玉露と碾(てん)茶から深い香りと旨みを引き出して蒸留。ホワイトチョコとシトラスの後にジュニパーが感じられ、最後に緑茶が長く広く続く。700㎖オープン価格。

京都蒸溜所
kyotodistillery.jp

KEYWORD 09
ラテアートが抹茶界に進出!

世界的に人気が高い抹茶ラテとラテアートがドッキング。2018年から抹茶ラテアート大会が東京で開催されている。大会のコンセプトは、コーヒー業界とお茶業界の両方を巻き込み、多くの人がお茶に興味を持つきっかけをつくるというもの。抹茶への固定観念をなくし、バリスタが自由に表現できるルールにすることで「抹茶とは何か?」という探究心を刺激。大会を通して新しい抹茶文化を世界に発信している。

Japan Matcha Latte Art Competition
第4回となる2021年大会は10月28日、東京・原宿で開催予定。お茶のプロも審査する決勝大会では写真選考を通過したバリスタたちが技を競う。

www.jmlc.jp

 

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supervision: Masahiro Yamagami
text: Yukie Masumoto photo: Norihito Suzuki
Discover Japan 2021年11月号「喫茶のススメ お茶とコーヒー」

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