棟方志功も食べた
『勝烈庵』のカツレツをサンドで
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は横浜馬車道にあるカツレツの老舗・勝烈庵の「特製カツレツサンド」を紹介する。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。民芸一家に生まれ、布芸展名義で、青森の民芸刺繍を新しく展開した『こぎん刺しの本』(文化出版局)がある
1927(昭和)年創業、横浜馬車道のカツレツの老舗といえば「勝烈庵」。カツレツはもちろんお菓子ではなく、食事の主菜です。だけど、テイクアウト用のカツレツ〝サンド〟となれば、〝甘くない塩気のおやつ〟というカテゴリーに入るんじゃないかと思うのです。
ちょっとこじつけっぽいですが、棟方志功はお菓子のパッケージだけじゃないということも書き記しておきたかったのでした。
志功と「勝烈庵」の出合いは、先々代店主が濱田庄司の窯元を訪れた際、宿にあった志功の作品に感銘を受けたことにはじまります。そこで濱田が棟方を店主に紹介し、以来交流を深め、多くの棟方作品を収蔵するに至りました。棟方自身もたびたびカツレツを食べに「勝烈庵」を訪れたそうです。
「特製カツレツサンド」はふんわり揚がったカツに秘伝のソースがからみ、時間が経つとそれがパンになじんで冷めても美味しい。各店には棟方の版画や肉筆画が飾られていますから、ぜひお店にも足を運んでみてください。
勝烈庵(馬車道総本店)
住所|神奈川県横浜市中区常盤町5-58-2
Tel|045-681-4411
営業時間|11:00〜21:30(L.O.21:00)
定休日|なし
text=Rika Fukuda photo=Wakana Baba
2019年1月号 特集「いま飲むべきは、風土を醸す酒」