SANUブランドディレクター・本間貴裕さん
忙しくても《アウトドア》で自分らしく。
1日24時間は平等に与えられているのに、時間に忙殺されず輝いているあの人。そんな人たちが考える「癒し」についてうかがってみると、いそがしくても心を亡くさないためのアイデアが満載でした。
SANUブランドディレクター
本間貴裕さん
福島県出身。株式会社Sanuファウンダー兼ブランドディレクター。東京・入谷『toco.』、蔵前『Nui.HOSTEL & BAR LOUNGE』、日本橋『CITAN』、『K5』、京都『Len』をプロデュースするBackpackers’Japan創業者
とにかく外に出て自然とつながる
地球とつながることが一番の癒しと語るのは、「自然の中にもうひとつの家をもつ」がコンセプトのセカンドホーム・サブスクサービスを展開する、SANUファウンダーの本間貴裕さん。福島県の生まれで小学生の頃から学校帰りに川や湖で遊んでいたが、自然の癒しが必要と感じる明確なターニングポイントは、27歳だったという。
「Nui.というホステルの立ち上げをしていた当時、僕はがむしゃらに仕事をしていて、自分が疲れているかどうかもわからない状況でした。そのタイミングでNui.の大工さんから突然『そろそろサーフィンをはじめな』と言われ、一緒に千葉の館山に行きました」
サーフィン経験0の本間さんが波に乗って感じたのは、“安心感”に近い癒しの感覚だった。
「自分がいる社会と海の波の次元が違い過ぎました。仕事で成功しようが、失敗しようが関係なく波は来続けます。それが自分の中でセーフティネットになったというか、ちやほやされても調子に乗る必要はないし、失敗しても海があると考えられるようになりました。それから忙しいときほど海に行くようになり、人にも自分にも優しくなった気がします」
その経験があり、単純にアクティビティとして楽しんでいたスノーボードもメンタルやフィジカルに癒しをくれていることに気がついた。夏のサーフィン、冬のスノボと、一年を通して自然の中で癒されるスタイルを確立した本間さんだが、長野や山梨にあるSANUのキャビンで過ごすことが多くなり、夏に山に行く理由を探していたところ、フライフィッシングに出合ったという。
自分がセレクトした道具や方法、タイミングが正解ならば魚がフライを食べてくれる。フライフィッシングの醍醐味は、自分と相手が持っているエネルギーがリンクする感覚なのだとか。
「よく『釣りに偶然はない』と言いますが、うまくキャッチできるときというのは、魚のもっているエネルギーと僕のもっているエネルギーがリンクするという話だと思っています。それはサーフィンも同じで、月の引力によって引っ張られた波のエネルギーと自分の小さなエネルギーがピタっとリンクすると波に乗れる。それが地球とつながる感覚で、何よりの癒しになっています」
自然の中で癒されるというと、自然の恵みを享受する受動的な行為ととらえがちだが、本間さんにとっては、癒しはエネルギーをリンクさせる能動的な行為なのだ。
「癒しにはHP(ヒットポイント)とMP(マジックポイント)に寄与するものがあると思っていて、もちろんHPを回復させるには睡眠などの癒しが必要ですが、MPを回復させるのは能動的な癒し。地球や自然とリンクするとその後の運転中などに霧が晴れる瞬間があって、悩みや考えごとがポンと抜ける。それは自分が好きな営みなど能動的な癒しから生まれるギフトだと思っています」
本間さんの癒しのMyルール
▶︎自然の中で遊ぶ
▶︎宿に着いたら自分仕様に荷物を広げ、
香りをまとい、宿泊先を自分の空間にする
▶︎自然の中でただ生きる
(ご飯をつくる、食べる、清潔に保つ、寝る)
読了ライン
1|SANUブランドディレクター・本間貴裕さん
2|タレント・女優 清水みさとさん
3|編集者・本屋B&B運営 原カントくん
4|モデル・柴田紗希さん
5|発酵研究家・料理家 真藤舞衣子さん
text: Akiko Yamamoto photo: Yuko Chiba
Discover Japan 2023年2月号「癒しの旅と温泉。」