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家具メーカー《ワイス・ワイス》の挑戦
“フェアウッド”って何ですか?|前編

2023.10.29
家具メーカー《ワイス・ワイス》の挑戦<br>“フェアウッド”って何ですか?|前編

素晴らしい木工家具に触れたとき、「なんの木?」だけでなく「どこの木?」を気にする社会を実現するために、「フェアウッド」のプロダクトづくりにこだわるワイス・ワイスのものづくりに迫る。

美しい森を次世代に紡ぐものづくり

日本の森林率はフィンランドやスウェーデンといった森林大国と比肩するほど高く、森は清らかな水や空気をつくり、さまざまな生態系を育んでいる

国土の3分の2を森林で占める日本では、世界中で問題となっている木の「伐り過ぎ」ではなく「木を伐らない」という問題があることをご存じだろうか。価格の安い輸入木材が主流となり、国内の森林は有効活用されずに放置された状態になっている——。その状況に警鐘を鳴らし、違法伐採の可能性がある木材は使用せず「フェアウッド」の家具づくりを徹底しているのがワイス・ワイスだ。
 
フェアウッドとは、伐採地の森林環境や地域社会に配慮した木材・木材製品のこと。具体的には合法で、地域住民の生活や生態系など、持続可能性に配慮し適切に管理している森林から生産された、木材や古材・廃材を再利用した木製品。その前提にあるのが、かたちになるまでのつながりを重視したトレーサビリティだ。同社では全国各地の山へ直接足を運び、地域の人たちと対話し、丁寧に関係を築くことにこだわり、全国47都道府県で100カ所以上の調達ネットワークを有している。
 
その木材を使用し、神社仏閣建築などに取り入れられる「木組み」や芸術品のような寸分の狂いもない部品を加工する技など、日本が世界に誇る木工技術を生かし、豊かな森を守るプロダクトを生み出し続けている。

「森⇔人のつながり」が
フェアウッドの大切なプロセス

伐採地の美しい森や地域の人々とともにあり、トレーサビリティが明らかな「正しい木」であるフェアウッド。ワイス・ワイスは、それらを通して山や森といった豊かな自然と地域の人、林業家、製材する人、加工する人、家具デザイナー、そして使う人をつなげる取り組みで、国産木材にこだわったものづくりに挑戦している。

ワイス・ワイスの代表的なフェアウッド

北東北のクリと北海道のナラ
腐りにくく水湿に強いクリの木は、幅広く家や木工に使用されてきた木材。木目が美しい北海道産のナラ材は海外で重宝される最高級家具用材
宮城県・栗駒山のスギ
栗駒山のふもとで育ったスギは、天ぷらの廃油で動く重機や、馬の力を借りる伝統的な方法によって搬出された、自然にやさしい材
宮崎県・諸塚のコナラとスギ
諸塚のスギは芯の渋を抜く「葉枯らし」乾燥で温かみのある表情に。コナラは伐採しても萌芽更新を繰り返すことで森林整備の役割を果たす

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“森をつくる”家具3選
 
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text: Ryosuke Fujitani photo: WISE・WISE
Discover Japan 2023年9月号「木と生きる」

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