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ワタナベマキが教える“食養生”
季節ごとにおすすめする
スパイス×食材の組み合わせ

2026.2.1
<small>ワタナベマキが教える“食養生”</small><br>季節ごとにおすすめする<br>スパイス×食材の組み合わせ

旬の食材やスパイスを組み合わせた食事により、心身のバランスを整えていく薬膳の考え方。日々の食生活への手軽な取り入れ方を通年と季節に応じた形で、国際中医薬膳師の資格をもつ料理研究家・ワタナベマキさんにうかがった。

料理研究家・国際中医薬膳師
ワタナベマキ
グラフィックデザイナーを経て料理家の道へ進み、雑誌や書籍、イベントなどで幅広く活躍する。日々食べるものを美味しく丁寧につくるお弁当や朝ごはんなど、毎日の料理の参考になる著書を多数出版。

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《通年》
胃腸の調子を整える

ワタナベさんが20年以上にわたり、摂取しているのが「梅干し」だ。梅干しはワタナベさんにとって薬のような食材。毎朝ひとつ食べ、旅先にも持参するという。「梅の酸味によって唾液の分泌が活発になり、消化を促進すると同時に胃腸の調子を整えていきます。インドを旅した際も、梅干しのおかげなのか一度もお腹を壊さなかったんですよ」。

ワタナベさんいわく気血を補う『鰹節』もスーパー食材。「鰹の刺身を毎日食べるのは大変ですが、鰹節は乾燥しているので使いやすい。鰹節の出汁を飲んだり、ご飯に振りかけたり、日常的に食しています」

〈スパイス/薬味〉
・生姜
・唐辛子
・ニンニク

〈食材〉
・小豆
・梅干し
・鰹

《春》
自律神経を整える

春は冬にたまった老廃物を排出するデトックスの季節。ほろ苦い山菜や香りのよい香味野菜など、五臓における「肝」の働きをサポートする補血作用のある食材をとりたいもの。「『アサリ』や『アスパラガス』は血の流れをよくする食材の代表格。身体の余分な熱を取り、ほてりやイライラを鎮める清熱の作用をもちます」。そして春のスパイスとして、ワタナベさんが挙げてくれたのは「山椒」だ。「春に乱れがちな自律神経を整え、腹部の冷えによる痛みや下痢、胸のつかえ、消化不良などを解消します。さまざまな漢方薬にも配合されています」

〈スパイス/薬味〉
・山椒

〈食材〉
・アサリ
・アスパラガス
・アボカド
・クレソン
・シラス
・菜の花

《夏》
身体を冷やす

高温多湿な日本の夏は、食欲不振や睡眠不足といった夏バテを起こしやすい。ゆえに「トマト」のように身体の熱を冷まし、水分を補給して渇きを止める食材が多い中、ワタナベさんのおすすめは身体を温める作用をもつ「バジル」。「冷房の効いた室内で身体を冷やす食材を食べると、冷えや便秘につながります。バジルは気をめぐらせて食欲不振を改善し、リラックス作用から不眠解消にも効果的。そうめんの薬味の定番『シソ』も身体を温める食材ですね。トマトは味噌汁に入れるなど加熱調理することで、血行を促進する作用へと変わります」

〈スパイス/薬味〉
・クミン
・シソ
・バジル
・みょうが

〈食材〉
・キュウリ
・冬瓜
・トウモロコシ
・トマト

《秋》
肺に潤いを与える

空気が乾燥しだす秋は肺がダメージを受けやすく、のどの痛みや渇き、せきなどにつながってしまう。そのため「肺」を補い、潤す食材を積極的に摂取しよう。「薬膳では『長芋』や『百合根』のような“白い食材”が、肺を潤す食材だとされています。呼吸器を助ける効果が高いので、のどの乾燥はもちろん、肌のカサつきも防いでくれますよ。生薬でもある長芋は滋養強壮や老化防止、百合根は精神の安定や不眠にも有効です」。また「わさび」や「からし」といった馴染みのスパイスも、秋のおすすめ。食欲を増進させ、せきの症状緩和などが期待できる。

〈スパイス/薬味〉
・からし
・はちみつ
・わさび

〈食材〉
・キノコ
・長芋
・豆もやし
・ヤマイモ
・百合根
・れんこん

《冬》
身体を温める

冬の食養生で大切なのは、冷えから身体を守ること。「長ネギ」や「カブ」といった身体を温める食材に、五臓の働きを助けて血のめぐりを促す「ほうれん草」や、栄養豊富で血を補う「牡蠣」などを組み合わせ、寒い季節も元気に過ごしたい。「冬は生命エネルギーをつかさどる『腎』も強くしていきましょう。ほうれん草や牡蠣のほか、“黒い食材”も腎を養うとされ、特に気力の増強、アンチエイジング、滋養強壮など、さまざまな効果がある『黒ゴマ』は最適です。これらの食材にたんぱく質を加えると、バランスのよい食事になりますね」

〈スパイス/薬味〉
・黒ゴマ
・柚子

〈食材〉
・牡蠣
・カブ
・小松菜
・春菊
・長ネギ
・ほうれん草

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ワタナベマキが教える“食養生”
01|食事で身体の調子を整える
02|季節ごとのおすすめスパイス×食材

text: Nao Ohmori illustration: Honoka Yoshimoto
2025年11月号「実は、スパイス天国ニッポン」

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